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結婚、育児、老親介護、みずからの老い、リストラ……働き盛りの中年男性はみんな、「こわがっている」。けっして予定通りにはいかない人生の悲哀。男であるがゆえに、周囲に弱みを見せられず、すべてを自己責任にされ、誰にも本当の想いを打ち明けられず、孤立し、懊悩する中年男性たち。10年にわたり"異なる性"として男性たちに密着してきた女性記者がその先に見るものとは──。日本社会がリアルに抱えるリスクを炙り出す!
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Posted by ブクログ
婚活、育児参加、親の介護、アンチエイジング、非正規雇用、これらは女性だけではなく、男性にとっても深刻な問題。 とくに育児参加するのは当たり前という風潮に対して、働き盛りで責任の多い時期にあるイクメンたちのプレッシャーには同情する。 昔、自分は子供達を保育所に預け働いていたが、20年前にも関わらず、父...続きを読む親や祖父母の協力を得ている母親は多かった。だから今さらイクメンというのがよく分からなかった。 しかしこの取材を読んで、仕事がうまくいかず逃げ道として育児に集中するとか、パパ育児サークルとか、自分の有能さを子供に誇示するとか、、イクメンと言われる人達に対して、ますます理解に苦しんでしまった。基本的に彼らは自己中である。みな親としての成長過程があるわけだが、、、。 しかし最終的に、子供は大人になっていくし、そんな父親とも良い親子関係になれたりしている。 最初から立派な親は存在しないだろうが、一所懸命になる部分はあまりズレないほうが良い… 介護に関してはいまさらだが、今後の高齢化日本は大丈夫なのか、先行きがとても不安になる。嫁や兄弟のいない息子が親の介護をして仕事までやめて貯金を崩す。そして再就職するには難しい現実。でもそういう事例がたくさんある。仕事が忙しい家庭では、就職を一度もせず介護をする孫娘のようすをテレビで見た。 片やアンチエイジングだが、ED治療で自信を取り戻した男たちの全盛と行く末に、申し訳ないが失笑してしまった。自分の老いを受け止められない。ショックは大なり小なり皆経験する事だが、男も女も、血眼になってアンチエイジングにはまるのは、著者曰く、今の自分を否定する事に他ならない。見ためを若く保つ努力は良いが、何ごとも本末転倒になるのはいかがなものか。しかし人間が不惑の境地に達することはいくつになっても難しいもので、そこが愛すべきところでもある。
見栄、体面、プライド。男性の場合、こういった要素が強く理想と現実との乖離に苦しんでいるようだ。ただ悩みは女性と重複する部分も多いように思う。 男性は格好悪いと思うのかあまり弱音や本音を見せたがらないのでこういった本音ルポは男性心理を把握する上で非常に参考になった。 男だから強くなければ、ではな...続きを読むく、これからは男も女も精神的にも経済的にも自立しなければなりません。政治に関心を持って皆で選挙に行きましょう。そうしなければいつまで経っても世の中は変わりません。
人の不幸は蜜の味というが、こうなったら大変だなあ、とおもいながら読んだ。しかし、明日は我が身。今の立場に安住せず、努力していかなければならないと感じました。どのような状況でもポジティブであれば開ける未来があると、改めて確認できた。筆者の取材力に脱帽。
女性のインタビューアーが長期的にひとりの男性に取材という面白いスタイル。身をつまされる。興味深かった。19.1.11既読本と気づかず、また読んだ。★4
丁寧に取材された良書です。何が価値があるかというと、取材をした方の 「過去」「その時」「そして今」を、数年から十数年に渡って、継続的に取材されている点です。 キーワードは、「結婚」「育児」「介護」「老い」そして「仕事」です。 この6つの現実を、取材した対象者を通して丁寧に語られています。 何が語ら...続きを読むれているか?それは、今の時代の変化であり、今の社会で生きる大変さです。 具体的なエピソードが盛りだくさんですが、どれも、重いテーマを含んでいます。 人が他人を見て、幸せそうだな、充実してそうだな、不幸そうだな、可愛そうだなと、その人の 一時を見て判断する傾向があります。しかし、時が経てば、自分や他人の状況は変わります。 今の時代は、信じられないぐらい状況が、変わります。明日、自分の身に何が起こるかわからない時代です。 この本を読み、取材された方の、今までの人生を知れば、ずっと幸福でいられるなんて、 不可能に近いです。どの方も、気楽には人生を歩んでこれなかったと思います。 ただ、この本を読んで非常に勉強になったのは、決して今の現実から目を反らしてはいけないことです。 何におびえているかの答えは、自分の中にあります。自分と向き合い、おびえている対象を 明確にして、対応する。辛い作業ですが、そうすることでしか、対処しようがありません。 答えがないものに、対応するんです、怖いに決まっています。しかし、今の時代で必要なことは、 そういう心の態度と行動力だと思います。 著者も、あとがきに書かれています。 「現実から目を背けず、男であることから逃げないで、一歩ずつでも前進していってくださることを 願ってやみません」
結婚、育児、介護、老い、仕事で追い込まれる男性を取材している。 男はプライドの生き物というが、悪い意味でそれがよくわかる。 評価を求めてイクメンのふりをしたり、モテないといけないと思い込んでED治療したり、そりゃ辛いだろうと思う例がたくさん出てくる。 でてくる男が大体世間体や他者からの評価を気にして...続きを読むいて、そういうのは捨てたほうが生きるのが楽だと思った。
