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Posted by ブクログ
akikobbさん、111108さんにおすすめしていただいて。
面白かった!
字が小さい文庫しかないんだよなあと敬遠していた作品だったけれど、文字サイズなんて読み始めてすぐ気にならなくなった。
とにかく猫のリリーが気まぐれさも含めて可愛く、いじらしく、翻弄されてしまうのも無理ないと思うほど。
キュートでワガママな女(今回の場合は主に雌猫)に振り回されたいという谷崎先生のフェチが、本作でも詰め込まれている。
品子も庄造も、人間のごたごたのせいでリリーを振り回してしまっているのをかわいそうに思ううちに、「誰にもまして可哀そうなのは自分ではないか」という思いに駆られるように、猫と比べて人間の滑稽さが際立つ。
特に庄造。ラストシーン、2人の女から逃げ回って、なんとか猫に遊んでもらおうとする姿は情けなすぎるけれど愛すべき腰抜けという感じで、おすすめいただいた時の「庄造はある意味可愛い」というセリフの意味がわかった(笑)
こういう男に執着しちゃう2人の女の気持ちも分かる。
情念に翻弄される卑俗な姿こそが、人間らしさなのかもしれない。
Posted by ブクログ
初めての谷崎潤一郎作品。猫と生きたことがある人には、たまらない。リリーちゃんが文字の上で生きていた。こんなに短い文章なのに、リリーちゃんと共に生きたようだった。心が荒んだ時、猫に慰められたこと。時折五月蝿く鳴く猫が鬱陶しいと思ったこと。猫が見当たらず寂しいと思ったこと。何度も感じた想いが蘇る。これは庄造と福子と品子の物語ではなく、リリーちゃんを魅せてくれる一冊。ヒトという生物に飼い慣らされたフリをしてくれていて、猫は素直じゃないから可愛いだとか、猫は嬉しいと喉を鳴らすのだと判ったような顔をされながら、実はヒトを飼い慣らしているという、恐ろしくも愛らしい獣を描いた至極の一冊。
とにかく、猫に会いたいと思う。触れたくなる。触れていたあの瞬間を思い出す。
触れたいと思うと触れられず、きっと来ないと諦めると、ふとそばに寄って来る。彼女たちは宇宙が与えた、小さく恐ろしい悪魔。ああ、永遠に人間は、この悪魔の虜なのだろうと心底感じた。
それに終わり方が秀逸だった。結局は、猫を描く気しかないというわかりやすさに妙に心奪われた。
未だに死んでしまった飼い猫を忘れられない私の、記憶を呼び起こすツールをもう一つ見つけてしまった。
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