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43歳独身のシェリルは職場の年上男に片思いしながら快適生活を謳歌。運命の赤ん坊との再会を夢みる妄想がちな日々は、衛生観念ゼロ、美人で巨乳で足の臭い上司の娘、クリーが転がりこんできて一変。水と油のふたりの共同生活が臨界点をむかえたとき――。幾重にもからみあった人々の網の目がこの世に紡ぎだした奇跡。待望の初長篇。
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Posted by ブクログ
ずっと気になってたミランダ・ジュライ。 U-NEXTのポイントは書籍に使ってくことにしたので、 初の長編小説という今作を読んで見ました。 いや〜マジでよくこんな話を思いつくなと。 もうひたすら面白かったのは2人が取っ組み合いを始め、 そしてビデオを模倣して絡み合うようになる展開。 結局、ここでクリ...続きを読むーがふいに口にするセリフが 意味深なタイトルになってるとこも本当にイケてる。 シェリルは私の頭の中で完全にエイミー・アダムスだった。 たぶん「メッセージ」の印象かな。 シェリルが自己完結してて閉じてる故に 押しの強いクリーやフィリップスに対して受動的であることが 結果的に頭のおかしい展開を作り出し、 ある意味、夢見てたものを得る結果になる。 ぜんぜん自分と属性の違うシェリルなのに、 まさにその受動性や自分の確信が揺らぎ、 他者に巻き込まれて納得してく感じに 切なさややるせなさを感じつつも、 確実に強くなってるとも思えるからおもしろい。
予備知識なしで読んだ。自分が普段わりと静かな作品を読むので、最初は面食らった。少年漫画さながらのバトルシーン。途中一瞬任侠感のある言い回しも出てきて、海外小説で任侠って、と笑えた。 それにシェリルの妄想の産物、クベルコ・ボンティなる奇妙な赤ん坊。千と千尋の神隠しの坊みたいで、登場するたびに坊がしゃべ...続きを読むってるように思えてならない。 シェリルの奮闘は滑稽でエキサイティングで勢いでどんどん読み進められる。怒涛の出産シーンにはハラハラした。 ジャックには深い愛情を注いでいるがほとんど自分の内で対話しており現実には話しかけていなかった、とシェリルが気づいたとき、読者である私も、シェリルの内側(ほとんど妄想)から現実を見ていることに気づいた。 エピローグのジャック視点から見る2人に、なんだか泣けた。良かったねシェリル。
映画「君と僕の虹色の世界」「The Future」そして、短編集「いちばんここに似合う人」、ドキュメンタリー「あなたを選んでくれるもの」で、ちょっとイタイ・なんかズレてるこじらせアート女子による、抜群のセンスを見せてくれたミランダ・ジュライの待望の長編小説です。 や、もうこれ、文句なしの傑作で、そ...続きを読むのこじらせと妄想が100倍にスケールアップしていて、私は女子ではないんですが、なんかおんなじようなこと考えてる人いるのか!と感情移入しすぎてページ進まないので困りました。松岡茉優の「勝手に震えてろ」も名作でしたがこじらせと妄想はミランダが圧倒的に上です。容赦なくこじらせてます。世界の40代女子のこじらせを一人で引き受けて、まるで「地球のみんなオラに元気をわけてけろ」と孫悟空が元気玉を集めて放つ時のような超エネルギーを爆発させてます。 主人公シェリルの一人称小説で、もはやミランダ本人の私小説といっても過言ではなく、どこまでも赤裸々にそしてカオティックに散乱するディテールの集合体なのですが、内に籠りすぎたエネルギーが容量オーバーで爆破してしまい、溢れんばかりのエモーションをこちらにぶつけて来ます。 ここに書かれているのは、個人的ななにかではなく、おおきな全体のような気がしてなりません。たとえばドストエフスキーのような全体です。それは小説が根源的にもっている本質のことです。 ボリス・ヴィアンとミシェル・ウェルベックがマウンテンハウスで相談しながら女性になりきって書いたみたいな本作は、ミランダ・ジュライのミランダ・ジュライによるミランダ・ジュライとちょっと変わり者と言われる我々のための小説です。猛烈にお勧めします。タイトルについては読めばわかるんですが、センスがありすぎる。
訳者があとがきで主人公のことを「繊細ぶってる割に他人の気持ちに鈍い」と評していて、膝を打つ手が止まらない。いるいる。わかる。
とてもよかった。自分のルールをガン無視してくる他人と関わるのはしんどいし腹も立つけど関係性は変わっていくし考え方も広がるし自分はもっと遠くまで歩けるようになる、したいと思ってもできなかったことへの勇気も湧いてくる。少しずつ自分を愛せるようになる。
これまでの人生で当たり前のように内在化してきた自分自身の「価値観」や「倫理観」が思いがけない方向からぶんぶんと揺さぶられる。散々振り回されてへとへとになるのに読後感は人と人が愛しあうことへの祝福に満ちている。不思議な一冊。
こんなにヘンテコでエキセントリックでユーモアに溢れた作品ってほかにある? 中年女と若い女が殴り合ったかと思えば、愛し合ってみたり、子育てしてみたり。 ほんとに意味がわからない展開ばかりなんだけど、不思議と嫌悪感はゼロ。むしろ次はどうなるの?とページをめくる手が止まらない。 え、これってアリ?そん...続きを読むな問いはシェリルには愚問。 ぜんぶ、アリ。なんでも、アリ。 信じられないことが起きるのが、ミランダ・ジュライの小説なんだとおもう。 本の後ろに書いてあるコメントにすごくいいのがあるので、それを載せておしまい! 『私たちの愛し愛される能力について、誰にもできない形で教えてくれる。』
