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Posted by ブクログ
再読。
動物行動学者、日髙敏隆さん著作エッセイ集。
以下一部抜粋。
『動物学では、現在の動物の形が必ずしも最善とは考えない。そうならざるをえない原因があり、その形で何とか生きているのだと考える。
なぜそういう格好をして生きているのか、その結果、どういう生き方をしているのか。
そういった根本の問題を追究するのが動物学という学問なのだと思う。
いろいろないきものを見ていくと、こんな生き方もできるんだなあ、そのためにはこういう仕組みがあって、こういう苦労があるのか、なるほど、それでやっと生きていられるのか、ということが、それぞれにわかる。』
『世界を構築し、その世界の中で生きていくということは、そのいきものの知覚的な枠のもとに構築される環世界の中で生き、その環世界を見、それに対応しながら動くということであって、それがすなわち生きているということだ。(ユクスキュルより)』
『つまり、幽霊はイマジネーションの産物だと昔からいわれてはいるが、そうではない。イマジネーションの欠如の産物だとライルはいう。ぼくはなるほど、これはおもしろいと思いました』
自然界を観察する優しいまなざしと、理屈が通れば真実ではないことを事実だと納得しイリュージョンという色眼鏡をかけてしまう人間の世界を、厳しくも面白く再発見する日髙さんの視線は、世界の片隅を懸命に生き抜く動物にも、人間の心にもきっと伝わるエッセイだと思う。
世界は世界のまま変わらない。
けれど読めば世界の見方が変わる、本。
Posted by ブクログ
読書録「世界を、こんなふうに見てごらん」5
著者 日高敏隆
出版 集英社文庫
p32より引用
“ 日本はドイツ哲学の流れが強いのか、し
ばしば、人間は真実を追求する存在だといわ
れるが、むしろ真実ではないこと、つまりあ
る種のまぼろしを真実だと思い込む存在だと
いうほうがあたっているのではないか。”
目次より抜粋引用
“「なぜ」をあたため続けよう
人間、この変わったいきもの
宙に浮くすすめ
それは遺伝か学習か
コスタリカを旅して”
動物行動学者である著者による、世界と動
物とその中の一種類としての人間を見つめて
描かれるエッセイ集。同社刊行作文庫版。
目の前の事柄に不思議や疑問を感じる事の
面白さから研究の場での動物としての人間の
行動を見ることまで、抒情的というか情緒的
というか情感溢れる語り口で、人と動物、人
と人の縁などが綴られています。
上記の引用は、人という生き物について書
かれている項での一文。
本当はあるかどうかわからなくても、そうで
あると信じることで、前を向いて動けるとい
うことはあると思います。人に迷惑をかけな
いのであれば、真実と違うことを思い込んで
生きるのも悪くないのではないでしょうか。
著者がお亡くなりになられた後に出版され
た、遺作の一つとのこと。最後と思われる役
職の退官時の講演録も収録されています。
あとがきと解説から、何とも言えない寂しさ
がにじみ出ているように感じられて、著者の
エッセイが好きで何冊か読んできた私も、少
し寂しく思います。
ーーーーー
Posted by ブクログ
初めて日高先生の著書を読みました。
「面白い」より「興味深い」という言葉がぴったりな本でした。
10のエッセイと御退官時の講演を読み、考えることができます。
意味が深すぎたのか一度では私の理解が追いつかず、何度も読み返す文がありました。それでも噛み締めるうちにじんわり染み渡ってくる、そんな内容です。
イマジネーションとイリュージョン、自然の中での人間についてなど
多くのことを考えさせられました。
色々な問題が生じている現代だからこそ、日高先生の考え方やものの見方を
あらゆる価値観の中の1つとして1人でも多くの人が共有できていると
もう少し世の中に柔軟さが生まれるのかなと思います。
私もいつか日高先生にお会いしたいと思いましたが叶わないのだなと読みながらふと悲しくなりました。
本書の中で紹介された
「ソロモンの指環」
「尾行類」
「裸のサル」
「機械の中の幽霊」
「生物から見た世界」
(もし抜け落ちている本がある時は教えていただけると嬉しいです)
も、とても面白そうだったので少しずつ読んでいきたいです。
Posted by ブクログ
物事の見方、考え方の習慣を一新してくれる可能性のある本です。気になったところを転記します。◆「宙(そら)に浮くすすめ」人間は理屈に従ってものを考えるので、理屈が通ると実証されなくても信じてしまう。実は人間の信じているものの大部分はそういうことではないだろうか。いつもぼくが思っていたのは、科学的に物を見るということも、そういうたぐいのことで、そう信じているからそう思うだけなのではないかということだ。何が科学的かということとは別に、まず人間は論理が通れば正しいと考えるほどバカであるという、そのことを知っていることが大事だと思う。そこをカバーするには、自分の中に複数の視点を持つこと、一つのことを違った目で見られることではないかと思う。自分の精神のよって立つところに、いっさい、これは絶対というところはないと思うと不安になるが、その不安の中で、もがきながら耐えることが、これから生きていくことになるのではないかと僕は思う。◆「コスタリカを旅して」人間は環境を破壊するものだ。そうはっきり認識しておくようが、よっぽど自然を守ることにつながる。守っているといいながら破壊している人間がたくさんいるのだから。◆「いろんな生き方があっていい」。人間には自然を破壊することはできてもコントロールすることはできない。ある時代から人間は、科学の力で自然を制御できると思い始め、いまもそう信じているが、それは根本的な間違いだ。自然には人間がわかっている以上のたくさんの変数があり、自然をいじってダメにすることはできるけれども操ることはできない。◆「行ってごらん、会ってごらん」◆「イリュージョンなしに世界は見えない」。ユクスキュルのダニの環世界を書いた本。人間は人間の環世界、すなわち人間が作り出した概念的世界に生きている。人間には、その概念的世界、つまりイリュージョンという色眼鏡を通してしか、ものが見えない。◆「じかに、じっと、見続ける」。僕は養生というものをしようと思ったことがない。
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