文章は簡素だけど読みやすい。でも、最終章までは精神病をカテゴリーに分けてそれぞれ臨床例を出しつつひたすら淡々と解説という、精神科初心者向け新書にありがちな展開で萎えた。それなら野村センセの書いたいくつかの新書のほうが、文章表現も豊かだし断然面白い。ただ、最後の主治医 vs 会社の産業医のハナシにはすごく引き込まれました。そうそう、こういった、いまの日本社会における労働者という立場から、精神病に罹患することがどういうイミを持つのかが知りたかったのよ。でもいかんせんページ数が足らなかったようだ。ここだけ分離して、ぜひ社会科学にも明るそうな著者に、さらに考察してほしいのだが…