「最初の悪い男」(ミランダ・ジュライ) 「例えばシェリルの家の壁から、世界地図が外れなかったとしたら。」 この物語の主人公、シェリルは43歳独身女性。職場ではある程度の地位を得て、快適な一人暮らしを謳歌している。 本当の自分とか、生きる意味とか、無くても生きていくことはできる。煩わしさを排除...続きを読むして、毎日なにかを少し我慢しながら。 空想の世界では饒舌なシェリル。 人の良い感じがするけれど、その世界では誰かを踏みにじってしまうこともある。 それはそれで、ひとつの人生。誰にも当てはまる人生。 自分を感じずとも、生きることはできる。 だけど。 世界地図は外れる。ミランダの描く世界はひとところには留まらない。 望んだわけではない出来事だったはずなのに、足が臭くて暴力的な美人の娘、クリーが転がり込んできて、偶然は必然かのように、シェリルの人生は回り出す。 世界地図が外れる! その展開のめまぐるしさ、生々しさ、ページをめくる手が止まらない。 前半は、シェリルのイジイジした様子、優しいようで、決して心を開かない様に、読みながらあんなに悶々としたのに。 新しい価値観に気付いたあとのシェリルの心の声は、センシティブの極み。ヒリヒリと心を打つ。 そして、声を限りの、 ノーノーノーノーノーノーノーノーノーノー。 サンドロップを見たときのこと。虹に似た何かなんてない。美しすぎるエピローグ。ここはもう、何度読み直したかわからない。 これ以上ない美しい気持ち、これ以上ない悲しい気持ち、これ以上ない優しい気持ちに満たされる。もちろんすごく笑わせてもくれる。会話のセンスが、ずば抜けて面白い。 あと、これは個人的な意見です、と前置いた上で書く。 ミランダがこの作品を、子供が産まれてから書いたこともやっぱり作品の手触りがより切実になった要因な気がする。 生まれたての子を昼夜問わず世話するあの、作中に出てくる言葉で言うところの、 「洗脳」、の表現。子を持つ前の自分がいなくなってしまうような感覚。 それでもなにかひとつでも、例えばずっと出なかったウンチがやっと出たりとか、初めて声をあげて笑ったとか、それで帳消しになるようなあの感覚。 すごくリアルだった。 奇跡と偶然で、「私たち」はここにいる。 絶対に、ひとりではないのだ。 作中の様々なシーンが頭をよぎる度、自転車を漕いでいても、バスに乗っていても、どこにいても、甘やかな痛みが鼻を刺しては目が潤む。 素晴らしい映画を観終わった後のような読後感。そしてまた始めから、味わうように読み直す。
読み終わって、叫び出しそうになった。 でも、何に? ー なにかに。 イタくてアツクて、色んなものが刺さってくるんだけど、 金色の光のようなものがそこにちゃんとあって、 私たちはぼろぼろにはならずにいられる。
『彼はぼくこわいよと思うこともできない、「ぼく」ということも知らないのだから』 このちょっと世間からずれている主人公にミランダ・ジュライを投影しないでいるのはとても難しい。「君とボクの虹色の世界」、「フューチャー」の主人公のその延長線上に(あるいは同じ位置にと言った方がいいか)この本の主人公は位置...続きを読むしているのだから。コケティッシュという表現は最近余りに耳にしないけれど、正にその言葉が真っ先に頭に浮かぶあのミランダ・ジュライの顔を主人公に貼り付けずにはいられない。 SNSで時々披露される作家自身を写した映像の少々痛い感じ(その言い方は余り好きではないけれど)、それらは主人公の言う所の「システム」を彷彿とさせずにはいられない。例えば車から箱を抱えて降りてきた彼女が転んで箱をぶちまける映像などに感じる「あざとさ」のようなもの、あるいはロンドンのホテルでの怪しげな行動から感じる「迷子の気持ち」のようなもの。それらはシェリルの心の中のつぶやきによって説明可能となるもののように思う。そして漸く、そういうことか、と理解されるものであると感じる。もちろん、その映像は偶然を捉えたものではない。作家の表現の一つである。全て計算されたことであるとは思いつつ、そこにどことなく漂う「よるべなさ」は、作家の個人的な趣向や価値観の根幹を成すものであって、それが作品に滲み出ていると考えた方が自然であると思う。 ミランダ・ジュライを読み始めた切っ掛けは岸本佐知子であるのは言うまでもない。彼我の差はあれど、自分の中でこの翻訳家はどこかしらミランダ・ジュライと通じ合う「変」さがある。「気になる部分」を読み返してみたらきっとこの作品のシェリルそっくりな逸話が見つかる筈と思う。その翻訳家の趣味嗜好がぎっしり詰まった翻訳私花集「変愛小説集」の二冊目でミランダ・ジュライは強烈な印象を残した。以来翻訳を待てずに読んで来た作家ではあるけれど、この作品は岸本佐知子によるトランスレーションを待たずには消化し切れなかった作品。とてもジェンダー・オリエンテッド(性別志向性とでも言うのか)が高い作品だと感じる。特にセクシュアリティの表現のされ方に、男性目線を模した女性性の主張のようなものを強く感じる。同じ翻訳家の手になるニコルソン・ベーカーのフェルマータが男性性を強く意識させるのとちょうど正反対であるように。その敷居の高さが少しだけミランダ・ジュライを近寄り難くさせる。シリアスな顔のミランダ・ジェニファー・グロッシンガーに初めて出逢った気にさせる。いつもに増して岸本さんの翻訳が光る。
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