年を取ることは悪いことばかりじゃなくて、自分が知っている時代が増えていくということで、それは語れる歴史が豊かになっていくことなのだな、と本書を一気読みしてしみじみ。「はっぴーえんど」「YMO」「渋谷系と小室系」「中田ヤスタカ」の4つの時代、4つのディケイドを駆け抜けます。Jポップという言葉を境にして前期、後期に区分されますが通底するのは「リスナー型ミュージシャン」というキーワードです。それは浴びるように音楽を吸収することにより生まれるものであり、音楽を作る環境が手に入ることにより生まれるものです。戦後の日本の高度経済成長が作った消費社会とテクノロジーの進展無しには成立しないという点で、サブカルチャー史という以上に社会史として読めるような気がしました。さらに、そこにアメリカとの複雑な関係性が影響を与えているので、今、盛んに語られる戦後史の反映にもなっています。1964年オリンピック以降のTOKYO「風街」がニッポン全国に広がり、金沢のシンセ少年をグローバルなCOOL JAPAN の旗手にしてきた40年。戦後70年、阪神・淡路大震災から20年目の夜。