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「身代金は百億円だ。念をおすと1の後には0が十個つく。そして事件の進行は、すべてテレビで生中継せよ!」スゴい要求が犯人から出された。さらわれたのは、大阪府ふたつ分の山を所有する紀州在住の超大富豪のおばあさん。このウルトラ誘拐事件に一番あわてたのは、全国中継の番組は開局以来初めてというローカルテレビ局。犯罪史上前代未聞のユニークさを誇るこの事件は、一歩一歩と成功へ近づいていくが……。第32回日本推理作家協会賞受賞の傑作長編推理。
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Posted by ブクログ
映画化もされた誘拐コメディ(ミステリ?)。稚拙な誘拐グループが、誘拐した切れ者のおばあちゃんに振り回されて、逆に利用されてしまう。 映画は一部分しか見ていなかったのだが、その一部分そのままの文章で、シナリオと勘違いしたが、原作は1978年で映画は1991年。おばあちゃんはともかく、誘拐犯は原作のほ...続きを読むうがどんくさくて泥臭い。風間トオルや無いわなあ。 そこそこ長い本だが、ストーリー展開が非常に巧みで、勢い良く読める。さらに全編を通してニヤっとする小ネタも多い。相続税などの税制や和歌山と奈良の間の曖昧な土地のリアリティ、若干荒いながらも警察やテレビ局というところも、かなり調べてから、それなりに噛み砕いて書かれていることは、文章を面白くしているし、非常に好感を持てる。 ただ読者が置いてけぼりになるかもしれないのは、やっぱりコテコテの関西弁でしょうなあ。関西出身のワタクシなどからすると、あたかも喋りを聞いているかのように読めるけれども、関西弁に抵抗の有る人には受け付けないだろう。そういう人は、ちょっとさわりだけでも、映画の方をご覧になればよろしい。あの声で再生されますよって。 ところどころの刀自(おばあちゃん)の語りはくどいけれども、なかなかの名作。井上ひさしの関西弁版といったところ。
誘拐作戦の奇想天外さ、犯行(?)の動機、キャラクターの造形、読後の爽快感、そのすべてに於いて一級品。映画もすばらしかった。
こら面白い。犯罪の話なんだけど、最後まで誰も悲しまず、エンディングも見事にきまってる。話のテンポもいいし、あっちゅう間に読んでもーた。お勧め。
第三十二回日本推理作家協会賞受賞作。 映画の原作でもある。 「身代金は百億円だ!!念を押すと1の後に0が十個つく。事件の進行はすべてテレビ中継し……」 前代未聞の大事件はゆっくりと成功に向けて動き出すが……。
昔なつかしい
大昔、水の江瀧子主演のドラマをテレビでみたことがあり、懐かしさで購入したが、やっぱり無理がある展開、時代が良かったのか
身代金100億円の誘拐事件。誘拐されたのは全国でも指折りの大富豪。こんな誘拐事件なんて実際にないだろうなぁと思いつつも関西弁のテンポの良さにすらすらと読んでしまいました。この本が出版されたのは1978年ということで30年以上前の本ということもあり、若干時代を感じる部分もありました。おばあちゃん頭いい...続きを読むなぁ。
誘拐モノの小説にはあるルールが存在する。 推理作家の西澤保彦氏いわく、万にひとつも模倣犯が現れぬよう、わざと犯行過程に実行不可能な手順を紛れ込ませておく、のだそうだ。 本作でいうならば、それは「100億円の身代金」「劇場型犯罪」「慈愛」である。 和歌山に山林を持つ、大地主の柳川とし子を誘拐した犯人...続きを読むグループは当初5000万円の身代金を用意させるつもりだった。だが、とし子に「自分はそんなに安くはない」と一喝され、家族に100億円を要求する。 まず、ありえない。 そして、警察の手による犯人確保の隙を作らせないため、 身代金受け渡し等の一部始終をテレビとラジオに生中継させる。 劇場型とよばれるメディアを使った犯罪…これもありえない。 そして「慈愛」。 人質からのアドバイスや巨額の身代金など、 映画化もされた本作はその奇想天外な部分がクローズアップされがち…だとは思うのだが、この作品の本質はこの「慈愛」にあると思う。 それは、とし子を助けようとする人々であったり、 とし子を尊敬する人々であったり、 犯人がとし子に持つ秘められた思いだ。 この「慈愛」だけは、どんな模倣犯も真似することはできない。 それがこの小説を読めば分かる。 ミステリー史にその名を刻む名作を読み終わったあと、 思ったのはそんなことでした。(泉)
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