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「学力低下」はそんなに大変なことでしょうか? 「変な敬語」だって、気持ちが籠もっていない「正しい言葉遣い」よりずっと良いのでは? 大学に二十数年勤めてきて、一番感じていたことは、自分の意見はマイナーなんだな、ということでした――人気作家が語る「僕のいたところ」。学生、教育、研究……問いと答えを重ねるうちに、大学というシステムそのものの問題点が浮き彫りになる、今までになかった「大学論」!
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Posted by ブクログ
森先生の人となりが垣間見えるような、教育についての対談。 研究者とはどのようなものなのか、大学とはどのような組織なのか。 すべてが~の作品で出てくる研究室の背景がここにある気がします。
論理的思考・客観的思考がとっても大好きで、 頭の切れる人に、尊敬の意を持たずにはいられない自分ですが、 自分と同種の人には、この本はかなりおすすめだと思います。 この本の内容は、今まで通りに三つに分けようと考えていましたが、 結局一つにまとめられる事に気づきました。それは、 1:客観的事実に基づ...続きを読むき思考せよ! 理論も、理性も、感情も、過去も、経験も、未来もいらない。 客観的データだけが事実であり、真実でもある。 って事に尽きます。 それだけです。 それを思い出させてくれただけで、この本は買う価値ありです。
大学で何をするのか、何がしたいのかを再確認させてくれた本。 「大学院に行かないという選択は、経済的な理由以外にない」
森博嗣が大学についてQ&A形式で答えていく ただ、言っている内容は大学の研究室でボスが言っていた事とそんなに変わらないので、個人的にはそんなに目新しさはなかった ただ、世間一般的な人からすると意外な事実なのかもしれない 大学で研究したことがない人や高校生が読むべき本 大学は研究機関であ...続きを読むって、教育機関ではない 研究のスタートラインにたたせるための教育はするが、それが主管業務ではない なのに、ポストが上にあがっていくにつれて研究への配分が下がっていくジレンマ いびつな構造をなんとかしないといけないんでしょうけど、なかなか難しいでしょうねぇ
現在は退官されているようだが、 かつて国立大学の教員として勤務しており、 当時から今も変わらず作家として活躍している森博嗣が、 “大学”についてのインタビューに答えたものをまとめた一冊。 テーマが限定されてはいるものの、語られている内容の 核の部分は、森博嗣のエッセィ等で何度も語られてき...続きを読むたもの。 森先生がご自身でもおっしゃっているとおり、 明らかに少数派に属する意見だろうと思うし、 このようなことばかり主張していると 組織の中では異分子扱いになるだろうな、とも思う。 社会のことについて非常に無知な自分でもそう思うのだから まともな人が読んだら、拒絶反応すら示すのではなかろうか。 だが、別におかしなことは何も書かれていない。 どれも理屈が通っていて、うなずける話ばかりだ。 それなのに、この本に書かれているようなことが 社会的に少数派の意見であるのはなぜなのか。 その問いを発することにこそ、おそらく意味がある。 書かれていることを自分が受け入れられるかどうか、 といった尺度だけでこのような本を評価すべきではない。 こういった考え方もあるという事実を認識し、 なぜそう考える人がいるのか、 また逆に、なぜそう考えない人がいるのか、 といったことを考察してみると、きっと有意義だろう。
名古屋大学の非合理的なところに「つきあってられねぇ」と思っていた(思っている)んだろうなと予想されることが書かれています。多くの点で賛同しますが,「これは屁理屈だろう」と思えるところもあったりします。しかしながら,少なくとも,僕が知っている大学教員よりも数段もまともな考え方の持ち主だろうと思います。...続きを読む ***** 同じ問題を解かせると,たしかに,昔の学生よりは得点が低いといったデータがあるわけですから,その「学力」に関しては,低下していることは事実でしょう。それは,しかし,「ゆとりのある教育」という謳い文句で,ずっと邁進してきた結果であって,そうしようと皆さんが考えてしたことではないのでしょうか。今さら,低下していると目くじらを立てる方がどうかしているように思います。(p.25) 家庭内暴力という言葉がありますが,子供にとって,家庭とは,もう生まれたときから縛られているもの,それこそ暴力の一種だと考えても間違いではありません。家庭は,存在するだけで,子供にある種の暴力を振るっている,と認識すべきです。子供の自由を奪っているのですからね。