無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
Posted by ブクログ 2023年09月09日
ー 土間の焚火は殆ど消えかかろうとし、谷を囲む森の獣の吠え声、鳥の不意の羽ばたき、そして樹皮の寒さにひびわれる音が響いた。僕は眠るために苦しい努力をしながら、腹立たしく絶望的に重苦しい死のイメージに圧倒されていたので、安らかに天使的な弟の寝息が聞えはじめると嫉妬のあまりに弟への優しい感情をすっかり無...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年08月22日
戦争末期
山奥の谷のむこう側に、外界と隔絶された村があって
そこに町の「不良少年」たちが集団疎開する
村人たちからしてみれば、厄介者を押しつけられる形だった
しかし数日後、村に疫病が流行ったため
村人はみんな隣村に逃げ出してしまい
少年たちは全員取り残されて
それだけならまだしも
線路の橋をバリケー...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年01月06日
大江健三郎の初期の傑作。共同体からはじき出されたものたちのアジールの出現とその崩壊という本書の主題に対して、観念的すぎるとの批判は当然あるだろうが、荒々しいほどに研ぎ澄まされた文体と濃密な暗いエネルギーに圧倒される。現在の穏やかな文体とはなんと違うことか。自分自身をつくりかえてきた作家の原点に触れる...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年07月08日
大江健三郎さんの本は亡くなってから読み、これがまだ4冊目だが、こんな面白いとは思わなかった。難しくて自分には合ってないと思ってたのかもしれない。恥ずかしい。
この作品も、人間の嫌なところ、人間の習性を、独特の文体でこれでもかと、読み手の心に刻み付ける。
大江さんはそんなに人物に感情移入させないので、...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月02日
ちょっとクレージーな男の子の自立の物語。と言っても、読書会で賛同は得られなかった(^_^;)
凶暴化した社会は主人公の凶暴と呼応している。その中で、純粋なものを失っていくのは、暴力と直接リンクしているわけでなく、暴力の周縁で発生し、主人公を揺さぶる。
現代の10代にもそうしたことがあるのか、私に...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年05月16日
大江健三郎作品は短編以外では初でした。大江健三郎さんの文章を読んで自信を無くし小説を書くのを諦めた人も多いと言う話を聞きました。
少し回りくどく慣れるのに時間がかかったのですが、慣れてしまうと、こんな事まで文章で表現出来てしまうんだと驚きます。
自然の描写、人間の心の動き、複数の人間の間に流れる空気...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年01月02日
太平洋戦争末期の感化院の集団疎開のお話。もちろんこれは小説で、本当にこんな世界があったとは思いたくはないが、情景描写が生々しく、ノンフィクションとしてさせ感じられた。孤立は自由を与えてくれるが、不安や恐怖がその大半を占めていると感じた。ただ、孤立の不安や恐怖を乗り越えてとった行動によって、新しい世界...続きを読む
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。