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1951年、杉並区の粗末な貸家で孤独に息絶えた老人・クォン・デ。彼はフランス植民地支配からの祖国解放運動のため、45年前に来日したベトナムの王子であった。母国では伝説的カリスマであった彼が、その後なぜ一度も帰郷できず、漂泊の日々を送らねばならなかったのか……。満州国皇帝溥儀を担ぎ出した大東亜共栄圏思想が生んだ昭和史の裏ミステリーを、映像界の奇才が鮮やかにドキュメント。
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Posted by ブクログ
あるテレビの仕事の取材でベトナム青年がふともらした「僕らの王子は、日本に殺されたようなものなのに、日本人は誰もこのことを知らない」という一言をきっかけにして、戦前の文献などを調べることとなったベトナムの王子クォン・デについての伝記。日露戦争で欧米列強の一国であるロシアに勝ったことはアジアからの期待は...続きを読む大きく、当時フランスの支配下にあったベトナムの人々にとっても憧れの国でもあった。クォン・デは、フランスからの祖国解放のために妻子を置いて、革命家のファン・ボイ・チャウらとともに来日した。しかし、結局は大きな貢献をすることもなく、最後までベトナムに帰ることなく日本の地で亡くなった。 本書はクォン・デの生涯を描きつつ、当時の日本と現在にも通底する日本社会の課題を浮かび上がらせるように書かれている。「クォン・デが来日してから第二次世界大戦が終結するまでの裏面史を描くことで、現在の歪な日本の姿を、少しだけ角度を変えた光源から距離を置いたスクリーンに浮かびあがる映像のように際立たせることは、当初の意図のひとつだった」と書く。 確かに第二次世界大戦に至る日本の歩みは森達也氏の問題意識と直接的に関係している。日本が戦争に突き進んだのは、ドイツやイタリアとは違った形のいわゆる日本的な「民意の暴走」によるものだと著者は解釈する。「日本は、究極的なデモクラシーを体現しながらファシズム国家への道を歩むという稀有な歴史を持つ国なのだ。 (中略) つくづく思う。日本という国は、ずっとこうだった、誰もが確信犯にならないまま、誰もが無自覚なまま、一人ひとりが全体の一部になることで思考停止して、国家としては取り返しのつかない愚策や過ちをいつのまにか犯している」 著者は、もともとはテレビ業界出身の映像の人であり、オウムを追った『A』、『A2』などの社会派ドキュメンタリーの人だ。最近のゴーストライター事件の佐村河内氏を彼の側から描いた『FAKE』なども素晴らしかった。クォン・デの話も当初は映像ドキュメンタリーのフォーマットで形にできないかと検討したが、予算もつけられず、また書籍のフォーマットの方が適しているであろうということでこのような形で進められたと。そして、そのことで著者自身「ターニングポイントになる、とても大切な作品」と言っている。 森さんらしく善と悪との二分法には抗がう。クォン・デを善人としても英雄としても描かない。逆にピュアだが、国の行く末を任せるにはやや頼りない経験不足な人物として描かれる。「この王子は批判や咀嚼の力があまりに弱すぎる。投げるのも直球なら受けるのも直球のみだ。これでは革命は成就しない」と評する。それでも、森さんの思い入れは伝わってくる。あとがきに何度も読み返し、少し涙ぐみさえもするという。 この本を書くための調査の最後仕上げとしてベトナムに行くのだが、そこで想定外のオチが付く。場合によっては全体の構成自体を揺るがしかねない事態だが、それはそれで意味があることなのかもしれない。 戦前のベトナムのこと、当時の日本とアジアとの関係、そしてもちろんクォン・デ自身のことなど全く知らなかったが、面白く読めた。
大変面白かったです。 クォン・デの最期から現代の場面に戻ったときの、1本の映画観終わった感。物語の中に入り込んでました。 他の方のレビューでドキュメントというより小説とあり、筆者もあえてそうした面もあると後書きにありましたので、物語と書かせてもらいました。 ただ、人物の感情描写はフィクションでも大ま...続きを読むかなエピソードは実際のことだと思いますし、現代に戻ってからの展開はドキュメントですよね。そちらもやるせなさがいっぱいですが、子孫に会えて誤解を解けたことは慰めでした。
