ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在

ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在

3,080円 (税込)

15pt

ウイルスとは何者か。その驚くべき生態が明らかになるたびに、この問いの答は書き替えられてきた。ウイルスは、数十億年にわたり生物と共に進化してきた「生命体」でありながら、細胞外ではまったく活動しない「物質」でもある。その多くは弱く、外界ではすぐに感染力を失って“死ぬ”。ただし条件さえ整えば、数万年間の凍結状態に置かれても、体がばらばらになってしまったとしても“復活”する。ウイルスの生と死は、生物のそれとはどこかずれている。一部のウイルスは、たびたび世界的流行を引き起こしてきた。ただしそれは、人類がウイルスを本来の宿主から引き離し、都市という居場所を与えた結果でもある。本来の宿主と共にあるとき、ウイルスは「守護者」にもなりうる。あるものは宿主を献身的に育て上げ、またあるものは宿主に新たな能力を与えている。私たちのDNAにもウイルスの遺伝情報が大量に組み込まれており、一部は生命活動を支えている。ウイルスの生態を知れば知るほど、生と死の、生物と無生物の、共生と敵対の境界が曖昧になっていく。読むほどに生物学の根幹にかかわる問に導かれていく一冊。

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ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ウイルスと細菌はちがう。細胞を持たず他者(生物の細胞 )に入り込むと増殖をする、ただの微粒子。
    独特の生と死。
    不活性が起きなければいつまでも生き続ける。ノロウィルスは外気にさらされても不活性になりにくいので危ない。

    ウイルスの死は何かの原因で不活性になり増殖ができなくなったり組織が破壊された時。

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    2020年06月14日

    Posted by ブクログ

    人間とウィルスの関係を分かりやすく教えてくれている。
    そもそもウィルスとは二種ある。
    DNAを持つものと、持たないRNAのもの。
    RNAは不確実性が高く、劇的な進化を遂げやすい。
    古細菌、細菌、真核細菌
    ウィルスも同じく3種ある。

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    2020年05月27日

    Posted by ブクログ

    面白かった…ウイルス関連本では頭抜けている

    こんなに知的好奇心をくすぐられる本は中々ない。ヒト中心の視点ではなくウイルスの視点から自然界を眺めたら、色んな概念が覆される

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    2023年02月21日

    Posted by ブクログ

    ウイルスというと生命か、生命でないのか、というあたりで理解がとまっていたが、本書で「生命体としてのウイルスの視点」に接して、考え方が変わってきた。海洋中にも天文学的な数が存在する、人間のゲノムのなかにも、人体のなかにも潜んでいる。生命の定義にあてはまるかどうかというより、生命として考える方が、ゆたか

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    2022年02月16日

    Posted by ブクログ

    Covid19が確認されるちょうど1年前に上梓された本。
    この本からわかることは、ウィルスのことをわかった気になってはならないということだ。
    Covid19は、どうすれば感染が防げるのかはわかっているが、ウィルスそのもののことはわからない。
    解決策がわからない問題が難しいのではなく、どうすれば解決す

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    2021年08月14日

    Posted by ブクログ

    新型コロナウイルスに翻弄されて2年。ワクチンを打った人も周りに増えてきている一方で、ウイルスによって、オリンピックは無観客になったり、個人的にも、世界的にも大打撃を与えられた。そもそもウイルスって何なんだろう。今だから読みたくなったウイルスの変遷、仕組みをまとめた本だ。

    例えば、「なぜ石鹸で手を洗

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    2021年07月09日

    Posted by ブクログ

     たとえば天然痘は周知の通り人類を永きにわたって苦しめたウイルス性疾患の一つだが、1980年に根絶宣言がなされ現在では人々の意識に上ることはほぼないといっていい。しかし当然ながら、根絶に至るまでには原因ウィルスの特定やワクチン開発を始めとする先人たちの弛まぬ努力があった。著者もその一人であり、天然痘

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    2020年03月14日

    Posted by ブクログ

    ウイルスの意味について、結局明快な結論は出していないように思います。しかし、普段の生活ではほんの一部しか関わりのない莫大なウイルス世界について嫌というほど知識を得ることができます。
    たかだかいくつかのDNA/RNAとタンパク質が入っただけの、普通の分子みたいに結晶化もできてしまう塊、それも他の生物の

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    2019年11月27日

    Posted by ブクログ

    ウイルス研究に長年携わってきた著者が、その歴史と変遷を語ります。
    人間のすぐ傍に存在している見えない隣人の、生態の奥深さに感動しました。
    非常にわかりやすく書かれていますが、入門書というには少し難しいと思えます。
    遺伝子やウイルスについての知識があったほうが読みやすいでしょう。

    0
    2019年03月11日

    Posted by ブクログ

    多田富雄さんの「免疫の意味論」という名著があって、まあ、書名はパクリなんだろうけれど、素人でそのあたり、分子生物学とか、愛好家の目には遜色ないと感じさせているのがエライ。「みすず」の連載で見かけた文章だと思うけれど、ウイルスみたいなものを、網羅的に説明して、飽きさせない文章力は、理系の人とは思えない

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    2019年03月07日

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