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まだテレビが新しかった頃、お茶の間の人気女優 坂井モエ子43歳はコーヒーを淹れさせればピカイチ。そのコーヒーが縁で演劇に情熱を注ぐベンちゃんと仲睦まじい生活が続くはずが、突然“生活革命”を宣言し若い女優の元へ去ってしまう。悲嘆に暮れるモエ子はコーヒー愛好家の友人に相談……ドタバタ劇が始まる。人間味溢れる人々が織りなす軽妙な恋愛ユーモア小説。
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Posted by ブクログ
1963年に刊行された昭和の小説です。 主人公は、テレビタレントのモエ子さん。 ドラマの母親役やオバサン役で人気の女優です。 八つ年下の夫、ベンちゃんは、劇団の舞台装置家。 劇団の若い研究生アンナとベンちゃんの仲を疑って、モエ子さんはヤキモキしています。 モエ子さんはコーヒーを淹れる名手でもあり、コ...続きを読むーヒーの同好会「可否会」の会員です。 「可否会」の会員は、モエ子さんの他に、真のコーヒー通の会長、洋画家、大学教授、落語家がいて、全部で5名。 この登場人物たちの滑稽なやりとりや、コーヒーについての多彩な会話やうん蓄が面白くて、楽しく読めました。 とにかくコーヒーの話がたくさん出てくるので、カフェで読むとより気持ちが入りそうです。 2回目を読む時は、カフェで読みたいと思いました。
面白かったんだけど、モヤモヤするー。 モエ子に感情移入して読むと、まわりの人たちが身勝手で腹立たしいなぁ、って感じるけどモエ子にも「そうじゃない!」って思うところもあって。50年以上の月日が流れて、技術や情報は進化しても人間の感情なんてそうそう進化するものじゃないんだとかんじた。
1960年代の情景がありありと浮かんでくる。なんて言うんだろう、時代が明るい。主人公の純心さを除いても、今は少し想像しづらいくらいのほっこり感が全体的に散りばめられている。 モエ子さんがとにかく愛おしくなっちゃう。演劇の女優からテレビ女優になって、でもずっとダメヒモ男に捕まったままで、そいつは最後...続きを読むまでダメな男だけど、でもモエ子さんはやっぱ好きを隠せないっていうのがかわいい。紳士には愛がないとか言って愛想尽かしてるのもウケる。 モエ子さん、最後に「みんな私のコーヒーを目当てに来るんだわ!」と言ってた。コーヒーを淹れるのが上手な彼女。男達はその彼女のコーヒーだけが目当てで結婚しようとか言うって嘆く。 これ、もしかしたら獅子文六さん、「女の体目当て」をコーヒーを象徴して取り上げてたりするんじゃないかって思った。夫の年収を上回るとバランスを崩す、女は結局「家庭的」が何より大事、仕事をやめるように遠回しに言われるなどなど....今じゃちょっとずつ取り沙汰されるようにはなったけど、この時代じゃあなかったはず。彼にちょっとした問題意識があったからこそ書けたんじゃないかなあって思う。 とにかく、題名にコーヒーって入ってるだけあって美味しいコーヒー飲みたくなる。(私はうんちくをたらすことはできないけどね。)
獅子文六氏(1893〜1969)は、劇作家、小説家、演出家として昭和の演劇振興に尽力された方。この小説は1962年から1963年に「可否道(コーヒーどう)」という書名で、読売新聞に連載され、1963年に新潮社より刊行されたものを1969年に「コーヒーと恋愛(可否道)」と改題され、角川文庫より文庫化...続きを読む。2013年にちくま文庫より復刊されたとのこと。 昭和の隠れた名作。すっごく面白いかというと、今の感覚の「面白い」にはもの足らない感じがするが、ウィットとか上品なユーモアとかを感じさせる。 主人公は坂井モエ子という脇役として国民的に愛される女優で、美人ではないが、「嫌われない」キャラ。 コーヒーを淹れる腕前が絶品で、そのコーヒーでもって八歳年下の新劇団員のハートを捉えて夫婦となっていたが、44歳になったとき、19歳の新劇女優に夫を奪われる。 彼が去ったあと、コーヒーを淹れるのも朝ごはんを作るのも張り合いが無くなり、自分一人のためならインスタントコーヒーで済ますという日々を送り、荒んだ気持ちが仕事にも影響して、初めて主役を務めたドラマも不評。仕事も暇になったある時、コーヒー仲間に「可否会」の主催者との結婚話を持ちかけられた。コーヒーを通じてその菅先生とは懇意になっていて、何かと相談相手にもなってもらっていて、お互い乗り気ではあったが、菅先生は自分の創設したい「可否道(コーヒーどう)」の助手としてしかモエ子のことを考えておらず、愛を感じられないので、モエ子は「イエス」と言えないでいた。そこへ新しい彼女に去られた元夫が戻ってきて「やっぱりモエちゃんのコーヒーが毎日飲みたい」と復縁を迫るのだが、モエ子は自分への愛情ではなくコーヒー愛からモエ子をパートナーとしたい男達にうんざりし、自分の女優としての仕事を極める勉強のために海外へ旅立つ。 1962年ごろの40代といえば、大正生まれ。