もちろん,だから家庭なんて崩壊すれば良い,と言っているのでは全然ありませんよ。ただ,「家庭は無条件に良いものだ。すべてを解決する愛の場だ」と考えることは,もうほとんど宗教の世界だと思います。(pp.37-38) 小学校,中学校,高等学校,にはいずれも「校」の文字が付く。ところが,大学は大学校とはいわない。これはつまり,大学がスクールではないからだ。すなわち,「教えてもらう」あるいは「教育を受ける」場ではない,という意味である。学ぶための知識と方法は,すべて(ほとんど)高校までの教育で身につけられる。もう自力で学ぶ手法を知っている。それが大学生なのだ。大学の教育とは,講義室で行われる授業にあるのではなくて(あれは単なるガイダンスだと思って良いだろう),学びたい学生が,自分からすすんで教官の部屋へ訪ねてくる。そこで議論があり,ともに学ぶことができる。こういった学び手の主体性のうえに成り立っているのが本来の大学のシステムだろう,と森は考えている。この観点からすると,現在の大学(の多く)は,単なるスクールに成り下がってしまった,と思えてしかたがない。ほんの少し,大学の雰囲気を残す唯一の例外は,「卒業研究」だろうか(これさえ廃止してしまったところもあると聞く)。(pp.62-63) 仕事と手法が与えられたとき,それを的確に解決できるのが,学士。仕事を与えられたとき,手法を自分で模索し,方向を見定めながら問題を解決できるのが,修士。そして,そもそも,そのような問題を与えることができるのが博士である。(p.67) [申請書を作成する時の]研究テーマなんて,もうほとんど架空のものだといっても良くて,SFとまではいいませんけれど,まあ小説を書いているような,つまり創作だと思ってもらってけっこうです。とにかく,研究を遂行することが主目的ではなくて,いかにして審査にパスするか,いかにして資金を獲得するか,ということが最優先課題になるわけです。(pp.91-92) 旧帝大は,それなりに意識していますね,お互いを。もちろん,それは執行部がです。なにかというと,他の旧帝大の動向を調べて,比較をしています。他の大学がやったら,うちもやらなくてはいけないって考えるんです。変ですよね。普通,他でやったら,もううちはやらなくても良い,と考えるのが自然でしょう? 独自性を出せと言っているわりに,同じようにしたがるのは何故でしょうか。(p.131) 私学の先生なんかが,学生が多くて授業が大変だ,という話をされますが,それは,多いから大変なのではなくて,やる気のない学生が沢山いるから,邪魔だ,という意味でしょうね。これに対しては,教員の力ではなんともなりません。目先を変え,講義やカリキュラムの工夫をする,といった教員側の問題ではなく,大学の運営側の問題に帰着します。ようするに,私学だったら,理事会ですね。入れるだけ入れておいて「学生にやる気を出させろ」なんて,そんなことができるのは,ほとんど宗教団体でしょう。(pp.162-163) 大学は基本的に研究を行うところです。そこに,学びにくる学生たちがいる。研究する人の身近で,学問とは何なのか,学ぶということにはどんな楽しみがあるのか,を知る場所なのです。 高校生までの子たちは,学問が楽しいとは絶対に考えていません。また,大学を就職するための通過ポイントだと考えている人にも,学問の楽しさは発見できないでしょう。別に全員が発見しなくても良いと思います。ただ,そういう機会があった,というだけでも,将来の布石となるはずです。 大学のときは全然勉強をしなくても,三十代,四十代になったとき,ああ,あのとき勉強をしていたら良かったな,今からでもできるかしら,と考えられる,それだけでも,大学の価値はあると思います。大学に行っていなければ,それこそ,学問なんて雲の上のもの,まったく自分には無縁のものだと思い込んでしまうでしょうからね。(pp.170-171)
自分が大学生で身近だからか、森博嗣の新書の中では一番好きかもしれない(もちろんまだ読んだことのない新書もあるのだが、それを読んだとしてもこれが一番好きでありそう、という意味)。自分が曖昧に思っていたことをきちんと言葉にしてくれて、文章がすんなり入ってくる。
「あるあるあるある・・・」と思いながら読みました。 少子化について、学力低下についてなど、肯定的な意見を臆することなく発していて感心しました。
森博嗣という研究者が大学をどう捉えているのか。研究の場としての大学と教育の場としての大学の面から語っています。日本の大学教育の変革は意識の変革と言ってもいいと思っているので、著者の考え方に賛同しています。
高校生の自分としては、馴染みのない内容が多かったですが、対話形式や普通の形式(?)などころころ変わる感じが、全く飽きがこなくてよかったです!
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