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十九歳の里帆は男性とのセックスが辛い。自分の性に自信が持てない彼女は、第二次性徴をやり直そうと、男装をして知り合いの少なそうな自習室に通い始める。そこで出会ったのは、女であることに固執する三十一歳の椿と、生身の男性と寝ても実感が持てない知佳子だった。それぞれに悩みを抱える三人は、衝突しあいながらも、自らの性と生き方を模索していく。芥川賞作家が赤裸々に紡いだ話題作。
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Posted by ブクログ
おもしろかった 自分もどちらかと言うと、自分の中の常識に勝手に雁字搦めになって身動き取れなくなるタイプだから、そう思ってるの自分だけじゃない?って自問自答してみてもいいかも。と思いました。
この本を手に取ったきっかけは、村田さんの作品が好きで、ハコブネは読んだことがなかったので、読んでみたいなと思ったのと、村田さんがジェンダーに関してどう書くのだろうと気になったのがキッカケ。 ないものねだりだが、子供の頃から女性という性で生きて、それを全うしてきた椿視点のエピソードも読んでみたいなと...続きを読む思った。 性の対象が大きすぎるといろんな苦しみや悩みがちっぽけに感じるのかな〜とか、ハコブネからはジェンダーに関して色んなことを考えるきっかけを与えてくた。
3人のうちの2人の女性についてのお話でした それぞれに性についての思いや悩みがありながら 生きてる女性の物語でした 著者独特の世界観で性についてのお話が展開していった その世界になぜかよく引き込まれます
ジェンダーの問題は、性自認のカテゴライズを細分化すればするほど本質が見えづらくなるという構造的な矛盾があることを作者は本能的に知っているし、それを言葉にして強く発信する力も持っている。本書は希望だと思う。
村田沙耶香さんの他の作品と通底するものがあります。特にガマズミ航路(星が吸う水)。 登場人物3人とも全然違う性への向き合い方。私はまたその3人とも別の向き合い方。 面白かったです。 性を茶化したり神聖なものとしたり卑下したりしない、村田沙耶香さんの書き方が好きです。 あと伊勢崎さんみたいな人が好きな...続きを読むので実写で見てみたいと思いました。
それぞれに性の悩みを抱える10代の里帆と、30代の椿、知佳子。たまたま申し込んだ有料の自習室で会い、交流を重ねるが。 芥川賞受賞前の作品。さすがです。ぶっ飛んでていいですね。巨大な「おままごと」の世界。みんなで「やーめた」と言いましょう。 村田ワールドがいかんなく発揮された作品。常識?ふつう?〜...続きを読むらしさ?そんなものはすべて幻想。 この物語は全編、性を語っているが、それは単に読者に伝わりやすいからだと思う。本質的には「生」の話です。椿の話はもう少し読みたかったなぁ。
ジェンダーと多様性と東洋的思想の融合みたいな。 何者かであろうとして藻掻き苦しむ十九才。 一方、恋に落ちて何者でもないことを辞めようとする三十一歳。 救いを求める箱舟は、しかしその実、何処にも行けず誰にも乗れない。 変な女じゃなくて、妙好人。 これこそまさに無為自然。 ...続きを読む
世界は点と線で出来ていてそこに「意味」という絵の具が幾層にも塗り重ねられているという認識は非常にうつ病的認識で、そんな世界に生きながらも「おままごと」を追い求める人間というのは大きな嘘だなと感じた。 物質の世界には何一つ意味がなく、だからおままごとに対する欲求も生じえないはずだ。 知佳子、里帆、椿は...続きを読む一見して対照的な人物に見えるけれど、本質的には、みな物質であるという本質から目をそらしおままごとに救いを求めようとしている同じ穴の狢なのだと思う。 人間が本当に地球の欠片になれるのは、きっと死んでからだろう。
主に3人のどこにでもいる普通の人間の心情が、2人の視点から描かれている。 村田沙耶香さんは、奇妙だ奇妙だと言われがちですが、皆の"普通"を論理的にかつ感情的に言語化がものすごく上手いなと思います。 今作品もそのような作品の一つです。 3人のセンシティブでかつ普通な感情の揺れ動きに...続きを読むは、とても親近感が湧きました。
最初、里帆に感情移入して読んでたけれど、だんだんアレ?違うぞ?ってなった。 逆に知佳子になんだこの人は?って読んでたけれど、なんだかわかるになった。 第二次性徴のやり直し、なんだか響きが良いというか、誇らしい何かに思えたけれど、そんなもんじゃなかった。 もっとぐちゃぐちゃでわけのわからない感情。 ...続きを読むでも、よくある感情。 若い頃の何かになりたくて、その何かがわからないあの感情を思い出した。 ソルという言葉に驚いたけれど、その生き方の美しさが素敵だった。 私がよく通る道やよく行く建物と重ねながら読み進めていたけれど、その見方が一気に変わって、なんだかつやつやしたものに見えた。 不思議な感覚。 セックスってなんだったっけ? と立ち止まってしまう作品だった。 結局答えはよくわからない、それが答えなのだと思う。
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