無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
意外なほどこちらの評価が低いのにびっくり。他の方の感想で、何を求めてこの本を読むかによって評価が分かれる、とあって、なるほどなと思った。確かに事件の経緯を知りたくて読むと、そこには一切触れられていないので苛立ちを感じると思う。
著者の裁判記録を読んだが、殺意の有無については何となく疑問が残った。著者は殺意はなかったが、殺害したのには変わりがないため弁明はあまりしたくないという感じだった。この本で事件そのものについて触れられていないのはそのような気持ちがあったのと、簡単に触れられる内容ではないため、逃走の記録のみに割り切ったのではないかと思った。
個人的には犯罪ノンフィクションや冒険記が大好きなのでとても興味深く読んだ。どこまで本当なのかという問題もあるけど、記憶にムラがあるのがリアルな気がした。発達障害者には時々カメラアイを持つ人がいるというが、著者もそれなのではないかと思った。ちなみに酒鬼薔薇聖斗の絶歌はナルシズムが凄くて、文章は上手いけど何かなあと思ったけど、こちらの本は淡々と書かれているのにも好感を持った。
これ系の本の何が面白いかというと犯罪者でも普通の感性を持ち合わせているのが分かるところ。著者は自分のキレやすい性格も自覚しており、反省しつつも恐怖心から逃げていた。とても繊細な感性を持ち、頭が良い方というのも分かった。このような素質や文才を今後活かすことができないのは残念だと思った。
Posted by ブクログ
逮捕されるまで
僕の感想として。
本書を読んでまず感じたのは、人は極限まで追い込まれると、ここまで常軌を逸した行動を取れてしまうのか、という恐ろしさだった。市橋達也は逃亡生活の中で、まるで現実から切り離された霧の中を彷徨うように生きている。そこには「生き延びたい」という本能と、「現実から消えてしまいたい」という逃避願望が入り混じっているように見えた。
特に衝撃的だったのは、警察から逃れるため、自ら裁縫用の針と糸で鼻を縫い、下唇を切断し、さらにホクロまで除去したというくだりだ。単なる変装ではない。あれは、自分という存在そのものをこの世界から抹消しようとしているかのような行為に映った。想像するだけでも痛々しく、そこには常人には理解し難い覚悟と追い詰められた精神状態が滲み出ている。
では、彼はなぜ逃げ続けたのか。
自由のためだったのか。
刑務所への恐怖からか。
世間の視線から逃げたかったのか。
あるいは、自らの罪と向き合うことから目を背けたかったのか。
しかしその一方で、市橋は「捕まった時には運命を受け入れる覚悟があった」とも語っている。逃亡の日々は単なる自由ではなく、常に警察の追跡と猜疑心に怯え続ける生活であり、その時間の流れの中で、彼自身もまた罪の重さを噛み締めていたのだろう。
本書に綴られる言葉は、彼なりの罪滅ぼしなのかもしれない。しかし当然ながら、一人の尊い命が失われた事実が消えることはない。刑が確定したとしても、それだけで償い切れるものではなく、彼自身もまた、その罪の意識と生涯向き合い続けるのだと思う。
また、本書を読んでいて感じたのは、「もし、あの瞬間に衝動的にならなければ」という取り返しのつかなさだった。市橋達也は本来、観察力や想像力に長けた、おとなしい青年だったのかもしれない。しかし人は一瞬の衝動によって人生を決定的に狂わせてしまうことがある。その意味で、本書は単なる逃亡記ではなく、人間の弱さと転落の記録でもあるように感じられた。
人は失敗を繰り返しながら生きていく。だが、その中には決して取り返しのつかない失敗も存在する。罪と罰は比例するべきだと思う一方で、生命がある限り、人はなお生き続けなければならない。刑務所であろうと、それもまた人生であり、彼はこれから先、一生をかけて罪と向き合っていくのだろう。
最後に、読み始めた当初は句読点の多さに独特の読みにくさを感じた。しかし読み進めるにつれ、それは市橋達也自身が、自らの思考や感情を少しでも正確に伝えようとする、不器用なまでの丁寧さの表れなのかもしれないと感じた。
Posted by ブクログ
なんというか、まるでロードムービー的な小説のようだ。
「なぜ人を殺したのか」
「人を殺した人間のメンタルはどのようなものか」、
といったことはあまり描かれていないが、
逃亡中の生活やそこに関わる人々の暮らし、
捕まるかもしれないという切迫感はとてもリアリティがある。
本人は賢く、タフで、行動力もある。
一般常識もわきまえ、プライドが高く、
かっと切れやすい性格も自覚している。
要はどこにでもいる人間だ。
殺人は加害者も被害者も人ごとではないということのようにも感じる。
話のおもしろさは★5つ、
懺悔という意味で書いたなら★2つ。
事実を正確に手記にしたようでありながら、
描写が妙に克明だったり、本人の美学が多分に
含まれていたりと、脚色はかなりあるように思える。
関係者にとっては、本人の点数稼ぎともとれる
この本の出版は複雑かもしれない。
個人的には満足した一冊。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。