鵺

1,870円 (税込)

9pt

4.0

「鵺王」。陸軍少将でありながら「ホトトギス」の俳人であった亡父の俳号だ。
自らも年老い、父に思いを馳せる演出家・充彦のもとに、四十歳年下の女から一本の電話が入る。いい加減、子どもを認知してほしい――。作家としても一線で活躍を続ける充彦だが、私生活は修羅の連続だった。最初の結婚が破談になった折、女優・弥勒黒美とのありもしない醜聞で放送局を退職に追い込まれた。愛人を同い年の演出家に奪われ、その娘しぐれを奪い返し、彼女との間に子を為した。心休まる時のない人生だったが、因縁の女優・黒美と句会で再会したことで、充彦の晩年に思わぬ変化が訪れる。女や父、芝居に小説を語り合い、和解したかに思ったのも束の間、黒美から充彦に宛て軍用トランクが送られてくる。中にあったのは父の字で〈尼港事件〉と書かれた封筒だった――。戦時下の外地で、父は高浜虚子の師事を仰いでいたのだろうか。時空を超え、忌まわしき過去の扉が開いてゆく。久世光彦を髣髴とさせる官能と怪奇、幻想。醜聞の果てに男が見た真実とは。

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鵺 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    齢七十の作家の、一人称による意地だったり後悔だったり羞恥だったりグルグルと回る中でいかに体面を保つかという中で、新作をせっつかれ、昔の仇の女にあい、自分のルーツを遡り、最後に新作をとの構成であるけれど。 
    まあやられたやられた。男の好色さや卑怯さや他責な感じがまあずーっとある中で、好きではないが興味

    0
    2023年07月24日

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