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Posted by ブクログ
「深海生物学への招待」
しんかい2000で初めて深海に潜り、青い異世界に触れた驚きから始まる、大冒険と大研究の記録。
いつの間にかお茶の間に現れた長沼毅氏による体験書。彼の専門は、生物圏科学研究科となっているが、深海は生物圏としては非常に魅力的だろう。サンジにとってのオールドブルーのようなものか?
表題は、深海生物学となっているのだけど、多くの深海生物を扱っているのではなく、大半のページは、チューブワームという生物に割かれているので、ご注意を。
さてさて、チューブワームと言われて、「ああ、あいつね!」となる人はどれくらいいるだろうか。
深海奥底に住むチューブワームは、口も消化管もない。代わりに、体内に共生するバクテリアを持っていて、これが栄養を供給してくれる。
見かけは、細長い筒のようで、色は白。長いもので2mくらいに育つヤツもいる。筒の先端からは、舌みたいなものが出ており、筒の白とあいまって紅白饅頭、とはお世辞にも言えない。
それが、無数にかたまって深海に陣取っておられたら、機械でやっとこさやって来た人間はただ恐縮するしかない。きっと、チューブワーム達の佇まいはさぞ気持ち悪いだろうが、同時に神秘的な可能性もあるはすだw
しかし、チューブワームについて、分かっていることは、多くない。地球には、億単位の昆虫種がいますが、深海の生物は、彼らに匹敵する程の謎に満ちた生物。チューブワームは、その謎に満ちた深海生物の一員として、今後私たち人間に、謎を解明する機会をくれるのだろうか。
チューブワームと共に本書の特徴として挙げることが出来るのは、ところどころに出てくる詩。これが、妙にこそばゆい。
例えば、川崎洋「海」より、
背の高い人ほど水平線は遠くなる。どういう人ほど海は深くなるのか。
中原中也「サーカス」より、
屋外は真っ闇。闇の闇。
など妙にこそばゆくおしゃれな詩が登場する。長沼氏が好きなのか深海生物や深海圏を表するに適しているから引用したのか分からないけど、生物について書かれた本にはなかなか登場しないのではないだろうかw
ごりごりの専門書ではなく、チューブワームを中心に深海を見る書と思えます。
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