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Posted by ブクログ
近年、「人が自分らしく生きる」ということと、他の人との関係、そして組織や社会との関係に関心があって、そこから暴力とか、エゴセントリシティとか、成人発達とか、文化の違いとか、色々、興味を持って本を読んでいる。
そういう中で、出会ったのが、ハンナ・アーレントで、彼女の言っていることに全面的に賛成しているわけではなく、一部大きな疑問を持っているとこもあるのだが、問題設定の仕方とか、思考のパターンとかにはかなり共感している。
アーレントは色々なことを言っているわけだが、何かこうしたらいいという積極的な主張があるわけでは必ずしもなく、彼女の最大の関心は、「全体主義を避けること」で、その他のことは少々問題あっても仕方ないみたいな感じなんだろうと思う。
というなかで、反全体主義という観点で、最大の批判の対象となっているのがルソーなんですね。(アーレントは、マルクスにも批判的だけど、全面的な批判はなく、肯定的な評価の部分も多い)
私も昔ルソーの本を何冊か読んだ時の疑問とアーレントの批判はかなり共通の部分があって、共感した。
あと、ルソーといえば、現代思想の中では、批判的に取り扱われることが多くて、デリダが、ルソー、およびルソー的な世界観の中にいるレヴィ・ストロースを批判したのは有名。
というなかで、ルソーの入門書を手に取る。
著者は、アーレント関係の本もたくさん書いていて、デリダの解説もしている仲正さん。
で、不思議なことに、これはルソー批判ではなくて、どちらかというとルソー擁護の本です。
ルソーのテキストに添いつつ、デリダ、ロールズ、アーレントなどとの関係を紐解いていく、まさに私が知りたかったこと。
ルソーに対する誤解の一部は解けたかな?
でも、ルソー本人の意図は違ったとしても、やっぱりルソーの思想は結果として全体主義を生み出すのだ、という感覚はあまり変わらないかな?
好きか、嫌いか、賛成するか、反対するかは別として、ルソーは、今、色々なことを考えるのに大切なところだと思った。
Posted by ブクログ
デリダによる音声中心主義批判にさらされ、アレントによって全体主義の元凶とされたルソーを、仲正昌樹が「読み直す」ということで、かなり期待して読みはじめました。
「終章」で文芸批評家のスタロバンスキのルソー解釈に依拠しつつ、「透明なコミュニケーション共同体」を語った「壮大なフィクション」としてルソーの著作を読み解くという方向性は刺激的に感じました。ただし本論は、現代思想的なルソー解釈がきらびやかに展開されるというわけではなく、『言語起源論』や『人間不平等起源論』『社会契約論』『エミール』といった著作にある程度立ち入って内在的に読み解こうとしています。著者の各種「入門講義」でもそうなのですが、現代思想的な解読をそのつど参照しながら、まずは内在的にテクストをたどっていくという姿勢が本書でも示されているように思います。
著者らしい「キレ芸」は本書にはほとんど見られませんが、「過激なくせに、どっちつかずの態度を取るところが、ルソーの思想の奇妙な魅力になっている」と語る著者に、イロニーの思想家の面目を見てしまいます。
Posted by ブクログ
「わかりやすさ」に定評のある著者の文章をもってしても、ルソーの真意は読み取りにくい。著者もルソーの書物に矛盾が散見されることを認めている(あまつさえ、数々の矛盾は、ルソーの意図的なアイロニーなのかもしれない、とまで)。
ルソーのいう「一般意思」を、会社などの団体の意思に例えた説明はシンプルでしっくりきた。しかし同時に、「一般意思」の理想は、ある人が会社に属するのと同様に、コミュニティに「属している」と自覚しているかどうかにかかっているということなのかな。
一見すると誰もが首肯するような正論も、突き詰めるとさまざまなほころびが生じ矛盾が生じるという標本のようなものなのかもしれない、ルソーって。
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