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我が国最大の説話集であり、内容の多様さも文学的興趣も群を抜く「今昔物語集」。古来我が国で「世界」を意味した三国、天竺・震旦・本朝(インド・中国・日本)の一千を超える説話を収めた三十一巻(うち三巻を欠き、現存は二十八巻)のうち、本朝の世俗説話を収めた巻二十二~三十一。その平易で読みやすい全現代語訳をコンパクトに刊行。語注も充実。下巻は巻二十七~巻三十一。
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Posted by ブクログ
高校の古典の時間には意味を掴むのでいっぱいだったが、現代語訳なので古典がスイスイ読め、話自体の面白さを味わうことができる。 だいたい一話2.3ページ程度で、この巻だけでも180もの話が連打され、目眩がする。 付霊鬼、怪綺談に興味があって読む。 知らない山小屋に泊まろうとして鬼に食い殺される話が多い...続きを読む。 どの話も最後に一言、教訓めいた総括がなされるのだが、知らない家に泊まってはいけない、ってそりゃそうだろと思う。 また、鬼に襲われるのには道理があるものの、狐や狸は理由なく化かそうとしてくるらしく、ほとんど逆に狐が殺されて話が終わる。 羅生門、藪の中、鼻など芥川作品の元になった話が出てくるほか、聞いたことがないくらい奇妙な展開の話があったりして昔の日本人やべえってなる。 巻第三十一、本朝、付雑事、第十三〜第十五の異郷説話、かくれ里の話が特に好きだ。
評価は上巻と同じで、「本文は面白い。解説はクソ。」 人間は千年経っても本質的には変化していないのだと感じさせられる。エピソードの範囲も広く、風流の世界から庶民の生活、僧侶の世界、オカルト、武士(侍)など様々な階級の人々を扱っているし、(基本的には京や近畿中心だが)蝦夷の話や東国の様子も扱っている。...続きを読む 一方、解説だけなら2点がつくかも怪しい。 何につけても仏教と絡めようとするが、「今昔」の説話すべてが仏教に通ずるとは思えないし、内容も独りよがりで著者の興味のあることを書いているだけ。あれは「解説」ではない。 物語の背景には当時新興の仏教以外に神道の影響も強く感じられるし、貴族と庶民の生活や価値観の違い、共通点(当時の常識)についても解説が無ければ「今昔」の幅広いエピソードを理解する助けにはならない。 時代背景も、武士の台頭する時代=非貴族階級の活躍や社会不安について論じなければ一部エピソードの残酷さや生きづらさの意味が伝わってこないのでは無いかと思われる。 女性を物語の中心に据えた説話も多く(特に庶民の女性の話もいくつもある)これも当時としては珍しいことのようにも感じるが、その点の解説もないようだ(;解説は途中で読むのをやめたため詳細は不明)。当時の男女の扱いの差は大きく、それぞれの生き方の違いは解説すべき内容だと思うのだが・・。
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