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ヒマラヤ山脈東部、カンチェンジュンガで雪崩が発生。日本人7名が巻き込まれる惨事となった。犠牲者の一人・増田謙一の弟である直志は、兄の遺品を整理するうち、ザイルに細工がされていたことに気づく。死因に疑問を抱く中、兄の登山隊に関係する二人の男が相次いで奇跡の生還を果たす。真相がわかるかと期待した直志だったが、二人は全く逆の証言をし……。雪山という密室を舞台にいくつもの謎が絡み合う緊迫の山岳ミステリー.
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Posted by ブクログ
『生還者』 緊張感 ★★★★★ ラストシーン ★★★★★★ 意外性 ★★★★★ ―――――――― (小説より) 「山では自分の命を預け、相手に命を預けられる。絶対的な信頼がなきゃ、相棒はつくれない。人と信頼を繋げないなら、いつか死ぬ。」 ―――――――― 舞台は「山」です。しかも冬...続きを読む山です。この冬山で遭難事故が起こり、亡くなるひと、そして生き残ったひと(生還者)が生まれます。 生還者が抱く気持ちは「助かった・・・。有難い」という単純なものではありません。なぜならば、一緒に山にアタックした仲間が、目の前で命を落としているのですから・・・。 行間から、すさまじい吹雪、そして氷点下のつきさすような気温があふれてきます。 これでもか・・・というくらいに。 そして、過酷すぎる環境のなかで主人公たち歩みつづける姿は緊張感そのものです。 ミステリー好き、スピードある展開が好き、意外性ある結末が好きな方は是非にご覧ください。 ラストシーン。わたくしは、★5個ではたりなく、6個評価となりました。 読み終えての感想は「参りました・・・」です。 ―――――――― 【主人公】 標高5000m越えカンチェンジュンガで遭難事件が発生しました。 生還者は2名です。そのほかのパーティーは残念なことに帰らぬ人になりました。この帰らぬ人の肉親、弟が主人公です。彼は、兄と同じ大学の山岳部出身です。 そして、もうひとりの主人公が女性記者です。彼女も、彼と同様に山に魅せられた一人です。 ―――――――― 【物語のはじまり】 生還者2名に対して、マスコミは「奇跡の生還者」と称し、報道を行います。なぜならば、遭難した場合の生存確率が極めて厳しい山だからです。 さて、この2名(A,B)の発言が大きく異なることが「事件性」を帯びることになります。 Aは、Aが助かった理由が遭難中・行方不明のCのおかげだと発言します。Cから食糧含めて援助を受けたと・・・。だから、CはAにとっての英雄であると。 一方で、Bはまったく異なる発言をします。Cは、Bを含めたパーティーの一員であったが、途中でひとり離脱をし、迷惑をこうむった。Cは英雄でもなんでもないと・・・。 A,Bの発言の真相はいかに? なぜ食い違うのか? ―――――――― 【兄の不審死】 兄は、雪崩で亡くなりました。 弟は、兄の遺留品から兄の死に対して疑問を抱くことになります。それは、兄がもっていたザイル(綱)に「切り込み」が入っていたのです。明らかに「人為的」なものでした。 兄は殺されたのでは? パーティーの誰かに・・・。 弟は、調べはじめます。 ―――――――― 【真相に近づく記者】 今回の遭難ならびに生還者2名の発言の差異について、ひとりの女性記者が真相を追いかけ始めます。 彼女は、山岳経験者です。「山に対して嘘をついているどちらか1名を赦すことはできない」の想いを胸に、調べ始めるのです。 この過程で、もう一人の主人公/弟と協力する体制となります。 ―――――――― 【二つの遭難事故の重なり】 主人公の兄は、婚約者とともに冬の白馬岳ツアーに申し込みをしました。残念なことに、悪天候も重なり、婚約者含めた女性パーティーは全員亡くなり、男性陣だけ生還することとなりました。 これを機会に兄は、登山をやめたのでした。 しかし、今回、兄は冬山、しかも世界第3位の山に登頂アタックを試みています。 なぜ、急に登山を? 弟と女性記者は、調べを進める中で、今回の遭難と数年前の白馬岳の事故に「重なり」があることに気づきます。 ―――――――― 【タイトル「生還者」】 周囲は生還者に対して「生還できてよかった」と安寧の気持ちを抱きます。 しかし、当の生還者たちは、筆舌しがたい感情と戦っています。 或る者は「なぜ自分が生き残ってしまったのか?」と悔恨を抱きます。 また、或る者は「死に場所を求めて山に登りつづけ」ます。 生還者が苦しみ続ける途方もない闇に対して「光」が差し込んだとき、涙が頬をつたうのでした。
