ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
不意の出会い、気まぐれや衝動。無数の偶然に促されて、私たちみんな、進んでいく。自分にしかたどり着けない、見知らぬ場所に向かって―― 幼い頃、泰子の家でいっとき暮らしをともにした見知らぬ女と男の子。まっとうとは言い難いあの母子との日々を忘れたことはない泰子だが、結婚を控えた今になって再び現れたふたりを前に、確かだったはずの「しあわせ」が否応もなく揺さぶられて……。水面に広がる波紋にも似た、偶然がもたらす人生の変転を、著者ならではの筆致で丹念に描く力作長編小説。
アプリ試し読みはこちら
Posted by ブクログ
一般常識に囚われずに本能のままに生きるってわがままなようで でもよほどの強い信念がないと生きられない。 人の目を気にせず奥深いところでの愛は決して忘れずに自分のやりたいように生きる そんな人は邪念がない。 そんな人に心のどこかで憧れる自分が確実にいる そんなお話だったかな
ドラマ化するなら、智は岡田将生さんのイメージだ。そのイメージでずっと読んでしまったね。 泰子や智はきっとどこかに居る!と思わされる、具体的にイメージがぶわぁと描ける、そんな作品でした。
この小説に登場する、「生活」ができない人たち。 なぜそうなってしまってるのか、あれこれと理由を探すのは簡単だし、ともすれば彼らがちゃんと「生活」できるようになるためにはどうすればいいか、なんてことまで考えてしまいそうになる。 でも、彼らは確かに生きている。 彼らが一日一日をちゃんと送っていることは間...続きを読む違いない。 そのことを肯定したいと強く思う一方で、同じ場所に留まり続けて日々を蓄積していくとの重みと尊さもあらためて感じる、そんな読後。
秩序ある生活に息苦しさを感じること。同じ生活感を持つ人と一緒にいる時に自分らしくいられ、心から楽だと思える気持ち。沢山共有できる内容がありました。 人生で人との出会いによって大きな変化や苦難があると思いますが、過去や未来について考えすぎず、直子の様に1日1日を楽しくありのままで生きていきたいと思い...続きを読むました。
何と比べて“普通”なのか。大なり小なり他者とは違うものが内在するのであるが、そのことに違和感を覚えるのか、あぁそうなのね、と感じ入るのか...。ただ、そこにある。そして死んでいく...。 ○○のターンが唐突に、それでいてそこにしかスッポリとハマらないのではないかという絶妙な配置...。流石です。
どこにもありそうな日常なのに、ありえない親子・男女の倒錯した関係、その出自・運命を描き人間の根源に迫る作品。この作者は女谷崎潤一郎か?
あなたは、『首まわりののびた、色あせた、息子や娘のお下がりらしいTシャツを着て』、『触るなと書いてあるのに桃に触れてやわらかさをたしかめ』、『やっぱり要らないと思った鯵を精肉売場に戻』す女性を目にしたらどのように思うでしょうか? 『年齢より若く見えるどころか老けて見え、若いころはさぞや美しかった...続きを読むだろうなと思わせる面影もない』というその女性。『妻から夫を奪うようには見えず、また、父に恋した女を死に追いやるようにも当然見えない』というその女性。 この記述を読む限り、そんな女性にマイナス感情を抱くことはあっても、プラスの感情を抱くことは普通にはないと思います。しかし、そんなあなたの理解は実は間違っています。なんとそんな女性のことを『困っている』と考え、『助けようと思って』、『食事を奢り酒を飲ませ金を与え』るという男性がこの世にはたくさんいるのだそうです。そして、さらには、妻を『追い出してそこに』彼女を住まわせた、という男性さえいるそうなのです。 さて、この物語は、『人に好かれる能力、もしくは運を引き寄せる能力』が異様に発達したというある女性の生きる力に驚愕する物語。そして、そんな女性とその息子の出現によって『不幸に追いつかれてしまった』、人生を『変えられてしまった』という思いに苛まれる女性が、それでも力強く生きていく様を見る物語です。 『どうやら自分は女にもてるらしいと』『小学生のころに』気づいたのは主人公の東原智(ひがしばら さとる)。中学で『それは確信になり』、高校で『ふつうのことになった』という智は、いつも『ふられる格好で終わったが、べつの相手に乗り換えればすむことだ』という日々を送ります。しかし、『二十代も後半にさしかかったとき、智はふと不安を覚えるようにな』りました。『どうやら自分には関係を持続させる力が欠如している』と気づいた智。結婚を持ちかけても『その話にのってくれる女性はいないばかりか、彼女たちは見てはいけないものを見てしまったかのように逃げ出す』という状況に戸惑う智。そんな中、『三つ年下で、出版社の経理部に勤め』る野崎史恵に『別れたい』と言われた智は理由を聞きます。