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名作『苦海浄土』で水俣病を告発し世界文学に昇華した著者が、ホームで闘病しながら語った、水俣・不知火海の風景の記憶と幻視の光景。朝日新聞に3年にわたり連載されたエッセイを収録した最晩年の肉声。写真家・芥川仁氏による写真多数収録。
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Posted by ブクログ
石牟礼道子さんをはじめて手にした 柔らかく豊かな文章にハッとさせられる現実が込められている 故郷の飾らない言葉が心地いい セイショコさん 海が汚染されるということはご先祖様の魂のよりどころが破壊されるということ
こう言うと語弊があるかもしれないのですが、近所のおばあちゃんの昔語りを聞いているようで、とても読みやすいと思いました。なじみの土地への親しみ、懐かしく思う気持ち、それは本来多くの人が共感できるはずのことで、決して大仰なことではないはず。 弱者の声など堰き止めてしまう不条理な壁のようなものも、水俣の人...続きを読む々が過ごした悲しみの時間も越えて、いまの私たちの心に直接響いてくる語りかけ。魂の震えを感じられる上質なエッセイです。
今年の自分の誕生日にお亡くなりになられた著者の 3年間くらいのエッセー集。 昔の水俣あたりの風景や風土がよくわかるというか 懐かしい感じがする内容です。自分の昔いた田舎と やっぱりかさなってしまいます。水俣ではないですし 九州でもなく、海沿いでもないのですが。 水俣病に対しての思いや怒りはあまりでて...続きを読むきませんが それ以前の風景や幻視によって、かえってその近代に 対しての怒りが見えてくるような内容のような気がします。
1927年生まれだそうですが、彼女が育ったころはまだ現実界と異界の差があいまいだったのか、彼女の感受性が鋭いのかわかりませんが、まるでファンタジーを読んでいるような気分になるエッセイでした
石牟礼道子さん、1927.3.11~2018.2.10、享年90。「魂の秘境から」、2018.4発行。2015.1から2018.1の間、朝日新聞に掲載されたもの。チッソ工場が廃棄物を水俣川河口に。有機水銀に汚染された不知火海。当初「奇病」と呼ばれた患者が運ばれたのが避病院。医者がいるわけではない。...続きを読むあばら屋の板敷きの上に、病者たちが寝かされていた。海辺の猫たちは、鼻で逆立ちしてきりきり回り、最後は海に飛び込んで狂い死にしたと。死期を悟った猫は人に知られず姿を消す。そんな恥じらいを知る猫にとって「狂い死に」とは、あまりにむごい最期。
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