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平成12年5月に愛知県豊川市で、17歳の男子高校生が「人を殺してみたかった」という動機のもと、見ず知らずの主婦を殺害した事件は世を震撼させた。最終的に医療少年院送致となった少年がその凶行に至るまでの過程を検証しながら、少年事件をめぐる様々な問題を気鋭のノンフィクションライターが抉る渾身の一冊。
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Posted by ブクログ
この事件をちゃんと扱った本はこれだけだと思う。この著者の本はほかにも読みましたが、どれも中立な視点で好感が持てます
アスペルガー症候群が殺人を犯す要因ではなく、アスペルガー症候群で本人が殺人を犯したくなるような偶発的な出来事が重なった場合に、凄惨な殺人事件を起こすことがあるということか 確かにもやもやする。
人を殺してはいけない、というのは、結局は、現代社会でスムーズに生きていきたいのなら犯してはいけない不文律であるというだけ。 「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いには哲学者も困ってしまう。明確な答えなんてない。 ただ、自分や、自分の大切な人が殺されたりしたら、痛いだろうし、怖いだろうし、嫌だ、...続きを読むって想像することはできて、自分が人を殺さないし、殺されたら嫌な理由は、それだけしかない。 という意味で、「人を殺すのは人間的ではない!」なんて糾弾するのは私は好きじゃないのですが、私たちは社会的生き物なので、司法の場ではそうもいかないわけで。 つまり、私にとって、犯人の少年の動機はさほど理不尽ではなかったということ。 あと感想としては、 ・最近の事件は、とかく精神病に話を持っていきたがる ・途中から、アスペルガーの話中心になって、筆者の意図がよくわからなくなった ・と思ったら、あとがきで納得。へたな結論を付けずに、迷う姿勢には共感できる、確かに。 ・宮台さんの、現代の社会の枠組みにおさまらない人を、すべて精神病で片付けようとしてしまう社会構造の問題、という意見に、なるほどと思う。 ・シュタイナー学校
生きつづけてほしい。彼には。 家族と一緒にいたくなかったんだろーなって、いいこでいなきゃいけない、自分に嫌気がさしたのかなって。他人を巻き込まないと、生きていけないけれど、彼をかりたてたものって、あるぺるがーとか精神の病の側面もあるとわたしもおもう。ぷらす、 寂しさや孤独慢性的な空虚感満たされない...続きを読むなにかが、彼をつつんでいったんだとおもう。 一線を越えてしまった彼に、そっち側にいくなよっていう、人がいたらって思う。 悔しくてたまらない。 なくなったひとは戻らないから。
宮崎の女子高校生による同級生の殺害事件が気になり、著者の藤井誠二さんが出演しているのを聞いて、緊急復刊となった本書を購入した。 本書を読んで2つの事件の類似していると思ったのは ・人の命を特別視するがない。虫や動物と等しい。 ・親が離婚している、いずれも母親が手放し、父親または父方の祖父母に育てられ...続きを読むた。 著者によると少年の殺人犯の多くに、アスペルガー症候群と思われる傾向があることを示唆している。しかし、アスペルガーと断定することはなく、その点に関しては結論が出せないものとしている。アスペルガーが世の中に認知されるきっかけもこの事件だったようだ。 文庫版のあとがきで、宮台真司は本書が少年がアスペルガーとに該当するか疑問視しながら、新たな病理カテゴリーが生まれてきた背景として①精神科医は自らの保身のために新たなカテゴリーの症状を作り出そうとすること、②重工業化以降の社会が規範に適合しないものを病気として排除しようとすること、を挙げている。 また精神科医の高橋啓介はアスペルガーでも殺人を犯すものはまれであるため、それが殺人を犯す原因とは結びつけられない、としている。 意識や道徳といったものが理解できないというのも、人それぞれがもつ心身の長短の一つなのだろう。 意識や道徳こそ人間を人間たらしむものとして特別視されるものの、それは単なる思い込みや願望でしかなく、それを理解する部分が欠けている者がいても何ら不思議ではないのだろう。
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