ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
翻訳家の桐子(とうこ)は大工の伊助と深い仲。ただ彼は、生き別れた義妹が一番大事という。ならば私は何だと桐子は憤り、偶然行き着いた卜い家(うらないや)で彼の本心を探る(「時追町の卜い家」)。お宅は平穏ねと羨まれる政子。果たしてそうか、近所の家庭を勝手に格付けし、比べ始める。それが噂になってしまい……(「深山町の双六堂」)。“占い”に照らされた己の可能性を信じ、逞(たくま)しく生きる女性たちを描く短編集。(対談・鏡リュウジ)
アプリ試し読みはこちら
Posted by ブクログ
「新潮文庫の100冊」に入れて欲しいと思うくらい良かったです。たまに100冊を超えている年があるので、中の人がコッソリ追加してくれても良いのでは…などと思ってみたり。 内容は、“占い”にハマってしまった女性たちを描く全7話の短編集。とはいえ、以下にあらすじを書いておきますが、占いだけにあらず。人が...続きを読む何かにハマって行く過程の恐ろしさや、他人と比較して一喜一憂することの無益さがとてもよく描かれていて感心しました。 各短篇は一話完結ですが、別の話しに登場した人が再登場する話しもあります。以下が参考になれば幸いです。 1話.時追町の卜い家 家の修繕をきっかけに、翻訳家で独身の桐子が年下の伊助と半同棲生活を送ることに。しかし、彼は行方不明の義理の妹がいて、仕事の合間に探し歩く日々。彼女は、彼が妹を愛していて、いつか自分のもとを去ってしまうのではと不安になります。ある時、彼の気持ちを知りたい一心から何度も占いを頼るうち、次第に自分を見失って行きます…。 2話.山伏村の千里眼 山奥から大叔母の家に出された16歳の杣子。 ある時、彼女は大叔母を訪ねてきた女性の相手を頼まれ、適当に助言をして帰しました。一月後、助言が当たったとの報告に伴い、次第に千里眼との噂が広まって、見知らぬ女たちが相談に来るようになりました。そんなある日、良い結果しか受け入れられない女性が現れ、何度も占いにやってくるようになります…。 3話.頓田町の奇聞館 知枝は、学業不振から翻訳家の桐子家(1話の女性宅)に英語を教わりに通っていました。彼女は、なぜか仏壇に飾られた(亡くなった)男性に一目惚れして、お見合いに6回も失敗してしまいます。ある日、彼女は亡くなった人と会話ができるお婆さんに、遺影の男性を呼び出してほしいと頼みます。そこで出てきた男性は、驚くべき性格の持ち主で…。 4話.深山町の双六堂 平穏で普通の家庭が一番と思っていた主婦の政子が、悪童で名高い近所の息子の進学校合格を耳にします。別の日には、夫の同僚の妻が画家として活躍している話を聞き、自身は平穏ではなく平凡だと気付きます。そこで、近所の家庭を評した考課表を作り、自身の立ち位置を調べるうちに、人生双六まで作成してしまいます。果して双六の上がりは如何に…。 5話.宵町祠の喰い師 女学校を主席で卒業し、薬剤師として働いていた綾子(2話に客として登場)が、大工頭の父が亡くなったことを期に家業を継ぐことに。男性優位な肩身の狭い会社勤めから逃げられましたが、どうにも素行が悪い職人がいて頭を悩ませる日々。そこで、他人の悩み事を、ただ聞き入ってくれる喰い師という存在を知り、彼女はそこを訪れて得た結論は…。 6話. 鷺行町の朝生屋 恵子(2話に客として登場)は、子宝に恵まれない事を、親戚や子持ちの友人たちに無遠慮に聞かれることに辟易していました(2話と5話に登場した級友の綾子は別です)。ある日、庭で猫を追いかける4歳のゆうたくんと出会い、その時の楽しい思い出が忘れられません。そんな折、ある新聞記事を見たことから、朝生屋という写真そっくりに絵を描くお店に出かけます…。 7話.北聖町の読心術 佐代は著名な画家(4話の政子の夫の同僚の奥さん)の絵画教室家に通っていました。彼女は容姿に自信がありませんでしたか、そこに出入りしている画材屋の武史郎に誘われて交際することに。ある時、彼には以前婚約者がいたとの噂を耳にします。容姿に自信がない彼女は、彼が気休めに自分と会っているだけなのではと疑心暗鬼になります。そこで読心術に長けた女性に、彼の心の内を見てもらうことに…。
