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自分の鼻が一人歩きをして物議をかもす「鼻」。貧しい官吏が思い切って新調した外套を奪われ幽霊となって徘徊する「外套」。戯曲「査察官」では、ある地方都市にお忍びの査察官がくるという噂が広まり、市長をはじめ小役人たちがあわてふためく――増殖する妄想と虚言の世界を新しい感覚で訳出し、従来の深刻、生真面目な作家像を完全払拭。代表作3篇を収録した、これぞゴーゴリの真骨頂。
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Posted by ブクログ
楽語調で訳されたゴーゴリの代表作3作品。 意見・好みは分かれるだろうけれど、ゴーゴリの入り口としてはとても面白い選択肢になると思う。 とはいえ、この本の中で最も興味深いのは巻末の解説かもしれない。 ゴーゴリに対する容赦のなさがあまりにも痛快。 どの物語も「滅茶苦茶」な展開が面白い一方、どこか平面的な...続きを読む、マネキンを動かしているような、無機質さのようなものを感じた。 確かに「彼は外形的フォルムを描く天才的な画家」であり、「外形を描き出すことしかなしえなかった」のだろう。
昔、岩波文庫で読んだのですが、あの時は「ダメだ、こりゃ」と思ったのです。だが、今回、新訳で読むと「まったく違う」。不思議だなぁと思った。生き生きしている。テンポがいい。査察官は、とくに笑えた。古典文学で、ここまで笑えたのは初めてだと思う。というのも落語風に翻訳していて、リズムがよく少し軽い感じで話し...続きを読むが展開していくので、古典という違和感を感じることなく読めたのが良かったのかもしれない。おもしろいですよ。コメディであり風刺なのかな。でも、当時のロシアがよくわかんないから、何となく風刺しているという風?。
新訳版ではべらんめえ口調となっているようです。 これ岩波版と対比で読んでみたいなぁ。 どう違う印象を受けるのでしょうね。 3つの作品どれもが好きです。 2つはまあありえないよ的な 非日常物語。 何せ最初の作品は鼻ディサピアードですので。 しかも移動しよるから恐ろしい。 でも、一番の傑作は 滑稽さ...続きを読む前回の「査察官」 悪いことしなければごまかしの連続なんかに ならなかったのにね。 最後のあの場面は「頭にこびりつく」ことでしょう。 賛否両論あるでしょうが この口調もわるかない。
2月にバーゲンで、定価の1/3で外套を購入。 ロシアで着ても大丈夫な位暖かいですが、でーじ重い。 1.5kgもあります。 この外套に身に包んだ瞬間、何故か、ゴーゴリの『外套』を読みたくなりました。 この作品は、悲喜劇なんですが、プロレタリア兼人望の無い、しがない安サラリーマンには、身につまされて...続きを読む笑えませんでした。 昨日も、永年勤続で賞金を貰いましたが、お偉いさんから、会社に返せとかチクチク嫌がらせを受けたし。。。 これって、パワハラじゃないかと憤りながらも、しっかり返しませんでした。 そこで一句、やせ蛙、負けるなまるま(○ま=一色の碧い彗星の略称)、ここにあり。パクリ。 感動したっ!以上!!(毎度お馴染み、小泉元総理のパクリ)
ロシアが産んだ新感覚な笑いのエンターテイナー作家、ニコライ・ワシーリエヴィッチ・ゴーゴリの代表作3本を落語調で翻訳。 やっぱり「鼻」は何度読んでも訳が分からない。でも、クセになるおもしろさ。巻末解説の「4次元的創造力」という言葉に納得。「鼻」のあまりのシュールさに慣れてしまうと、続く「外套」、「査...続きを読む察官」の世界観が当たり前すぎて、物足りなくなる。 よって、ゴーゴリ初体験の方は「鼻」を後回しにして読むべし。
あわれなアカーキイ・アカーキエヴィチわたしたちは、外套で判断し、外套に理想を求め、外套を失い落胆する。くるむはずの自身はいずこに。
言わずとしれたゴーゴリの代表作たちだが、翻訳が独特でありある意味では成功とも言える。落語云々はともかく、何度も訳されたものをあえてこうして提出する気概を買う。
