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憲法に対し日本人は、いかなる態度を取ってきただろうか。世論調査を徹底分析することで通説を覆し、憲法観の変遷を鮮明に浮かび上がらせた、比類なき労作!
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Posted by ブクログ
戦後の政治状況と世論調査を詳しく分析した好著だ.「一般改正質問」と著者が名付けた"憲法改正に賛成ですが"という今となっては曖昧な質問が,憲法発布直後では的確な問いかけであったこと,またその当時"戦争放棄の条項を必要とするか"との問いに70%が必要と答えたことな...続きを読むど,今の感覚からすると意外な事実も記載されている.岸内閣当時でも正式の軍隊保有論は完全に否定されていたことも意外だった.最後の方に出てくる出てくる有権者の意見の曖昧さの事実を踏まえて,最終的には「個人的無知から集合的英知」が得られるとの説は納得できるものだ.面白かった.為になった.
この観点は面白かった。 過去の世論分析という、統計上のバイアスとも戦っている。 一般的な改憲しますかという質問はアバウトすぎる。 全体的な改憲なのか、一部なのか、一部なら、どの部分なのか。 筆者さんは、頑張った。 乏しいデータと、社会情勢などから、かなりいい結論を引っ張ってきてると思った。 日...続きを読む本は、何だかんだ言いながら憲法体制を変えてきたし、世間はそれで満足してるのであった。 別段不磨の大典でも何でもない。 ただ、この先、今よりもバカが政権取った時に、ダメになる可能性がある。詰まるところ、世間を無視して都合のいい憲法原理主義を振りかざす奴が出てこないとも限らない。 だから、大切なところはきちんと明文化すべきだと思う。 何より、どこの改憲論でも、日本とはどうあるべきか、将来どこへ進むべきかってのをちゃんと議論しないとダメでしょう。 国民投票とかいう前に、ちゃんとした、誰にも恥ずかしくない、条文案作ろうよ。 そのための憲法学者じゃないのかよ。 とは思っている。
境家氏は現熊本県知事の蒲島郁夫などの属するリヴァイアサン学派に影響を受け、統計学などを駆使して実証的に政治を分析することを専門にしている。彼の授業を以前受講しており、さらに日本政治の理解を深めたいと考えて読んだ。 この本の対象時代は1955年以降から細田連立政権に負けるまでの55年体制と、その...続きを読む後の小泉改革の時代から改革疲れのバックラッシュまでを扱い、日本人の憲法観の変遷を分析する。この本では特に印象深いのは、やはり境家氏の執念ともいえる憲法を扱った世論調査の収集と分析である。本で提示されているデータの量も多く、印象論で語る政治ではなく客観的なデータに基づいており、時代ごとの憲法観という漠然とした概念を丁寧に解きほぐす作業には終始脱帽する。 そして、この本で境家氏は世論調査のデータ結果の浅い理解を用いた研究者に対して警鐘を鳴らす。例えば、世論の調査で「憲法改正に賛成ですか?」のような漠然とした質問は一見すると現代の文脈において、多くの日本人は憲法9条の改正を指すと早とちりしてしまう。しかし、そのような先入観を持ち世論調査の結果を分析することを筆者は批判する。なぜなら、憲法改正とは一口に言っても、時代によって意味が異なるからだ。例えば戦後は全面改正の意味合いが強いし、小泉内閣では、憲法9条改正よりも統治機構全体の改正を国民は念頭に置いて世論調査に回答している。他にもその質問方法や質問の順番にも細心の注意を払っており、今後、自分がデータを見る際に注意したいと思えるキッカケにもなった。そして、このような、曖昧な質問の世論調査の結果を用いて自分の論文の根拠にする他の学者に対する批判を込めて、詳細な研究を扱った書物は大変貴重かつ、斬新な取り組みであると思う。 また、彼のひねくれ(?)ながらも、几帳面に分析するというツンデレのような人柄がちょくちょく見え隠れしている点も興味深い。 最後になるが、日本の政治は安保闘争後の所得倍増計画による政治的イデオロギーからの経済的イデオロギーの方向転換を巡り憲法9条は棚上げになってしまった。しかし、90年代の国家危機により政治的イデオロギー問題が再浮上するも、野党は政治イデオロギーを巡り分裂して自民党に対抗する勢力にならない反面、自民党は政治改革により更なるリーダーシップを備えつつ、それでいて野党の分裂により政権交代の可能性が低いという現在の元凶の一つにこの憲法9条の問題があることは非常に由々しき事態である。(つまり、自民党は選挙で憲法問題を公約に掲げれば勝手に野党が自滅するので、改正する気はなさそうという見方がある)私は憲法9条の理解がまだ浅いので、この本を通じて9条に関連する問題を扱った論文や本を読み、一市民として選挙などの際にしっかりとした政治的判断を下せるような政治的教養を持てるようになりたいと考えるキッカケになる本であった。
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憲法と世論 ──戦後日本人は憲法とどう向き合ってきたのか
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境家史郎
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