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その男が、幕末を動かした――清河八郎 小栗忠順 勝海舟 高杉晋作 動乱の地で会わなければならなかった日本の「革命家」とは、誰なのか?時代小説の正統派が描く、まったく新しい幕末青春小説。作家・葉室麟がどうしても書きたかった時代、人物、物語がここにある。
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Posted by ブクログ
幕末期の史実の間隙に、作者の想像の翼を大きく羽ばたかせたような作品だ…恐るべき謀略?深く複雑な劇中人物達の思惑の錯綜?少年が大人の男になって行く頃の回想?父を超えようとしていく息子の想い?色々な形容が出来そうな作品だ。読後の“余韻”のようなものも深い作品だ。 新しい文庫本で、未読の方が多いであろう...続きを読むから、物語の仔細には言及しないようにしたいが…劇中のバクーニンが語る“革命”、“自由”、“世界”、“愛”…どれも何か考えさせられたり、ぐっと来るものがある。
アレクサンダー・フォン・シーボルトの目を通して幕末の日本を描く歴史小説。アレクサンダーはシーボルト事件のフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトの息子である。父親のシーボルトは鎖国下の日本を訪れ、蘭学者達に西洋科学を伝えた。しかし、禁制品の地図等を持ち出したとして国外追放となった。外国のスパイと扱わ...続きを読むれ、それを冤罪と描いている。 江戸幕府が鎖国を止めると、シーボルトの国外追放処分も失効した。シーボルトは息子のアレクサンダーを伴って来日し、江戸幕府の外交顧問になる。ロシア軍の対馬占領事件が背景として描かれる。21世紀のロシア連邦のウクライナ侵略と重なる侵略体質がある。 小栗上野介、勝海舟、高杉晋作らが登場する。勝海舟は出世欲の塊の卑しい人物に描かれる。無政府主義者のバクーニンも登場し、幕末の日本人の思想に影響を与える点は面白い。だまされた人々や虐げられた人々が火炎瓶を投げることで憤りを表明する(220頁)。革命の原動力を感じた。 本書のバクーニンは自信満々な人物に映るが、終盤では政治犯としてロシアの監獄に収容された際の悲惨な境遇が描かれる。国家権力の弾圧は肉体と精神を蝕む。
大河ドラマの影響もあって幕末に注目が集まっているようだが、この小説の中にも攘夷浪人が登場する激動の時代を描いている。 ただユニークなことに語り訳はかのシーボルトの息子であり、オランダ人の目を通して語られる幕末の風景ということになる。真の主人公は革命家を自認するバクーニンというロシア人である。革命...続きを読むのためには少々の犠牲は仕方ないとする。人間的に嫌悪感を感じたシーボルトはその生きざまに触れるうちに次第に彼の考えを理解するようになっていくという話である。 ストーリーの中には勝海舟や高杉晋作といった名だたる人物が登場し、バクーニンの振る舞いに大きな影響を受けていく。実在した人物を核にしていることは確かであろうが、詳細には筆者の創作が多分に織り込まれている。 読みやすい文体で、展開もはやい。娯楽時代小説としてとてもよくできている。
幕末、横浜に現れたロシアの革命家・バクーニンと日本の志士たちの話。シーボルトの息子の目線で書かれる。 読後感はそれなりな感じで、感動とか新鮮さはない。
全1巻。 「シーボルト事件」で有名なシーボルトが、 後年、息子を連れて日本に帰ってきた時の、 息子視点での物語。 息子がストーリーテーラーな立ち位置。 これは結構すごいかも。 主人公とも言うべき位置に、 ロシア人革命家を配置。 動乱の気配が漂ってきた日本に、 外国人革命家が種をまく。 幕末を、...続きを読む外国人目線で見るだけでも珍しいけど、 それだけなら他にも似たようなテーマの作品はある。 でも今作はさらに、 維新が革命だったという事を 改めて読者に気づかせる。 これは結構目から鱗だった。 勝海舟や小栗忠順、清河八郎、高杉晋作といった 幕末のビックネームが ロシア人革命家に何かしらの影響を受け、 それぞれの革命に向かう設定は 少し鳥肌もの。 どちらかというと静かでメリハリが無く、 結構引っ張ったネタがやや肩すかしだったりするけど、 シーボルト青年によるストーリーテーリングのせいか、 翻訳された海外の青春小説のような趣があり、 それほど物足りない感じは無かった。 爽やかさがじんわり胸に残る。 案外、映画化とか向いてる気がする。
「オランダ宿の娘」の後日譚…というわけでもないのか? 日本地図を持ち出そうとして国外退去させられたシーボルトが幕末に再来日。その来日同行した息子アレクサンダーの目線で動乱の日本を描いた小説。 登場人物が豪華、勝海舟に小栗忠順、清河八郎、高杉晋作、外国勢もバクーニン(革命家)にスネルブラザーズ(武器...続きを読む商人)、駐日公使や、画家のハイネまで。同時代にうごめいてい彼らと、ヨーロッパ列強が歯牙にかけようとする幕末日本と、そうはさせまじともがく日本の摩擦によって起こる事件。 日本人ではなく、大人でもない。ある種無力な安全地帯にいる主人公の目線が、これらの人間模様や事件を捉える体で、葉室麟の筆が史実を小説にしていく。ここらの職人技は見事。 ただし、葉室小説に求めてしまういつもの清廉さや爽やかさが少々足りなくて、欲求不満になりがちなのは残念。そこら上手いことかさ増ししてくれたらお気に入りの小説になっただろうなぁ。
シーボルトの息子が主人公だなんて。。。。意外すぎて、フィクションかとおもいきや、実在する人物ではあるみたい。ストーリーは日本の有名人勝海舟や高杉晋作なんかも出てくるし、臨場感があって引き込まれる。 バクーニンを調べたら、やっぱり存在してるし。。。笑 でも載ってた写真はイメージとは違う感じでした笑 で...続きを読むも葉室さんの作品では、武士が主人公の方が好きかな。大和魂というか、日本人の感情の繊細で奥ゆかしいところを描き出すのがとても上手だと思うからです。
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