『ふつうのことがふつうにできないでしょ、あなたは』と言う史恵に、『ふつうのことって何』と訊くと、『生活よ』と答える史恵。『あなたといると生活している気がしないの。そして私は生活がしたいの』と、もう『連絡もしないでね』と離れていった史恵。そして、智は『幼いころのことを思い出し』、『史恵の言ったこと』がわかるような気がすると感じます。『そもそも母親が生活のできない女だったと』考える智。『父親はいなかった』、そして『母、東原直子にも父親がだれであるのかはわからない』のだろうと思う智。『男がいないと精神的にも経済的にも生きられないような女』だったという直子は、『生活能力』が『徹底的に欠落していた』と思う一方で、『人に好かれる能力、もしくは運を引き寄せる能力』が異様に発達していたと考えます。『決まってだれかが助けてくれるから、直子はひとりで立つことを覚えなかった』と断じる智。そして、そんな状況は今も続いていると、『六十歳を過ぎ』ても『五歳年上の男と暮らしている』直子の現状を思います。『一年半ほど前に、妻を亡くしたひとり暮らしのその男に拾われた』という直子。一方で、智は『小学校に上がったばかりのころ、いっときいっしょに暮らし』た泰子のことも思い浮かべます。『直子との交際がばれたのが原因で』出て行った妻に困り果てた辻井の元に転がり込んだ直子と智。そこにいたのが辻井の娘・泰子でした。『泰子ちゃんと子犬のようにじゃれ合って遊んだ』という小学生の智。『素っ裸で布団に入り、たがいの体を撫でさすり合った』というその時代が『三十四年間のうちで最も楽しかった』と振り返る智は、『泰子ちゃんに会いたい』と、唐突に思い立ちます。『あのめちゃくちゃな日々がたしかにあって、あの女の子が空想ではなく実在』することを確認したいと思う智。そして、再開を果たした二人。そして、もう一人の主人公であるそんな泰子の人生が智と直子の出現によって『変えられていく』物語が始まりました。 “どうしようもなくだらしない人物を描かせると右に出る者はいない!“とも言われる角田光代さん。私が今まで読んできた作品の中でも”ダメ親父”が娘を”ユウカイ”して旅をする「キッドナップ・ツアー」、”自分よりもひとまわりも下”の金にだらしない男に貢いで身を滅ぼしてく女性が主人公の「紙の月」、そして、”大人になれない痛い人たち”が”わちゃわちゃとした”関係性を演じていく「三月の招待状」と、登場人物のダメっぷりにイライラさせられる作品が多数存在します。そんな角田さんの作品の中でも、この「月と雷」の主人公三人のダメっぷりには、耐え難いほどのイライラを経験させられました。まずは、『どうやら自分は女にもてるらしい』と小学生の頃から意識してきた智です。複数の女性と関係を持ちながら今日までを生きてきましたが、『あなたには生活ができないと思うから別れたい』とそんな女たちは、結局智の元を離れていきます。理由が分からない智は、その感覚を『一日三回のごはんがお菓子でも平気でしょう』と指摘されます。それが、『生活をできない』という感覚だと知り戸惑う智。片付けができない、という次元を超えたこの指摘。たった一言でなるほど、と納得させる角田さんの言葉選びは流石だと思いました。しかし、そんな智は、その原因が母親の直子にあると責任転嫁します。普通なら、さらに智を見下す一言になりますが、母親・直子のダメっぷりは想像を絶するものでした。男の元をただひたすらに転々とする生活を送ってきた直子。それは六十歳を超えても変わらないというある意味の奇跡。どこにそんな魅力が隠されているのか?読者はそれを読み取ろうと必死になります。しかし、そこに描かれる直子の姿は、一日中じっと部屋の同じ場所に座ったまま酒をただただ飲み続けるだけのだらしない女性の姿でした。さらにたまに作るというカレーの表現は強烈です。『市販のカレールーを使っているにもかかわらず、まずかった』というそのカレー。『生煮えのじゃが芋と、大量のモヤシと、「安かったから」という理由で豚のモツ肉が下処理をされないまま入っていた』と、しばらくカレーを食べる気が失せるような気持ち悪さにリアルな吐き気に襲われました。そして、そんな智と直子と暮らすようになった泰子。彼女だけは…、という一縷の望みも虚しく、『結婚するんだよ』と、婚約者の話をしつつも『泰子は智の性器を自分の内に導くように入れていた』と堕ちていってしまいます。そして、そんな三人の生活風景の描写はさらに強烈です。『洗濯物が畳まれなくても、所定の位置にしまわれなくても、綿埃が野球ボール大になっても、風呂場の排水口にもずく状に髪の毛がたまっても、人は、難なく生きていかれるのだった』と安堵する泰子。生活能力がない人間が集まった先にどんな生活が繰り広げられるのか、そのある意味での恐ろしさを垣間見る一方で、泰子が言うように、それでも『難なく生きていかれる』、それが人間なんだ、と人間のある意味での生命力の強さに不思議な納得感を感じました。 