面白かった。 全然知らない世界だから、ちっちゃいことに気にせず(つい重箱の隅をつついてしまう) 一気にすすめて良かった。 最後、自分が思う嫌な展開だったら 読んだことを後悔するだろうと思ったけど 主人公はちゃんと大切なことを気づいてくれて良かった。
本作はBOOKOFFで購入! 以前から読みたいなぁと思っていたところ目についたので手に取りました♪ さて、私にとっての山登りは小説の中だけでの話で実際に登山をしてみた事はありません。 →湊かなえさんの小説を読んで登りたいと思ったことはあります。 本作の主人公達は山に登る理由があり、困難に挑もう...続きを読むとしております。 私的には命を賭ける事と登山の面白味には吊り合いを取る事は出来ませんが、危険な事が色々と取り除かれていく世の中に、未だそんな趣味が残っていてもいいだろうと思います。 ヒマラヤの雪崩で兄が死亡した!? 兄の遺品を整理しているうちにザイルに施された仕掛けに気付いた、弟の増田直志は兄の死が本当に事故であったのかを疑う。 時同じくして兄と同じ時期にヒマラヤに登り雪崩の生還者となった二人の登山家はまったく違う事を言い出した!!!? 下村敦特有の捩れ問題、今回も読み手は翻弄される。 最初の場面の2人の登山家は一体誰なんだろう? という思いが、種明かしされるまでずつと引っ掛かります・・・
登山に興味ないし、出だしから、彼がとか、男はとかって、って一体誰?って思うと、なかなか読み進められず一年放置してて、再度それを我慢して読み始めると、次々と謎が深まり気がつけば一気に完読。とても楽しい読書の旅でした。 印象に残った一文------- 「生きるためには誰もが様々な選択をしている。赦され...続きを読むるもの、赦されないもの。外から判断して責めるのは簡単だろう。だが、果たしてそれは正義だろうか。」
登山知識が乏しく、「カラビナ」という専門用語しか分からなかった為、ザイル、ビバーク、アイスアックスとか一つ一つ用具の写真や意味を検索しながら読んだので、時間が掛かりました。どういう展開になるのかドキドキし、一気読みしてしまいました。
2転3転する展開に夢中になる。 普段は1冊読むのに数日にかけて読むのですが思わず一気読み。 文句なしの星5個評価です!
とても面白かった。 ミステリーとしてとてもうまく仕上がっていて読み応え抜群でした。山の怖さ、登山者の心理をうまく描写していて緊張感のある中で一気読みすることができました。多くの伏線が、きれいに回収されていて読後感もとてもよかったです。おすすめですね。
なんと素晴らしい冒険小説!冬山の魅力、圧倒的な大自然の力、人間の根源的な弱さ、本音、良心との呵責、いろんなものが赤裸々に描写されて人間らしさとは、をまざまざと見せつけられる作品です!ほんとに圧巻!
雪山で婚約者を亡くし山を離れたはずの兄がヒマラヤの山で雪崩に巻き込まれて亡くなった。関係者全員死亡と思われたが、奇跡的に生き残った生還者2人が帰国する。しかし2人が語る山での出来事は全く食い違っていた。どちらかが嘘をついているのか、それとも真実は全く別なのか、亡くなった兄の遺品の中に不審な点を見つ...続きを読むけた増田は、雑誌記者恵利奈とともにヒマラヤで起こった真実を求めて動き出す。 ミステリーとしては、やや弱い感じがする。特に終盤。高瀬がようやく真実を語ったあとで、恵利奈が東からの2通目の手紙の内容を明かす………え?え?知ってたの?!という感じが…。 しかしながら雪山でのシーンは、とてもリアルで真夏に読んでいるのに寒さが伝わってくるようだった。少しのミスで命を失う緊張感や大自然の凶暴さ、死を意識したときに現れる人間の本性、読むのが止められず一気読みでした。
一気読み。手が止まらなかった。 始めの「男」「彼」は誰なのか予想しながら、途中でその予想を変えてみたり戻してみたり全然違うこと想像してみたり、そんな読み方ができたので楽しかった。 サバイバーズギルトの感情もすごくよく伝わってきた。 カンチに挑むのはちょっと現実味に欠ける気もするけど。 そして最後、...続きを読む良かったーそっちで!ちょっとした叙述トリックか?これは笑 こうであってほしいと思っていた結末ありがとう。 なぜもう一通の存在を隠していたのか分からない。
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