モエ子を初め、この頃のテレビ俳優と言えば、新劇出身者が多かったようで、テレビを軽蔑しながらも生活のためにテレビに出続け、心はまだ新劇にあるという人が多かったようだ。テレビがまだ珍しかったころの芸能界やインスタントコーヒーが庶民に普及し始める少し前からコーヒーに親しんでいたインテリ達の生活など、その時代の人達からも今の私達からもちょっと一般人とは違う世界の人達の世界のことが書かれていて、そこが新鮮かな。 あと、セリフがちょっと昔のチャキチャキした江戸弁?みたいで、昔テレビでたまに見た古い白黒時代のドラマや映画を思いだす。 古き良き時代というのか、文化を味わうつもりで読むのがいいかな? でも、最後のモエ子はかっこいい! 今の芸能人も結婚だの離婚だのドロドロだらけだが、あんなに潔く自分のために旅立つことが出来る生き方は古くない。
昭和のノスタルジーを感じさせる作品でした。 私が生まれた頃、今は亡き両親の新婚だった時代の物語。当時の社会は今のSNS世代から見たらさぞノンビリして、自由で生きやすそうに思えるかもしれません。 そういう意味では結末など気にせず、安心して読める内容でした。
表紙に惹かれて、読みました。 ちょうど、桜の満開の日に、読み終えることができて、 本当に心地よかったです。 私も、最近コーヒーが好きなので、 この本に出てくる いろいろなコーヒーが、 美味しそうで、 モエ子さんのコーヒーを、 飲んでみたかったなあ、 美味しそうな、 美しい本との出会いに感謝。
めっちゃ面白いというわけじゃないけど読みやすくて好き 獅子文六のあとがきで「コーヒー飲みすぎて胃を痛めた、コーヒー小説はもうこりごり」と愚痴を書いてるのが何より面白い。
60年も前の作品とは思えないほど馴染むお話。レトロではあるけど古臭くはなく、体験したことのない時代の話だけれどもなんとも懐かしい。全てハッピーエンドで丸く収まるわけではないのも、心情に無理がなくて安心する。穏やかに読める一冊。
昭和の時代背景が漂うユーモアたっぷりの恋愛小説。主人公、モエ子はドラマの人気端役だが、物語もテレビドラマを観るような感覚で読んだ。 43歳のオバさん(作中ではおばあさんとまで言う)が主人公の恋愛話は余程変わっていると思うが、その展開も中々新鮮で、恋愛心理だけを延々と書き連ねながら表向きのエピソードは...続きを読むほぼ皆無に近い恋愛小説とはちがって展開を楽しむ事もできる。登場人物それぞれが、人物像を持ち、説得力があり、そして皆に共感できるところは流石と感じる。 60念前の小説だが、文体はここまで違うか、と思うほど。嫌いではなく、むしろ味わい深いし、面白い言い回しに感心する。終盤の物語のまとめ方がとても好きです。黎明期のテレビ業界事情がかなり詳しく、当時の読者はここにも興味をそそられたのではないかと想像する。今の業界の人が読んでどう感じるか聞いてみたい。 他の作品にも興味がわきました。 あとがきで作者はこの作品でコーヒーをがぶ飲みし、相当体を悪くした模様。書き上げた5年後に死去しているところからも命を削って書いた本であることを知り、読ませてもらったことに感謝する思いが強まった。
昭和の作品でその時代を色濃く感じる作品なのだけど、男女のあれこれというのはいつの時代もそんなに変わらないのだなぁと思わされる内容のユーモア小説だった。 美人ではないけれど大衆の人気を得ている女優の坂井モエ子。43歳の彼女は、8歳下の演劇作家のベンちゃんと事実婚をしていて一緒に暮らしている。 2人...続きを読むの暮らしは稼ぎが多いモエ子が支えていたのだが、ある日ベンちゃんは「生活革命」と称して彼より16歳下の新進女優のアンナの元へと出奔してしまう。 物語の真ん中に「珈琲」がある。モエ子は珈琲を淹れる才能にものすごく長けていて、夫のベンちゃんだけではなく、「可否会」という珈琲好きの集まりの会長である菅氏もモエ子の淹れる珈琲に心酔しきっている。 だけどモエ子にとっては朝飯前のことなのでとくに強いこだわりがあるわけではなく、だけど周りの男たちにとっては強く惹かれる才能なのだ。 モエ子とベンちゃん、モエ子と菅氏、ベンちゃんとアンナ、そしてモエ子とアンナ。 色んな組み合わせのあれこれで構成されていて、それぞれの想いが少しずつすれ違っているところに可笑みを感じる。 ベンちゃんずるいなぁ!でもこういうダメ男ってどんな時代にもいてそれなりにモテるのよね…(思想だけは一人前だから…)などと思ったりした。 モエ子はいわゆる大衆女優で、正統派美人ではないけれどその親しみやすさからCMにも抜擢されるほどの人気がある。 女性は結婚したら家庭に入るものとされていた時代において、バリバリ働く女性のさきがけ的なものを描いた物語のように思えた。 愛する男から1人の女性として見て欲しい気持ちはあっても、きっとモエ子は男なんて蹴散らして強く生きていける女性なのだ。あっぱれでとても格好良い。 新聞小説だったらしい作品。獅子文六のことは今まで知らなかったけれど、とても面白い作品だった。 曽我部恵一の解説もとても良かった。この本を読んで「珈琲と恋愛」という曲を作ってしまったとか。
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