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天正十年、甲斐の武田氏を滅ぼし天下統一に王手をかけた織田信長は、正親町天皇に大坂遷都を迫った。このまま信長の思うままにさせていれば、いずれ朝廷は滅ぼされる――不安と忍耐が限界に達した帝は、ついに重大な勅令を下す……。本能寺の変まで、残り三十八日。日本史上最大の謎を、明智光秀をはじめ、近江前久、吉田兼和、里村紹巴、徳川家康ら、信長を取り巻く男達の心理戦から炙り出す、著者渾身の歴史巨編。
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Posted by ブクログ
ストレートで思い切ったタイトル。 内容も、これ以上ないほどに面白く読みやすい。 本能寺で時の天下人・織田信長が部下の明智光秀に討たれたことは、歴史に疎いサブロー(誰!?)でも知っている大事件だが、真相は、とくに、光秀が信長を討ち果たす決心をした理由については謎のままだ。 光秀が信長に猛烈なパワハラ...続きを読むを受けていたらしいことは、目撃証言などもあるようだが、それだけでどうかな?という思いは多くの人が感じると思うし、毛利攻めに関してないがしろにされたから、とか、秀吉が仕組んだ説などと、どんどん新説も出てくる。 この本はシンプルな組み立てだが、1章ごとに中枢人物の心理が深く書きこまれていて、読み進むごとに、「もうこれしかあり得ない」と思えてくる。 結末は分かっているのに、手に汗握ってしまうのだ。 そして、信長の末路についても、資料にある以上のことを創作していないにもかかわらず、「これが真実」と納得してしまう。 信長の遺体は発見されなかったし、首も上げられていない事から、今でも、実は逃げのびた説があるが、「織田信長」という武将が、その後の歴史についぞ登場することが無かったのも事実だ。 そして、「本能寺の変」は、「戦国時代の終わり」の始まりでもある。 明智光秀が天下平定に大きく貢献したことは間違いないと思う。 信長は確かに、それまでの、「領地を手に入れて年貢を取ることだけがまつりごと」だと思っている、いまだ鎌倉気質の武士たちとは違い、グローバルな視点で日の本の未来を考えていた、むしろ時代にそぐわないほどの先進的人物だった。 物事にこだわらなさすぎたために、「朝廷?あん?別にそんなののなくても日本は治まるでしょ?」と考えて、こういう事態になったのだ。 いろいろあって(笑)、戦国は徳川の手で終わりを告げた。 信長が構想した様な世の中にはならなかったが、とりあえず260年は平和が続いた。 信長が夢見たような自由貿易がおこなわれ、朝廷が日本のまつりごとに口をはさむことが(法的に)出来なくなったのは、更に更に後の事… と思うと、やはり信長は先進的すぎたのだろう。 あの時代には存在できないほどに。 ゆえに「信長死すべし」とあいなったのだ。 非常に納得できた作品だった。 それとともに、これほど明智の無念が胸に染みたこともない。
朝廷黒幕説を取って本能寺の変に至るまでを描く。歴史小説ではあるものの、サスペンス小説のような面白さがある。
織田信長を倒したいという人々と、野望に邁進する信長の葛藤が描かれた物語。歴史的に知られている本能寺の変に向けて人々がどう動くのか、その表舞台と裏側の対比にドキドキしながら読み進めた。明智光秀については別の小説も読みたくなる。
山本兼一氏の作品はやっぱり面白い。 この人の作品他にも色々あるけど、とにかく面白いとしか言えないくらいに面白い。 で、信長死すべし。 いろんな人の人間模様というか、一人一人のその時々の 心境とか行動が、本能寺の変までの変化が人物別に 尚且つ時系列の様な感じで描かれているような。 こんな書き方があった...続きを読むのか、と。 驚きもあり、読みやすさといったら。 朝廷vs武士なんだけれども、みんな腹黒過ぎる!とか 最後のえー!?っていう驚きとか。 信長という絶対的覇者であり、絶対的存在を如何にして討つのか。 これを読みつつ、違う本能寺の変に関わる小説を読むと またより一層楽しめます。
思い悩む帝の章から始まり、多くの視点人物による濃密な各章が積み上げられながら、“事件”に至るまでが描かれるというスタイル…非常に好きなスタイルだ… 何か「渋い!!」という感じで、少し夢中になれる作品だ…
最近読んだ同著者の『火天の城』や『花鳥の夢』に被る部分があり、とても面白く読めた。 最終的に行き着く所は、誰もが知る”本能寺の変“なのだが、そこに行き着くまでの流れを章ごとに視点を巡らせながら進めていくスタイルで話がテンポ良く展開し、読者を飽きさせない。 織田信長という人物の人となりやその勢い、...続きを読むまた彼が見据えていた日本の展望や周囲の人間関係がページを捲るごとに徐々にくっきりと浮かび上がってくる。 『利休にたずねよ』をきっかけに山本兼一氏の作品を読み始めたが、十数冊読んでハズレがない。
本能寺の変を正親町天皇黒幕説から描く。天皇が黒幕と言っても天皇には力がなく、他人に命令することしかできない。天皇の命令を受ける公家にも力がなく、やはり他人にやらせるしかない。このため、黒幕が全てを操る物語ではなく、群像劇になっている。 黒幕説は明智光秀が操られた存在になってしまい、光秀自身の思いを軽...続きを読む視することになる。それにしても天皇や公家は汚い。失敗しても自分が傷つかないようにしている。保身第一の無能公務員と同じである。
テンポが良くて非常に読みやすい。 命のやりとりを日常的に行なっていた戦国時代に生きる人々尊敬の念を抱くばかり。
本屋で「利休にたずねよ」を超えた!とPOPを見て、「利休にたずねよ」が好きな私としては、イヤイヤあれを超えるのはそう難しいだろうと訝しく思いながらも、読んでみる。 一ページ目から面白い予感。帝、信長、その周りの人物と目線を切り替えながら、信長死すべしに向けて話は進む。 他では明智光秀は良い扱いされ...続きを読むていないが、なるほどなと、この流れに納得する。紀元前から続いてきた帝の流れを守ったものとしてみると、私の中でも英雄になった。 人物が切り替わりすぎて、付いて行きずらい感はあり、「利休にたずねよ」は超えてないだろと思うが、歴史的好奇心がくすぐられ楽しい一冊。
結末は分かっているのに、光秀が気の毒で最後が近づくにつれ読むのが辛くなった。御公家さんて、何でこんなに嫌らしいかな。
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