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誰か、私を留めて。どこかへ跳び去ろうとする私を――世にも奇妙な「量子病」を発症して以来、自らの意志と関係なく世界中をワープし続ける稀。一瞬後の居場所さえ予測できず、目の前の人と再び会える保証もない。日々の出会いは儚く、未来はゆらぐ。人生を積み重ねられない彼女が、世界に爪痕を残すためにとった行動とは?
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Posted by ブクログ
“出会いと別れ” 少し前のイチオシ本。 ネット社会の今だからこそ読んでほしい。 少し複雑な文章構成からなる 少し不思議な「量子病」を持つ稀の物語。 世界中を飛びまわる彼女が、出会いと別れを繰り返す。 ある時、自分の存在をネットに移住させる提案を受けるも悩んでしまう。 旅をしながら彼女が出...続きを読むした答えに、ネット社会を生きる私たちもなにか感じるものがあるはず。 私は、人とのリアルな付き合いに恋しさを感じた。 『別れあってこそ、出会いがあるのだ。』 『出会え。別れたって、また、出会え。』 出会いと別れの、どうしようもない大切さを感じた。 もっともっと時間を作りたい。。
量子病??? そもそも"量子"って何? よくわからないままに読み進めても、面白かった。稀が出会う人たちとの会話が、語られる言葉が一つ一つ心に残る。 ポッ ポッ ポッ ポッ ポッ 思い出したのは ……… 百億の昼と千億の夜 スター・レッド 銀の三角
面白かったです。出会いと別れ、共に尊いというのを普段は忘れて、別れの悲しみだけを重く捉えてしまうけど、別れが無いと出会いも無いので同じくらい大事なことなんだよな。 祝祭資本主義と祝祭テロによる分断と格差で破滅へ向かう世界で、人々はネットの世界に移住してしまうけれど(たぶん文字通りネットに存在する)、...続きを読むコロナ禍でオンラインのみで交流することも増えた昨今ではこのうすら寒さがより身に沁みます。出来るだけ傷付きたくはないけど、わたしも生身で交流したい。ネットの関係はぷつんと断ち切るのが簡単だから、自分に優しい人ばかり周りに置いておく事も出来るけどそれで良いのか?って思います。 マレは量子病で祝祭を移動しまくる事しか出来ず、出会った人との人間関係を積み重ねられない。でも出会った記憶と影響は相手に残り、マレには積み重なっていく。それが最後の決断に繋がったのだと思います。 強く光る、大きな祈りのような作品でした。生きる人への祝福だ。
年末のどさくさで行方不明になっていたものをやっとの事で見つけ出して読み終わりました。 新年1冊目。 量子病という病にかかり1つ所に留まれないマレが、壊れゆく世界の中で色々な人に出会い自分の存在の意味を知る。 1冊が壮大な叙事詩のようになっていてとにかく美しい言葉が胸を打つ。 ラスト近...続きを読むくは割としっかりとしたストーリーがあり、むしろそこが少し凡庸に感じたけれど、ラストは元の雰囲気に戻りすごく良かった。 世界観は少し去年読んだ 『アメリカンブッダ』に似ているかなと思った。 SFは得意じゃないからこそ敢えて読んでいるのですが、こういう美を孕んだストーリーは好みです。 細かく断片的な話の積み重ねなのですが、ほんの少ししか登場しない人物も全てマレと出会いモノクロに色がさされ、生き生きと動き出す。 誰もみんな愛しく印象的でした。 こんな映画があったら素敵だなと思うけれど、邦画じゃ無理だろう。どちらかと言えばフランス映画の趣。
内容が複雑なので読むのが難しい。 立場の異なる人間が入り組んでいて物語の主軸がどこにあるのかわからないまま話が進んでいく。 かつ場面転換が多く、さらにその度に新たな人物が登場し、加えてSF的な用語や造語も登場してくる。 しかしこれは物語上仕方ないというか、目的を持ってそう書かれている節があり、その...続きを読むわかりづらさが効果的に物語の理解へとつながっている逆説的な面を持っている。 とは言え難しいのは確かなので、私なりの理解で物語を整理してみたい。 主人公は坂知稀という女性。 ある日突然「量子病」を発症し、自分の意思とは関係なしに瞬間移動するようになってしまった。 時はワールドダウン(世界的経済破綻)を引き起こした近未来で、それに端を欲するテロやデモが頻発していた。 ある瞬間移動でフランスに跳んだ彼女は、テロへの報復攻撃に対する抗議デモを目にし、それを追うジャーナリストのジャンと出会う。 ジャンは恐慌からテロ、デモへの一連の動きの影にいる存在を感じ取り調査を進め、稀とも交流を重ねていく。 しかし、稀はまた世界のどこかへと跳躍してしまう。 その後の物語は「ワールドダウンに関する世界的な動き」と「その裏で暗躍する人物」と「それを調べるジャン」という関連し合う軸と、「それらの軸を気にしつつも量子病のせいで傍観者でしかいられない稀が世界中をワープし続けるスポット的短編」が場面転換を繰り返しながら進んでいく。 この構成では物語にのめり込むのは難しく、稀の視点で傍観者として話を追うことになるはずだ。 場面転換の際には稀が瞬間移動するたびに感じるストレスも追体験することになる。 これが作者のひとつの狙いではないかと思っている。 終盤ではそれらの複雑な動きもひとつに収束していき、その段階で稀はある選択を迫られる。 彼女の決定は量子病に侵されて失った、あるいは得た経験があったからこそのもので、普通は悲しいとされる出来事にも意味はあるのだと思い知らされた。 惜しむらくは、彼女の内面というか、これだけ過酷な運命にあっても芯を保っていられる彼女のバックボーンを知ることができなかったところか。
『青の数学』に続き、王城作品三作目。すべての本読みの心の内を的確に表した作品。私たちは物語(小説)を求め続ける限り、何処へでも行ける——そう確信する作品でした(^^ 星四つ半。
量子力学をテーマにしたSF仕立てですが、生きるっていうことを追求していくような話になってる。全世界的にテロと経済崩壊が連鎖していく未来像が、なんだかとてもリアルに感じる。いつどこに跳ぶかわからない主人公のごとく、物語もあちこちに跳ぶ。そして徐々に結末に向かって収束していく。なかなかスリリングで目が離...続きを読むせない小説でした。
量子病という不思議な病気のため自分の意志とは関係なく、世界中をワープし続ける坂知稀(さかち・まれ)。跳躍するタイミングも行き先も滞在時間も予測できない中、突然現れた彼女を受け入れてくれた人たちに助けられて生きる。毎日や関係を積み重ねることができない彼女が、コントロール不可能なように思える自分の人生に...続きを読む対して選んだ方法とは?引き込まれるSFファンタジー。
ファンタジーか、SFか。タイトル「坂知 稀」は人の名前。「贈り物」とやらはあまりピンとこない。構成はポエミー。映像的に出会う人々との短文が印象的。
ちょっと難しかった……雰囲気は嫌いじゃないケド。この著者の「お祭」を題材にした小説、読んでみたいな。
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