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女流画家を通じ、“魂の内奥”の旅を描く。
異例の才能を持ちながら埋もれていった亡命ロシア人女流作家マリア・ヴァシレウスカヤ(マーシャ)の内的彷徨を描く辻邦生の処女長編作。
少女期に出会った魅惑的な少女アンドレとの痛みを伴った甘美な愛を失い、結婚に破れ、つねに芸術の空しさを苦汁のようになめながら、生の意味、芸術の意味を模索し続けた、寡作の画家マーシャの短い生涯を、彼女が遺した日記や手紙から辿る伝記風スタイルを用い、清冽な筆致で描いた作品
敬虔で慎み深く、絵の才能を持て余すマーシャと、身体が弱いために生に焦がれる無鉄砲なお嬢さまアンドレ、孤独を抱えるふたりの交流がとても丁寧に描写されている。第4回近代文学賞受賞作。
Posted by ブクログ 2023年07月13日
♪時の過行くままに♪ 歌詞ではないけれど
時の魔術師、辻邦生作品、しっとり読みました。
1962年から雑誌に発表、近代文学賞を受けて、読み継がれた古い文学作品。
20世紀初頭、大戦と大戦のはざまにパリに留学した画学生が、ロシア人亡命者の娘、同じ画学生「マーシャ」の人生に惹かれ、才能があるのに寡作...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年11月11日
著者が描きたかったのは 生命の燃焼感の美しさ だと思う。モノクロの世界に 生命だけが 赤く燃えている感じの小説
時代や社会がつくりだす虚無の中で 自分の内面から 燃焼する生命は なお一層 美しく見えるし、死んでもなお、美しさを まわりの人の心に 残している
特に 7章の人生観は 再読 価値大...続きを読む
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