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遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた――紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは、人質たちと見張り役の犯人、そして……。人生のささやかな一場面が鮮やかに甦る。それは絶望ではなく、今日を生きるための物語。今はもういない人たちの声、誰の中にもある「物語」をそっとすくい上げて、しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。
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Posted by ブクログ
やっぱり小川洋子作品にはハズレがない。夢の中にいるような、原風景を見ているような、生きているけどすぐ側には常に死があるような。この本の中で特に好きだったのは「やまびこビスケット」「B談話室」「槍投げの青年」「花束」かなー。解説で紹介されている小川さんの言葉「物語として残しておきたいと願うような何かを...続きを読む誰でも一つくらいは持っている」「それらを見つけ、言葉ですくいあげてゆくときのわくわくする気持ちが好き」。自分には出来ない言語化をしてもらってる感じ。
普段、腕や首や血が飛び散ったり井戸から貞子が出たりするものばかり読んでいるので、文字通り心が洗われた気持ちになった。 たまには心をお洗濯しないとだめですね…。 ささいな日常を(もちろん練りに練られた内容なのだけども)繊細で丁寧で厳選された言葉で綴られると、こんなにも濃密な世界になるんですね。 どの...続きを読む話も素敵なだったのですが、個人的には「B談話室」と「コンソメスープ」が好きでした。 この物語を語った人々がどうなったかは、冒頭で語られているので、だから余計に最後のエピソードの「この朗読会が終わらなければいいのに」という一文が胸に応えました。 読み終わってため息です。余韻引きずるわー。
監禁されたことによる人質の方たちの朗読会。人は誰しも語りたくなるような思い出を持っている。事件や事故大きいことではないかもしれない。けれども、自分にとって大きいことは物語のように話は進んでいく。 素晴らしい小説です。
命は尊いものであり、生きていると色んなこと起こってくるけど、感動を大切にしたいと、この本を通して感じた。
何かの比喩かな?と思った「人質の朗読会」というタイトル、そのまま「人質の朗読会」の話でした。 その人質は全員亡くなったことが明かされ、複雑な気持ちで読み始めることになります。 人質となってから時間も過ぎ、少し周りを見る余裕ができる頃。囚われの身である8人もだんだん打ち解けてきたのかな。 殺伐とし...続きを読むた状況の中で、せめて穏やかな時間を過ごすためにできる事。 未来がどうなるわからない今、絶対に確かな過去の記憶を思い出し、したため、語る事。そしてそれに耳を傾ける事。 それで自分を、お互いを支えていたのかな。生きるための朗読会であることは間違いなく、だから切ない。 他人からしたらなんて事ない出来事だろうけど、強烈に覚えてる事あるなぁ。 各々のエピソードの後には『職業・年齢・性別・旅の目的』の記載があるのですが、ここがまた。この1行でさらに印象が深くなります。 しっかし発想がすごい…よく思いつくなぁ。
ひとまとまりのお話だけれど、短編集のような構成。一人ひとりの静かなコアな地味な物語が、心に染み入ります。小川洋子さんの世界観は人であることでしか味わえない心理描写をいつも描いてくれて、それがたまらなく大好きです
個人的にかなり好きな話です。 人質たちはみんな悲惨な最後を約束されていますが、その人達がぽつりぽつりと語るのはふとした日常。きっと人の心や物語と呼ばれる物は尊い日常から生まれて、その日々を元に生きてきたのだなと思いました。小川洋子さんの語る「物語」というのはこういうものなのだなと思いました
人質として、いつ処刑されるか分からない状態の中で、自分の人生の一部を文章にして朗読し合う話です。 緊迫した状況下で、ほのぼのした話、切ない話、楽しい話が発表します。 牢獄の中で生きる糧を見つける人質の心情を上手く掴んでいて、その発想が面白かったです。
こんなにも生と死、いつも通りの生活の有り難みを感じられる小説はあまり読んだことはありません。 極限のなか感謝、後悔、恐怖、様々な感情を押し殺して朗読会を行います。 8人の人質は偶然その場に居合わせただけで、皆それぞれの生活があり、家族や友人がいる。年齢や性別も違っているお話がとても身近に感じられ...続きを読むます。9人目の、通訳の政府軍兵士が語った「彼らは祈りにも似た行為であった」の一文には涙が出そうになりました。 悲しいけど、素敵な短編小説です。
ずっと心の中にあり、人に話す程ではない、落ちもない話だけど忘れられなくて、思い出すたび、鮮やかさを増す記憶。私にもそんな話があるだろうか。 語り手一人一人の、その人となりが、息遣いが、ひとつひとつの話に感じられる。 お気に入りは、『死んだおばあさん』。
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人質の朗読会
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小川洋子
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