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〈朝、思いがけず自力で布団の中から這いだし、トイレに立つことが出来た。そして洗面も一人で出来た……〉薬の副作用による幻覚に苛まれながら、日ごと肉体から力を奪い取るパーキンソン病と闘った日々。その日一日の一挙手一投足に一喜一憂しながら周囲の人を思いやり、神に祈りを捧げ、長編『銃口』の執筆に情熱を注いだ3年間。三浦文学のファンのみならず、病など苦しみにあるすべての人を勇気づける日記文学の結晶。
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Posted by ブクログ
手に取った動機は「同病相哀れむ」気持ちから。 そう。僕自身がつい最近、晩年の著者を苦しめた難病、パーキンソン病の診断を受けたことが大きい。同じ病と闘いながら、後世に「日記文学の名作」とも評される本書を遺した著者の足跡に惹かれ、一気に読み終えてしまった。 著者・三浦綾子の名と、彼女の出世作「氷点」のこ...続きを読むとは知ってはいたが、著作を読んだのは本書が初めてでは無かったか。そしてこれが驚くほど読み易い。それが、単に平易で簡明な文章であるからのみならず、著者の一貫した、決してブレることのない価値観(信仰と云ってもよい)と洞察に裏打ちされた、表裏の無い無垢な視座、心情から湧き出た文章であるから、ということをつくづく感じ入る。 そして感服するのが、本書に描かれる夫の妻への献身ぶり。誰が真似できようか。 冒頭から最終ページまで絶え間なく綴られるパーキンソン病の症状や苦しみ。当時から30年超を経た現在と比べれば、治療法の効果や選択肢も大きく異なり、患者の苦しみも如何ばかりだったか。それでもその病を決して苦にせず、神が与えた使命と受け止め前向きに生き続けようとする著者の姿勢、眼差しには、キリスト教とは全く無縁の自分でさえも、甚く感銘を受け、尊敬の念を禁じ得ない。 同病の一人として、大いに勇気と力を与えられた。
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