光文社古典新訳文庫のこちらには、浦雅春さんによって落語調で翻訳されたゴーゴリの三作品が収録されている。ゴーゴリはおろかロシア文学のロの字も知らない私だが、落語調、というのが気になって手に取った。 『鼻』がいきなりすごく面白い。ある朝床屋が焼きたてのパンを食べようと半分に切ったら、そこになんとお得...続きを読む意さんのお役人の鼻が入っている(のっけから、不気味とか不穏とかを通り越し、あらゆるルールを無視した世界であることが提示され、むしろ安心して読んでいける)。おかみさんに捨ててこいとどなられて捨てに行く。当のお役人の方も、起きたら鼻がないことに気づいてたまげている。町に出ると、馬車から自分より身分の高い役人の制服を着た紳士が降りてくるのだが、それがなんと自分の鼻。勇気を出してへりくだってお声掛けするも「私はあなたのことなんて知りませんが」などと鼻であしらわれる始末(鼻だけに)。どうしよう…というような素っ頓狂な話が、江戸落語調で、語られる(「ってやんでい!」という台詞もあったから江戸で合ってると思う)。私自身は落語に明るいわけではないが、夫が落語好きで、家や車でよく落語の音源をかけている。いろいろ聞くが、圧倒的に古今亭志ん朝が多く、私もかなり耳馴染みになっている。だからこういった江戸落語調の文章を読むと完全に志ん朝さんの声で再生される。好きな落語家さんのおられる方はぜひこの作品を読んでいただきたい。一席聞けた気分になれてお得ですよ。この話の終わり方も、そこは落語とは違ってちょっと考えさせるような、いや考えても結局なんにもならないような、絶妙な語りで締められており、この文庫六十頁の短編一作を読んだだけで、爆風に晒されたような心地。 『外套』は鼻に比べたらずっとずっとセンチメンタルで、相変わらず落語調ではあるが、ゲラゲラ笑うような噺ではなく、人情噺や怪談噺のような風情。哀切に満ちたバイオリンの伴奏をバックに白黒無声映画を見ているような感覚もあった。ゴーゴリの力なのか浦雅春さんの力なのかわからないが、なにかこちらの演出ごころを刺激してくるところがある。 『査察官』、これは五幕の喜劇の戯曲。三作の中では最も分量も多いのだが、筋はシンプルな勘違いモノ。各人物の本音と建前のギャップや、長台詞で滔々と語られどんどん壮大になっていく虚言、そして最後の場面の演出効果(冒頭で作者から俳優諸氏への注意としてコメントが添えられている)が見どころ。機会があれば一度舞台で見てみたい! おかしな感想かもしれないが、三作全体を通してのむちゃくちゃさ、揺さぶられ感、饒舌ぶりといった感覚が、最近読んだものだと井上ひさしの『吉里吉里人』を読んだときと似ていた。 浦雅春さんによる解説、あとがきも興味深く、といっても解説の内容をきちんと理解するには色々と基礎知識が足りていないとは感じたが、ウクライナ。ロシアだロシア文学だと思っていたが、ゴーゴリはウクライナ生まれの作家だった。
一年位前に読んだ「死せる魂」は つかみどころなく不完全燃焼のままだった。 その後、自分が興味を持った作家がファボっていたり、他者を説明する喩えに使用されていたり、何だかんだと名前は目にしていた。 今回のタイトルも全部漢字だよ。孤高の、寄せ付けない、雪降ってる感じ、出てるう。 これがアータ、と...続きを読むっても愉快で楽しかった。 訳がいい。床屋さんがパン食べようとしたら鼻が出てきて驚くんですが「鼻ッ!やっぱり鼻ッ。どうしたって鼻ッ!」「査察官」の市長の奥さん「あたしはあとじゃいやなんですゥ」小文字に悶えた。
「なんだよう、これ・・・・面白いじゃんかよう・・・。」と呟きながら読んだ『鼻』。なんかこういう夢見たことある気がしてくる支離滅裂っぷり。『外套』は、あぁきっとこの後酷い目に遭うんだろうなぁって思ってたらほんとにその通りになってしまい「あぁぁぁ( ;∀;)」と声が出た(笑)そこから先のもうひと押しが良...続きを読むいね。『査察官』は、前2作の方が好きだな、と思ってたけど、終盤にかけてシニカルな笑いが止まらなかった。解説でゴーゴリめっちゃ悪口書かれてて笑ってしまったが、おバカな天才だったんだろうか。他の作品も読みたい。
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