星々たち

星々たち

587円 (税込)

2pt

奔放な実母・咲子とも、二度目の結婚でさずかった娘とも生き別れた塚本千春という女。昭和から平成へと移りゆく時代、血縁にとらわれず、北の大地をさすらう千春は、やがて現代詩の賞を受け、作家を夢見るが……。千春の数奇な生と性、彼女と関わる人々が抱えた闇と光を、研ぎ澄まされた筆致で炙り出す。桜木ワールドの魅力を凝縮した、珠玉の九編。 松田哲夫氏(編集者・書評家)激賞!『一人一人の命が星のように光っている。その輝きを「物語」に結実させたエンディングの鮮やかさは見事!』 ■ひとりワルツ つとめ先のスナックに時折現れる優男・ヤマさんに、咲子はひそかに思いを寄せている。 中学生になった娘の千春と再会を控えた咲子を、ヤマさんはデートに誘う。 ■渚のひと 医大に通う息子が帰省する。久々に家族三人で囲む食卓の準備で内職を早めに切り上げた育子。 隣家の千春は、息子が卒業した高校の後輩にあたるのだが…… ■隠れ家 ススキノの踊り子・麗香は、兄が帰ってきたら舞台を去ると決めていた。その夜、8年ぶりに兄が姿を現した。 ■月見坂 晴彦は高齢の母親と二人暮らしだ。商品の苦情を述べた母への謝罪に訪れたスーパーの配達係の女性を見て、晴彦は…… ■トリコロール 小さな港町で所帯を持って25年。桐子は夫とふたり、理髪店を営んでいる。ひとり息子は家業を継がずに街をはなれている。 ■逃げてきました 市役所勤務のかたわら、詩作をつづけてきた巴五郎。彼が主宰する詩作教室に、塚本千春という30代の女が入会してきた。 ■冬向日葵 罪を犯し、逃げ続けて何年になるだろう――。能登忠治が道北の小さな一杯飲み屋の女将、咲子と暮らして8年が過ぎた。 ■案山子 東京から北海道・十勝に移住、独りで野中の一軒家に暮らす元編集者・河野保徳の前に現れたのは…… ■やや子 図書館司書の田上やや子は、交際半年の恋人に乞われ、彼の母親と会っている。内心、彼と別れようと考えているやや子だったが……

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星々たち のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    生き辛そうな母娘孫3世代の物語。
    でも、当人たちは淡々と逞しく生きて生ききったように思った。
    桜木紫乃さんの本は、どんな人をも肯定してくれていて、重苦しい話も不思議と心穏やかに読める。


    心に残った一文-------
    『優しく捨て合う関係や、愛情という呪いのような押し付けを欲しないことを、わかって

    0
    2022年10月29日

    Posted by ブクログ

    北海道、小樽、札幌、旭川、帯広、釧路、根室など北の大地を舞台に、過酷な運命に翻弄される母娘三代の女性、咲子、塚本千春、田上やや子の物語。「星々たち」(2016.10)、連作9話。何とも心にずしりと重くのしかかる桜木紫乃の世界です。客観的には苦労の連続に見える3人、特に咲子と千春、でも、それぞれが生を

    0
    2019年07月26日

    Posted by ブクログ

    「星々たち」というタイトルがぴったり。登場人物それぞれが、きらきら美しく輝く、というのではなく、自分の命を少しずつ燃やして、ちかちかと光っているようなイメージ。桜木紫乃さんの静かな文章が大好きです。言葉にしづらい感情や、もやもやして言い表せない気持ちをさらっと表現していて、それが心に沁みたり刺さった

    0
    2019年06月30日

    Posted by ブクログ

    咲子、千春、やや子三世代のそれぞれのお話。それぞれ独立はしているんだけれど底辺で繋がっている。決して幸福な親子関係ではないけれど、親を恨むでもなく三人三様、それを受け入れ生きているのが似ている点なのか。咲子も千春も何を夢に生きていたんだろう。その時々で精一杯だったのかな。咲かない咲子はそれでも最期、

    0
    2017年08月08日

    Posted by ブクログ

    塚本千春という、男女の愛も家族の絆も求めず求められない女性が歩んだ数奇な人生を、彼女と関わる人々の視点から描く連作小説。
    人物設定が秀逸すぎる。何を考えているのか分からない千春の存在を、人生を投げたような人々が語ることで不思議な輝きを与えている。一方で、冴えない生活を送る人々も千春が側にいる時は輝き

    0
    2017年05月10日

    Posted by ブクログ

    章ごとに視点が変わる短編連作で、誰かひとりの人物について描く…という小説は前にも読んだことがあるけれど、こういう感覚は初めてだ。
    感動というか、凄い、と唸る感じ。

    奔放な実母・咲子とも、2度目の結婚で自分が産んだ娘とも生き別れた塚本千春という女。
    ひとつの関係に囚われず北の大地をさすらう千春の、数

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    2016年11月24日

    Posted by ブクログ

    育った家庭環境がその人の性格、とくに性愛に関する傾向によく反映しているなあ、という印象。
    生きづらそう、とは思ったが、それは私の価値観で彼女たちの人生を生きたらの話であって、彼女たち自身は至って自然に道を歩いているのだと思う。

    0
    2023年03月29日

    Posted by ブクログ

    たまに読みたくなる桜木紫乃。
    今回もいつものように、うらぶれた町に怪しい男に酒・・・という始まり。
    大好きな連作短編集なのだが、千春がねー、もうなんなんだろう。咲子も咲子だったんだけど、みんな短絡的で。
    でも千春の書いた詩、ちょっと良かった。どういう人なんだろうと興味をそそられるのはよくわかる。

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    2022年09月24日

    Posted by ブクログ

    人は誰しも1人で生きて、1人で死んでいく。
    そんな中で紡がれていく命や星々のような人々への愛を感じる作品。


    0
    2021年10月04日

    Posted by ブクログ

    自分もまた小さな星のひとつー。解説の、限りなく暗い世界をじっと凝視しているとその底に微かに光を発するものが潜んでいることがわかってくる。…そういう感じ。というのがまさしくそんな感じで好きでした。

    0
    2021年05月09日

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