『かたばみ』が良かったので、木内さん二作目。このお話も良かった。 占い師に頼るようになった女性や、自分が占い師になった女性が出てきます。 少し前の時代のお話だからというのもありますが、話し言葉や表現が丁寧で美しいです。読んでいると、こちらの心も綺麗になりそう。 色々と思い悩みながらも、何かがふ...続きを読むっとわかって、そこから自分の心に向き合えて、賢明な判断をして前に進みだす女性の姿が描かれています。そんな風にできたらなぁと憧れます。 「北聖町の読心術」に出てくる、心を読む“都”という女性の占い方は特に印象に残りました。こんな方が実際になったらぜひ占ってもらいたい。 心に残ったところ 「屑待祠の喰い師」より ○人に教えるってのは、自分が苦労して技をものにするからできるんです。あそこでこうしとかないとしくじるぞ、ここで一手間加えるとうまくいく、ってね。 ○職人がうまくできなかったり、しくじったものは、父が黙ってやり直した。それを見た職人たちは走り、恐縮し、懸命に技を磨いた。 職人たちは、研鑽しなければいづらくなることを肌で感じていた。 口ではなく、己の態度で人の仕事を正すというのが、最も尊いことなのだ。 ○もちろん結果としてしくじることもあるでしょう。けれど、そうなった時、決して開き直ってもごまかしてもならないんです。ごまかす事は何も生みません。それどころか、自分まで見失ってしまう。 「北聖町の読心術」より ○女性というのは、自分で勝手に不安を作り出しては、突然相手に全てをぶつけて、仲を壊してしまう、ということをよくなさいます。ですから、ご相談にお見えになる方には、常々、不幸上手にならないように、と申し上げているんですよ。 ○なぜ他者との関係でそこまで不安になるのか。それを克服しない限り、誰と交際しても同じことの繰り返しになるでしょう。 ○人の心はどうにもならなくて、そのどうにもならなさには、様々なことが絡んでいます。生い立ちや、性格、今まで出てきた体験や。ですからときには、不可解をやり過ごす、ということがあって良いように思うのです。
連続短編集ともいえる、好きなジャンル。 そして、占いに翻弄される人々の引き摺られていく姿がじわじわと描き出されるのが、自分とも重ね合う時があってぞくりとする。
人間の業の深さを突きつけられる1冊。 執着する気持ちも占いにすがりたくなる気持ちもよくわかる。わかるだけにそんな自分をごく客観的に見えてゾッとする。何かに頼りたくなったら縋りつきたくなった時に読み返したい。きっと冷静になれるはず。
最近、占いに興味があり、占いを題材にした小説ということで手に取りました。こちらの作家さんの作品は初めて。時代は大正でやや戸惑いましたがすぐ慣れました。 精神的ホラー小説?の趣きで気楽に読める短編集で気分転換にピッタリ。主人公が全て女性で描写もドロドロしているので男性作家さんではなく、ちょい年代上の...続きを読む女性作家さんが書いたのではと思ったのですが、著者プロフィールを改めて調べてみたら女性の方で驚きました。名前から勝手に男性作家さんかと思い込んでいました。 男性が主人公のバージョンがあっても良い気がするのですが、どうしてないのか不思議。歴史的に高名な占術師は男性も多くいるのですが、顧客は女性主体のマーケットなのでしょうか。
レビューをもっと見る
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
新刊やセール情報をお知らせします。
占(新潮文庫)
新刊情報をお知らせします。
木内昇
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
浮世女房洒落日記
試し読み
球道恋々(新潮文庫)
櫛挽道守
光炎の人 上
光炎の人【上下 合本版】
剛心
新選組裏表録 地虫鳴く
新選組 幕末の青嵐
「木内昇」のこれもおすすめ一覧へ
▲占(新潮文庫) ページトップヘ