無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
アンティークというよりも古道具屋然としたフラココ屋。その2階の倉庫に居候する主人公の"僕"は、ほとんど売れない店番をしながら、どのような客が訪れたかをメモしている。のほほんとして商売気のない店長、毎日訪れてはお気に入りの長椅子に座っていく瑞枝さん、裏に住む大家の孫で、いつもノコギリで木を切っている美大生の朝子さん、時々フラココ屋の掃除などを手伝ってくれる、定時制高校生で朝子さんの妹の夕子さんとのちょっとした日常を綴るアンソロジー作品。
作中の登場人物にも直接指摘される「透明な」主人公は、何の欲もなくとにかく流されていく。元金持ちだという瑞枝さんには風呂の道具を押し付けられ、ちゃぶ台を持って電車に乗る。安い給料の代わりに、家賃無しで倉庫に寝泊まりしているだけだが、店長をはじめとしたいろいろな人に気に入られていく。
一方で、他の登場人物は軒並みクセが強く、様々な小さな事件を巻き起こすが、みんな楽しそうなのだ。
この手の芥川賞的な(これは大江健三郎賞だが)、純文学を志向する作品は、どことなく破滅的で退廃的な雰囲気の登場人物が多いが、本当にこの作品の良いところは、スクーターでコケても、大きな絵が偽物であっても(かどうかはわからないが)、高校生なのに妊娠しても、どこかみんな、あっけらかんと明るく過ごしているところが、この作品の醍醐味であろう。
長嶋有の他の作品にもあった、ライトノベル的にト書き分で会話や会話の返答を示したりするため、ところどころ読みにくいと感じるかもしれないが、この人はこういう作風なのである。だからといって高尚とか小難しいとか考えなくて良い。単純にエンターテインメントとして楽しんだら良い作品であろう。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