本書のなかで、客観的な歴史など存在しない、歴史とは解釈するものによる主観的なものだ、と著者は云う。私も至極最もだと思う。だから、他人の主観を鵜呑みにしてはいけないのだ、とも思うのだ。 ベトナムへは仕事で何度となく行ったが、いまだにその理解が難しい。私が子供の頃のベトナム戦争。そして終戦と統一。けれど...続きを読むその後の中越戦争や、カンボジア侵攻、そしてボートピープルというのはどうしても理解できなかった。 今のベトナムはどうだろう。昨年、日越国交50年記念ということで、ファン・ボイ・チャウを描いたテレビドラマが日本で放送され、クオン・デも登場していた。日越合作だったと思うが、内容は彼らに好意的だったから、本書が書かれた時代とまた歴史解釈が変わったのだと思う。
歴史の闇に埋もれてしまったベトナムの王子、クォン・デについて書かれたドキュメント。 クォン・デと言う人物は読むまで知らなかった。ベトナムの歴史も、ほとんどと言っていいほど知らない。 本書は大きく分けて二つのシーケンスから成り立っている。 一つは書き手である森達也自身が自分の足でクォン・デを追うものと...続きを読む、森達也があらゆる文献を元にフィクションを交えてクォン・デやファン・ボイ・チャウの行動を文章化したものだ。 つまり後者のシーケンスの登場人物達の心情や、行動の真意は単なるフィクションである。 読んでいても彼らの悲観や情熱を作者が愛しすぎているきらいはある。だから文章から悲哀の二文字が立ちこめ過ぎている。 僕は史実を知らない。詳しく調べていけばもしかしたらでたらめなのかもしれない。 ただこの小説を或る一つの創作と考えるならとても面白かった。 きっと書き手自身の思惑もそうなんだと思う。 最も考えるべきはクォン・デのその日の一挙一動、感情の細やかな描写よりも、彼を忘れてしまった現代という時代ということなんだろうな。
植民地支配を受ける、ベトナム(仏領インドシナ)の王族として日本にわたり、そこから祖国を思いながらついぞ帰れずに亡くなった人生。報われないことも多い中、彼を支えた人たちとの交流が心に残った。犬養毅との交流は日本の昭和史を知るうえでも貴重だと思った。彼の帰国を祖国で待っていた妻トランのその後も気になった...続きを読む。
ベトナム阮朝最後の王子クォンデが若くして日本に渡り、結果として何もなさぬまま日本で生涯を終えた王子の無為徒食の物語。 ドラマあるドキュメンタリーを撮れると思って調べたら何も見つからなかった著者の苦悩いかばかりか。
森達也独特の冗長な、情緒的な、文章で、もってかれて、もってかれて。日本人て、何なのだろうなぁ、てことを考えながら読んでいた。忘れてしまうことは、なんとも、悲しいなぁ。。。僕は、正直、歴史を知らなすぎるなぁ。(12/1/29)
1906年、日本を訪れ、ひっそりと暮らし孤独に死んでいったベトナムの王子の生涯。日本に憧れ、ベトナム独立を夢見て日本にやってきた若い王子。書かれなければ知られることがなかった。「もう一人のラストエンペラー」という副題がわかりやすい。全然知らなかったベトナムの近代史のこと、勉強になる。
これじゃあドキュメントじゃなく小説だよ。森達也は司馬遼太郎になりたいのか?とか思いかけたけど、うん、やっぱり森達也でした。日清・日露戦争以降の歴史なんて、学校でもまともに教わってないし、こんなことが起きていたなんて全然知りませんでした。そういう意味ではおもしろかったし、多くの人に読んでもらいたい。と...続きを読むりあえず映画『宋家の三姉妹』をもう一度観たくなりました。
昔映画のラストエンペラーを見たこともあり タイトルに惹かれて買いました 歴史の中に埋もれていた現実に 驚くばかりです
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クォン・デ もう一人のラストエンペラー
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