そんなこの物語は、作品後半になってだらしなさに対する嫌悪感を上回るように、角田さんらしい人の内面に向き合うような言葉が頻出する中に展開していきます。それは、智視点と、泰子視点に切り替わりながら展開していた物語がまさかの直子視点に切り替わることが一つの起点となるものでした。様々な小説で奇妙奇天烈な設定がされた人物が描かれることはよくあります。あまりに強烈な性格の人物、やることなすこと意味不明とも思える人物、そんな人物にも心というものはあるはずですが、そんな人物の心の内に踏み込む作品はあまりないと思います。この作品では直子がまさしくその位置を占める人物です。そんな直子に視点が移動するという衝撃。怖いもの見たさという言葉の先に進んでしまったその視点の移動。しかし、そこに読者が見るのは、奇妙奇天烈な人物の狂った精神世界などではありませんでした。どこか淋しげに、どこか世の中を俯瞰しているようなそんな直子の内面を垣間見ることのできるその視点の移動。そして、直子は語ります。『あのとき、とかね、いくら考えてもどうしようもないだろ、だったらそんなことを考えないで、今日一日をなんとかして終わらせるんだ、そうすっと明日になるからね、私はさ、そういうふうにしか考えたことがないから』というその独白。そんな直子は『直子さん、いつから直子さんは直子さんだったんだと思う?』と聞かれてこんな風にも答えます。『直子だろうが直子じゃなかろうが、東京にこようが父親がいなくなろうが、逃げようが追いかけようが、はじまったらあとはどんなふうにしてもそこを切り抜けなきゃなんないってこと、そしてね、あんた、どんなふうにしたって切り抜けられるものなんだよ、なんとでもなるもんなんだよ』。直子という奇妙奇天烈で正体不明な人物の生き様を感じさせるようなこの表現。そして、物語は、予想外な、それでいて予想通りの展開の中に幕を下ろします。こんな生き方はしたくないし、身近に接するのも嫌になる、でもその一方でこんな風に生きる人生というのも、それはそれでありなのかもしれない。自由に生きる、生きたいように生きるという生き方を体現しているような直子。決してあんな風にはなりたくないと強烈な拒絶反応を感じる一方で、直子の自由さを羨む思いを感じながら本を閉じました。 『ふつう、人は…自身の現実を変えないよう、変えさせられないよう、他人の現実を変えないように、注意して生きている。でも、この母子はそうではない』という強烈なキャラクターの存在が物語を強引に牽引していくこの作品。『生きていくというのは、他人の人生に闖入し、一変させ、とりかえしのつかないことを次々と起こし、後片づけを放ってまたそこを出ていく、そういうものだと思っている』という母と子が他人の人生の有り様を次々と変えていく様を見るこの作品。 一見、どうしようもないとしか思えない人物たちの内面を垣間見る物語の中に、『ふつう』とは何なのだろう、という疑問とともに、人の生き方の多様さと、それでも生きていける人間のたくましさをそこに見た、そんな作品でした。
この小説にはいわゆる世間一般の「ふつう」とはかけ離れた登場人物が3人登場します。 母・直子、その息子の智、そして幼い頃、智と一緒に住んでいて後に智の妻となる泰子 現実離れした生活を送る人達、読んでいて決して心地よい気持ちにはなれませんが何故だか先が気になって読み続けてしまう魅力がありました。 ...続きを読む それぞれの登場人物の設定がしっかりしていてその心理描写も巧みで脳内映像で絶えず動いていました。 感動出来る類の小説ではないけれど人間模様の面白さを感じた1冊です。
ー直子は最初から直子だったのか。それとも直子は直子になったのか。 この問いがずっとぐるぐるグルグルと頭の中をめぐっている。
結局今の自分を作っているのは自分。 環境のせいにしたくなるのも自分、ひねくれた思い込みは自分で解ける呪いなのだなと。面白かった。 そして、はじまったらもう以前には戻れないこと はじまったら終わるってことはなくて、なんとしても切り抜けなきゃいけなくて、しかしどうにでも切り抜けられるということ 直子の...続きを読む生き方は「どうにでも切り抜けられる」と考えている人のそれそのもので、それに私は少しばかり勇気づけられたように思う。 泰子が、どうか幸せになりますように。
レビューをもっと見る
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
新刊やセール情報をお知らせします。
月と雷
新刊情報をお知らせします。
角田光代
フォロー機能について
「中公文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
源氏物語 1
もしも、東京
いつか、アジアの街角で
方舟を燃やす
ナナイロノコイ
幾千の夜、昨日の月
ピンク・バス
愛がなんだ
「角田光代」のこれもおすすめ一覧へ
▲月と雷 ページトップヘ