jardin de luneさんのレビューで気になってなんとなく家のどこかで見かけたような気がして父の書棚を探ってみたら単行本が見つかったので読んでみた。ということで登録は表紙が表示される文庫だが読んだのは単行本の方。
内容は……、まあ面白いといえば面白い。特に最初のうちはなんだかわくわくしたし、これはアリかもと楽しめた。少しばかりドラマで聞きかじっただけでも韓国語と日本語に共通点があることは解るし、これもいささか異端的な学説らしいけどたしか大野晋氏が唱えた日本語のタミル語起源説でも韓国語を経由してたし、かなりアリな線だと思うのだけどどうも後半へと進むにつれて飽きがきた。そりゃあ千年以上も昔の話にミステリ的な解決を望むのは推測に推測を思いっきり重ねても無理だからしかたないけど、もうちょっと具体的なところがあがってくるかと期待してしまったぶんあてがはずれた感じ。証拠を提示すると作品中で意気込んでいるわりにどうだろうちょっと推測を重ね過ぎなのでは…、と思ったり。まあ、読み物としてならこれもありだ。もちろん学説やらなにやらは詳しくないし、評価を下せる頭もないけど。ただ、むしろ裏をかかずに今あるような万葉集の読み方のほうが単に個人的に好きだっていうのが、こういうのもアリだとは思いながらもいまいちのめり込めなかった理由かもしれない。万葉集は好きだ。特にそのおおらかさが。でも日本語と韓国語が近いことはたしかだし、こういう読み方をはなっから突き放すのは可能性を潰すことになるので否定はしない。面白いといえば面白いし。