漂砂のうたう

漂砂のうたう

638円 (税込)

3pt

【第144回直木賞受賞作】御一新から10年。武士という身分を失い、根津遊郭の美仙楼で客引きとなった定九郎。自分の行く先が見えず、空虚な中、日々をやり過ごす。苦界に身をおきながら、凛とした佇まいを崩さない人気花魁、小野菊。美仙楼を命がけで守る切れ者の龍造。噺家の弟子という、神出鬼没の謎の男ポン太。変わりゆく時代に翻弄されながらそれぞれの「自由」を追い求める男と女の人間模様。

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漂砂のうたう のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年04月05日

    作中常に漂う閉塞感、倦怠感、息苦しさ。とてつもなく気怠い空気がまとわりついてくる。
    加えて、ポン太が作り出す得も言われぬ奇妙で妖しいムード。

    アッと驚く何かが起こるでもない淡々とした進行なのだがページを捲る手が止まらない。まじないにでも罹ったように摩訶不思議な読み心地。

    御一新により、これまでの...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年09月07日

    「自分は、まるで水底に溜まっている砂利粒だ。地上で起こっていることは見えないのに、風が吹いて水が動けばわけもなく揺さぶられる。地面に根を張る術もなく、意志と関わりなく流され続ける。一生そうして、過ごしていく。」

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    Posted by ブクログ 2021年03月17日

    「さあ、徳川の時代は終わった。みんな自由だ」
    自由ってなんだ?何をしろと云うんだ。
    明治の新しい世に放り出された元武家の定九郎。
    焦燥感と諦めを抱えてもがく姿がよく描かれている。
    怪談調に導くポン太と凛とした小野菊とキャラクターも抜群に効いていて、直木賞受賞作品では久しぶりに夢中で読み耽った。読後感...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年05月24日

    定久郎は元武士、維新後家族捨て出奔。そして名を変え廓に身を潜めた。女は根津廓に売られてきた。どんなに美しくとも籠の鳥。小野菊花魁という名で生きている。彼女の情人、噺家ポン太。彼もまた名を捨て生きている。名を捨てた3人、カタチは違えど自由を求め行動をする。定久郎は翻弄されすぎて途中自由に負けそうになる...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2015年07月19日

    ここ最近、読む本にハズレがなく充実した読書ライフを過ごしてます。

    面白かった。
    それほどページ数が多くもないのに、ボリュームがありました。
    いろいろな謎がラストで解決し、すっきりした読後感です。
    遊女達の暮らしも、暗い描き方ではありませんでした。

    題名の意味と、内容との関係が最後までよく分かりま...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2016年06月19日

    さすが木内さんと思える作品です。明治初期の世の中の急変と、そのなkでどこか江戸の雰囲気を残しながらも変わって行く遊郭の雰囲気がしっかり伝わってきます。ですが、好きかと言われれば左程でもなく。
    『漂砂のうたう』と言うのは妙なタイトルだと思っていたのですが、読んでみれば納得。まさしく時代の激変の中で漂砂...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年12月12日

    最初は何の話かという感じだったが、最後の方の龍造との会話が美しすぎて泣ける。終始 感情の起伏を抑えた描写をしておいて、最後に落とす。あの数ページだけでも読む価値ある。

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    Posted by ブクログ 2023年01月28日

    御一新後に時世のお荷物となった「昔のお武家」の定九郎は、江戸の香りが残る遊郭の下働きに身を置く。 「これからは誰しも自由に生きりゃあいいんです」と言われても、世の中の変化に自分の変化が追いつかない。 部屋でゴロゴロするニートが「幕末に生まれてりゃなぁー」と言う飯尾さんのネタがありますが、 定九郎は「...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年12月19日

    読売新聞に連載の作品が面白いので読んでみた。ポン太の正体がぼんやりだけどこれはこれで良かったかなとも思う

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    Posted by ブクログ 2021年07月25日

    「選択の自由」、時代と共に流される「職」は、この明治初期と現代でも変わらない。 現代ではITが普及し今までの職がITによって置き換えられ、職が無くなる。それは今後も継続するのは間違いない。「転職の自由」、どこでどの様に見極め、自分の「天職」と言われるものを手にするかがこれからの時代だ。考えることより...続きを読む

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