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2013年カンヌ国際映画祭審査員賞に輝いた『そして父になる』(是枝裕和監督)の参考書籍である本作は、昭和52年、沖縄で起きた赤ちゃんの取り違え事件を克明に追ったノンフィクションです。小学校にあがる際の血液検査で、出生時の取り違えがわかった二人の少女。他人としか思えない実の親との対面、そして交換。「お家に帰りたいよう」子どもたちの悲痛な叫び――。当時、女性誌の記者としてこの事件を取材した著者は、その後十七年にわたって二人の少女と家族を追いつづけ、この驚くべき作品を書き上げました。「家族の絆」とは何かを深く考えさせる傑作です。
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Posted by ブクログ
沖縄で起こった取り違え事件。
沖縄では、経済的、教育的な差は各家庭に根強く存在している。今でもそう。親の教育や学校での指導が弱いとかではなく、別々の要素が複雑に絡み合った郷土性の問題である。
子供の取り違えにより、ある程度成長した子を元の家族に返したとして、その子の生活様式の中にあった経済的教育的価値観は生活様式の刷り込みに影響を与える。さらに、そうした差の中で培った価値観によってできあがった性格や精神状態は、さらに大きな影響を与える可能性が高い。
「これまで元気で適応できたから、よそでも大丈夫。」
な訳がない。
そうした葛藤はやがて相互の家族が育ててきた子、同家族の実子にとって軋轢を生む。親が望むとおりに子は育つという思い込みは、注いできた愛情や一緒に過ごした空間の密度、そして養育費用が大きければ大きいほど強くなる。これは時代が変わったところで同じである。大人、取り分け親という存在は、無尽蔵ではないものを捧げた分だけ、子への期待が高まり、思いどおりになると思っている人もいると思う。過言でなければそのような考え方の方がマジョリティな部分であるかもしれない。
取り違えによって子供を交換する、というのは上記の部分を過小に評価したとしても、複雑であるし、子供への影響は大きいと言えるだろう。だからこそ、我が子の取り違えは絶対に起こってはならない問題だと言える。
影響が大きいのは子供だけではない。育ての親でさえも、精神的な部分や経済的なダメージは多大である。まともに意識を働かせることは難しく、思考が麻痺してしまうこともあるかもしれない。
一方で病院などというものは他人事である。当事者も当事者であるにも関わらず、損害賠償を支払えばおしまいと考えている。医療訴訟ではない分、額も医者として真っ当な収益を得ている者であれば支払えない額ではない。無責任だし、なんなら遅々として交換が進まないことに対するイラつきだけは、一丁前に当事者意識である。
この作品ではそういう両家族の苦しみと、病院サイドの明らかに血の通ってない事後処理、沖縄のマスコミ側が抱える県民に対する奢りまで、憎々しく書かれています。それは恐らく、著者の奥野氏がジャーナリストだからだと思う。
人の不幸を書いた作品であるため、オススメしたい作品ではないが、一見の価値はあります。
Posted by ブクログ
以前から『生まれか育ちか』『血か情か』といったテーマには興味があったが、自分自身が子どもを授かったことで改めて向き合ってみたいと思い、読んでみた。厳密に言うと『そして父になる』を見返そうかと思っていたところ、この本の存在を知って思わず購入したもの。
このタイミングでこの本と出会えて本当によかった。
と強く思うほどに感銘を受けた。
実話であることに驚くほどの展開ですぐに読み切ってしまったが、とにかく智子さんの子どもを想う気持ちに圧倒されるし、親を冷静に見る子ども側の意見からは感じることが多かった。
親の教育の一貫性と教養、さらには親が自分自身をコントロールして、子どもから尊敬に値する人間で居ることこそが何より大事なのだと感じた。
ここに出てくる両家はあまりにも対照的だと感じるが、自分自身も親の言うことの矛盾は敏感に察知していたことを思い出した。
親も人間である以上、完璧で居ることは難しいが、それでもこうしたことは常に心に留めて、子どもの幸せを願える親でありたいと思う。
エピローグでそれぞれが今を力強く生きる姿には勇気をもらいました。
過去は変えられないから、起きたことを踏まえてどうあるべきか、きちんと考えて、真摯に向き合っていける人間でありたい。
Posted by ブクログ
映画 『そして父になる』が参考にしたという、赤ちゃん取り違え事件を17年追ったノンフィクション。作者は『心にナイフをしのばせて』 『密貿易の女王ナツコ』など面白い本を沢山書いてる奥野修司さん。
映画がかなり面白かったので読んでみたのだが、そしたら映画の10倍くらいこっちの方が面白かった。映画は子供を交換して上手くいかず、元に戻すのかどうなのか・・・というところで終わっていたが、この本では子供が30歳になるまでを書いているので、様々なドラマがある。
取り違えられた二人の女の子の葛藤はもちろん、その二組の親のなれ初めから浮気、酒浸りでネグレクトな母親、そんな嫁の姉とくっついちゃう夫など、取り違えがなくても十二分に問題あるだろうってところがやはりノンフィクション。
片方のお母さんが誠実な人格者で、それによって取り違えられた2人の女の子がどちらも救われたような展開。ホントにいいお母さんです。娘に「お母さんみたいな子育てして温かい家庭を作りたい」って言われるって、至福じゃないでしょうか。
人生について色々大切な事を教えてくれる、素晴らしい本でした。
考えさせられます
「そして父になる」の映画が良かったので、原作が気になり購入しました。持って生まれた性格はあるにせよ、育った環境がその人の人格にも人生にも大きく影響するんですね。産みの親と育ての親、とても難しい問題だと思います。なかなか考えさせられます。
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