森の奥深く、沢山の本と動物たちに囲まれながら、穏やかな日々を送るふたりの兄弟、「ゆきしろ」と「ばらべに」。寄り添い暮らすふたりのもとに、ある厳しい冬の晩、寒さに打ちひしがれた大きな大きな“熊”がやって来ます。心優しいゆきしろとばらべには、“熊”を家に迎え入れ、冬のあいだ中むつまじく暮らすのですが、そんな蜜月は長くは続かず――。
グリム童話“Snow White & Rose
Red”を原作とした表題作のほか、少年たちの一瞬のきらめきを繊細な視線でとらえた至高の5篇。他の追随を許さない闊達な想像力と、精緻な筆先が誘うのは、まさに夢幻の世界。私たちの魂を、高く、遠く連れ去ります。
中村明日美子氏もため息をついた、まさに宝石箱のような少年傑作集です。(「ゆきしろ、ばらべに」モチーフの美麗ポストカードつき!)