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文豪、獅子文六が「人間」としても「作家」としても激動の時を過ごした昭和初期から戦後を回想し、深い家族愛から綴られた自伝小説の傑作。亡き妻に捧げられたこの作品は、母を失った病弱の愛娘の成長を見届ける父親としての眼差し、作家としての苦難の時代を支え、継娘を育てあげ世を去った妻への愛、そして、それら全てを受け止める一人の人間の大きな物語である。
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Posted by ブクログ
GWを利用してやっと読み切れた! 獅子文六にハマって約2年。ちくま文庫で近年復刊された作品を読み漁り、評伝や企画展などで彼の生涯を知ったうえで、今だ、と思って読み始めた私小説「娘と私」。 タイトル通り、娘とのエピソードが中心なのかなと思ったら、2番目の妻を迎え3人家族となった文六一家と、戦中〜戦...続きを読む後の自身の苦悩について詳しく記されていた。 あまりにも正直な感情を書きすぎていて、千鶴子さんに少し同情してしまう箇所もあったけれど、読み終えると、また違った感慨が湧いてくる。 カラッと明るくモダンな作品で世間を楽しませた流行作家が、私生活でこんなに苦悩し奮闘していたことに驚き。 牧村さんの解説の結び、巴絵さん(作中では麻理さん)について触れた数行に何故か泣けた。
本当に大好きな作品。父と娘の物語ってなんか惹かれるんだよな〜。 楽しいときもあり、辛いときもあり、でも、ひとつひとつのエピソードがとてもあたたかい。 一番好きなシーンは、娘が産まれた日。男の人ってこんな感じなんだろうな〜って、微笑ましくて、でも、じんわり涙が出てくるような。ラストもとてもよい。 そし...続きを読むてこの作品は「悦ちゃん」とセットで読むべし!
この父親、子供が小さいのに離れて暮らすと独身に戻ったように気楽になったり、生計が立たずまだ勉強したいと思ったり、30代はまだ子供だ、みたいに自分で言って、共感できるわー。子供が産まれたからって大人になるわけではない。育児ノイローゼの親は読んで気楽になってほしい。でも、再婚した妻と新婚旅行の夜に避妊薬...続きを読むわたすなんてがっかりさせてくれるわ。風俗にも悪びれず行くし、こんな家族の話の中で平気でこういう行動を書かれると、男ってほんと人間として生まれて偽善者として育つものなんだなと思う。 それにしても、新しい妻との間に子供が生まれることと自分の前妻との子のことで勝手に葛藤して、どこまで自分の世界に生きてるのやら。でも子持ち再婚の男はこんな気持ちなんだなとわかったのは良かった。 マリの結婚相手が年下なのを、10才以上年下の妻が婆さんくさく見えてきたから不安なんてほんとこの男はあきれるね。
「この作品で、私は、わが身辺に起きた事実を、そのままに書いた」とあり、今まで読んだ獅子文六作品よりも抑制した文章で綴られている。 題名から想像していた“娘と自分”とのこと以上に、“再婚の妻と自分”とのことに比重が置かれていて、それに関して「自跋」で明かされているし、本書の献辞もその亡妻に贈られている...続きを読む。 作者は出来るだけ包み隠さず、率直にその時々の心情を振り返って語ろうと努めたのだと思う。「私という人間は、子供だとか、妻だとかのために、犠牲となることを、喜びとするような風に、できあがっていない」と記す、個人主義で我儘でへそ曲がりの作家の、時に妻や娘がいなかったらと我が不自由を嘆き、時に愛情や思慕を抱く、その何れもが偽りのない本心であるだろうところに、作者の誠実さが伝わってきた。
前半の部分は獅子文六とは何と身勝手な男だろうと思って読んでいました。 でも話は最初から興味深くて引き込まれて行きました。 読み進むうちに獅子文六の娘に対する深い愛情があふれている事が分かってきます。 獅子文六が結婚という制度に向いてないことや、 子育ても出来る事なら放棄したいという気持ちを持...続きを読むちながら後半では立派に娘を嫁に出し終えてほっとしているが少し寂しい気持ち等が素直に書かれていて、好感が持てました。 獅子文六の生き方も素敵でした。 もっと早くこの小説を読んでいたら男心が理解出来たかも知れません。 この本を読むのに10日間もかかりました。 少し長いですが、毎日サクサクと読め、私的には久しぶりのヒット作で面白かったです。
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