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十九歳春、佳人(よしと)のシェアハウス生活が始まった。地元の人々を診てきた医院を閉院し、リノベーションした「シェアハウス小助川」で一つ屋根の下に暮らすことになるのは、年齢も職業も様々な男女六人。自室を持ちながらリビングや台所や風呂を共有する生活だから価値観の違いも見えてきて……。そして家主のタカ先生をはじめ皆が抱える人生に触れながら、佳人は夢に辿り着けるのか。
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Posted by ブクログ
小野寺史宣に出てきそうな佳人。ちょっと説教くさいが、その語りが心地よい小助川先生。それぞれ魅力ある物語を添えるシェアハウスの住人。とても心地よい物語でした。
引退した医師・タカさんが大家として日々健康相談にのってくれる男二人、女四人のシェアハウス生活。 初めましての小路さん。 こちらとっても良かったです!! 心に響いてくるメッセージの数々。人情にホッと和むし安心して読んでいられる。 読みながらタカ先生のカウンセリングを受けているような気分になりました。...続きを読む 会話にさりげなく相手への気遣いがあって心を軽くしてくれる人生のよき先輩。こんな人がそばに一人いてくれたら心強いし安心だろうなぁ。 料理上手で優しい佳人くんもいて、いいなー、私も仲間に入りたい。 住人同士の距離が少しずつ近づいていく感じや人間模様、謎、ちょっとした事件もあったりしておもしろかった! あちこちにタカ先生の名言がたくさん。 みんなで囲む食事シーンが楽しそうでした。 主人公の佳人がとにかく優しくて良い子。 登場する人がみんな良い人ばかりで読後感も温かい。疲れたとき、何かに迷ってるときに読むと元気がもらえる一冊。 素敵な初読み本でした♪ 『固まってしまった思いが解けていくためには時間が掛かる。だが、自分はこれでいいんだと思えることが少しずつ増えていけば、必ず解ける瞬間がくる』 『いい思い出は、生きる力になるんだって』 『どんなにくだらないことでも、何でもないことでも、嫌なことでも、経験しておけばそれは身体の中に溜まっていく。蓄積されていく。いつどこで役立つかはわからんが、何もないよりはマシってもんだ』
シェアハウスっていいなー。 下町の感じもいいな。 作中で教訓めいたことを言うけど、ストレートすぎないかこれ…。 でもいろいろ捻りすぎて何が言いたいのか分からなくなるよりは、ずっといいかも。
何でこんなに影響されやすいのか… 大きな理由は読ませ方が良いんだろうなぁ。 小路さんの小説は登場人物が皆魅力的で楽しい 続きー
シェアハウスに住む話。 人との繋がりが希薄な現代に 小路さんの世界はいつでも温かい。 こんな風に温かく優しい人になりたいと思う。 気持ちよく読み終えただけに 申し訳ないけど解説が残念でした。
沢方佳人(さわかた よしと)19歳。 中学一年の時に父を交通事故で失い、その後、忙しく働く母に代わって、家事のほとんどと三つ下の双子の弟妹の世話を引き受けてきた。 高校卒業後も進学はせず、近所の酒屋のバイトを続ける。 “やりたいこと”のはっきりしている弟妹に大学進学の機会を与えてあげたいと思ったから...続きを読むだ。 ある日、母から切り出される。 「今の佳人の世界は狭い家の中だけ。今まで本当にありがとう」そして「巣立ってほしい」と。 佳人は子供の頃かかりつけの医院だった「小助川医院」をリノベーションした「シェアハウス小助川」に住むこととなる。 タカ先生は、一緒に開業していた両親を亡くした後、まだ50代なのに医院をたたんでしまった。 寂しい独り暮らしをしていたタカ先生と、それぞれ心に秘めたものがある住人達は、どう関わっていくのか。 「特にやりたいことが見つからなくて、フリーターをしている」 佳人の状態は一見、頼りない若者のように見えるが、気を付けて読めば、彼は最初から一つも揺らいでいないことに気づく。 『家事が好き』『人の世話をして喜ばれたら嬉しい』 仕事にできるような趣味もなくて…と言うけれど、それは世間一般が佳人の得意なことを仕事と認めないだけである。 シェアハウスや共同生活、または昔ながらの下宿をテーマにした作品に興味がある。 ともすれば家族との関わりもうまくできない自分にとって、他人と暮らすという勇気に驚いたりもする。 なんてことはない日常が延々と描かれても、ぜんぜん退屈しないのだ。 最初、家主のタカ先生は、気力を無くして心を病みかかっているのではないかと思ったが… いや~、よくしゃべるようになりました(笑) 自分の信条などを語る相手を持ったことで、生き生きとしてきた。 身体の“内科”の先生ではあるが、人間の“内面”も診る。 他人とかかわり、自分と違う考え方、生き方に触れることは、面倒ではあるけれど、一番の刺激であり、生活のスパイスであり、心のカロリーでもある。 作者の言いたいことは、タカ先生によって語られ、佳人によって検討され反芻されて行く。 理解できない考え方をする人間とはどう関わるか、または関わらないか、というのは永遠のモンダイ。 先生の意見、しっかり者の恵美里の主張も、うんうんとうなずいてしまう。 そして、ついに、佳人の「才能」を「仕事」に結びつける道が開ける? 急に話が上手く転がった気もするけれど、今までの佳人のコツコツ積み上げた努力が報いられたと考えるべきか。 期待に満ちたラスト。ぜひ、続きが見たい。
これは深面白いなー。タカ先生の言葉がいちいち深い。為になるから、まとめたいぐらい。主人公の成長も感じるし、暖かい内容だし読んで良かった。 人は誰しも闇があるよね。闇の深さはそれぞれだけど。闇が病みにならないようにしないと。 それと、1人が好きな自分にはシェアハウスなんて絶対無理だな。と思った。
小路氏がこのタイトルで書いた作品に対して期待した通りの内容でした。 登場人物それぞれに事情があるものの、基本的に皆善人で、前を向いて生きようとしている。若い頃なら一度ぐらいこんな環境で暮らしてみるのもいいかなと思いました。
このまま終わったらもったいない。シリーズ化してほしい。少なくとも、佳人がフランスから帰ってきてからのお話が、読みたいです。恵美里との恋愛の様子も読みたいです。
毎度の小路幸也ワールド。 良い隣人たちが良い生活を営みはじめ、ちょっとした事件も彼らの善意あふれる人間性で解決していき、最後は登場人物皆が気持ちよい表情で希望ある未来を向くエンディング。マンネリっちゃマンネリだけど、小路作品はこうでなくちゃと思う。 こういう優しい物語の中だから語れる生き方の教訓っ...続きを読むてのもあるわけで、本作では物語の中盤にとある事件をきっかけとして、主人公とシェアハウスの大家が語り合う「頭のおかしな連中にならない方法」と「悪意について」がその教訓にあたる。 ここの部分が核心であり秀逸。おかしな人間とはどうやって形成されていくのか?おかしな人間にならないためにはどうすれば良いのか?書いてあることは言い古されたことなんだけど、いちいち得心がいく分かり易さ。ここの処世訓を大黒柱にしてるから、優しさを溢れさせてもこの小説は潰れないんだなと思った。 悪意に負けそうになったとき、おかしな人間になりそうになった時、この小説を読み返そうと思った。
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