結婚、育児、介護、老い、仕事……それぞれについてうまくいっていない男たちの姿が描かれる。読んでいながら、どれもこれもについて自分も片脚突っ込んでいるような気がして戦々恐々としながらページを繰った。対象人物を追ったルポなのだが、相手によっては足かけ10年くらいかけているものもあり、その点で非常に真面目...続きを読むな構成。著者は女性で、定番の戯言として「女に男の何がわかるか」という声もあろうが、こうした男性の生きづらさに焦点を当てるのは女性か女性的に生きる男性にしかできないだろう。 男たちの何がつらいかというと、おそらく理想の男像と自画像との乖離にある。女たちはたぶん、わりと日常的に女であることの不条理や理不尽、不便を感じながら生きている。対して、男にそれはない。男であることの不条理や理不尽、不便ではなく、自らの不徳のいたすところとされてしまうから。理想的な男の姿でない自分を情けなく思い、堕ちていく。男だと過剰に意識したりしなければもっと気楽に対処することができるのかもしれない。自分の意識や世間がそれを難しくさせている。理想の男像を最大公約数の男にしておけばいいのに、最上の男においていることがつらさを生んでいる。最大公約数の男=「平均的な男」という言葉からしてポジティブワードでないのだから。 とはいえ、書中の男たちは気の毒だ。わが身をなぞらえて共感も覚える。やさし過ぎたり正面からぶつかることが彼らの不幸を呼んでいる気もするのだ。本当なら、やさしかったり正面からぶつかるというのは「男らしい」とされていることなのに、そのことが不幸を呼ぶということは、少々強引だが、男らしくいることが不幸を呼ぶと言い換えることもできよう。そのものずばり旧来の男性像、価値観を意識するあまりの不幸もあるだろう。世の中は「男らしく」生きていると生きづらい。一番のうのうと漂っていけるのは「男ぶって」、いいとこどりしながら生きていくことではなかろうか。もっとも、それでは男の魅力も世のゆく末も期待の外になってしまうだろうけれど。
結婚・育児・介護・老い・仕事と5つのテーマに沿って新聞記者である著者による問題当事者である男性(主として中年)への取材記録です。 イクメンという言葉だけが先立ってブームの圧力に押され慣れない子育てに右往左往している元エリート銀行員男性、母親を介護することによって自暴自棄になってしまった中年未婚男性、...続きを読むそして若い女性との性的関係でしか自己満足感が得られない老いに対する恐れ・アンチエイジングへの執着が強い男性などとて興味を持ちました。 自分に関係することはもちろんのこと、自分とは関係がないことでも自分と同世代の男性が抱えている問題・悩んでいることを知ることによってとても勉強になります。こういった当事者を追いかけたインタビュー形式のルポルタージュは少しでも他者を理解するうえで本当にいいものだと思います。
結婚がこわい、育児がこわい、介護がこわい、老いがこわい、仕事がこわい…って、怖がりすぎだろ!と若いころの私ならば飛び蹴りの2~3発でもかましたくなるところで、今の私だって、飛び蹴りとは言わずとも、回し蹴りの1発くらいはお見舞いしたい気持ちになる…のは目次まで。 中身を読むと、「そんなことこわがってる...続きを読むなんて甘い」とはとてもじゃないけど言えず、そういうことってあるよね…とその「こわさ」をまじまじと見つめることになる。 男性の老いに対するこわさとかも、なんかもう女性からすると、そんなことを考えてるのね、と、もうこれはカラダのつくりの違いからくるものなんだろうけれど、新たな発見というかなんというか。 女性の方が、こういった問題について「友達となんとなく愚痴を言い合って、解決した気持ちになりつつ、日々を乗り切る」みたいな術を持ち合わせてきたように見えて(コレまでの時代、育児がこわいとか、介護がこわいとか言ってる場合じゃなくて、女性(嫁)が担うしかなかったってのも大きいのかも)、それを苦手とする男性たちが、これからどうこれらの問題と向き合い、解決していくかってのは大きな問題なんだろうなと。 ともあれ、ここで語られている問題の裏側には、「育休世代のジレンマ」で取り上げられていた女性側の問題もあるよねというのは色々感じられて。だって、育児がこわいっていってた旦那さんの、仕事を辞めて専業主婦になった奥さんの「ダンナの仕事のために辞めたわけじゃない。自分の仕事にやりがいを見出せなくなったから辞めた」って、それまさに育休世代のジレンマっていうか、マミートラック?まさにそれよね、なんて。 数多くの男性を、かなり長期間にわたって取材し続けた本書は、密度も濃いし、文章も面白い。女性たちの悩みの裏側で、男性は何を考えているのか。これからの時代、「育児と仕事の両立」を本当に実現するには男性の意識改革がカギだと思っているのだけれど、その男性たちも悩みを多く抱えているんだよね、という当たり前のことに気づかされた。たぶん、これまた当たり前だけれど、私たちが協力し合えることは多いはずなんだ。そうして世の中が少しでもいい方向に、多くの男性が多くのことを怖がらなくて済む世の中に、なることを祈って。
P97 父親が積極的に子育てに関与すること自体は、子供にとっても、母親にとっても望ましいことだ。しかしながら、仕事のパワーゲームで常に勝者であることを欲してきた男というものはとかく、競争原理にとらわれやすい。そうして、父親たちはわが子の育児、教育についても他者との比較による優劣や勝ち負けに過敏になっ...続きを読むてしまう。 P178 健康を取り戻すだけでは物足りず、下半身の復活、さらなる強化によって若さを取り返したいと欲する男たちがこれほどまでに多いことをインタビューで痛感。 婚活、子育て、老い、リストラにおびえる男たち。
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