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Posted by ブクログ
(本文より)
日本の歴史学界で絶対に使えない学術用語があります。
「中国のプロパガンダ」です。
自分の見聞きした範囲ではっきり断言しますが、中国を研究している平成の日本人で、中国共産党に遠慮なくモノが言える人など数えるほどしかいません。
理由は三つあります。
一つめは、中国の悪口を言うと、基本的に入国させてくれませんし、必要な資料を見せてくれないなど研究にさまざまな支障が出ます。
二つめは、戦後の中国研究者のほとんどが親中派だったので、弟子や孫弟子は先生・先輩の業績を否定するような研究は許されなかったのです。
三つめは、さまざまな名目の「日中共同研究プロジェクト」に依存している研究者が多いので、研究資金を打ち切られる恐怖に打ち勝てる人は少数です。
日本国内では博士号を取っても非常勤講師の職すらなかったところ、中国では語学教師として雇ってくれたので最低限の生活は大丈夫だったなどという話を聞くと泣きたくなります。
まともな国ならばとっくに大学教授になれる実力のある研究者が食うや食わずのフリーター生活をしているのが、今の日本という国です。
そのような環境に置かれている人が親中派になったとして責められるでしょうか。
甘いと思われるかもしれませんが、私のように一度も筋を曲げず、自由に信じていることを書き続けるなど、例外中の例外です。
ましてや、その内容を一般に広く知れ渡るかたちで出版できるなど、奇跡です(あなたが今、読んでいる本のことです)。
かくして、日本の歴史学界では「中国のプロパガンダ」を研究することはタブーです。
だから、同じ手口で何度も負けるのです。
Posted by ブクログ
大正デモクラシーの旗手で中国革命に命を賭ける青年を支援した日中友好論者の吉野作造は、中国の暗黒面を熟知していた。
職がなかった若い頃、袁世凱の息子である袁克定の住み込み家庭教師をしていたときに不潔で約束を守らない中国人を嫌いになり、袁一族ら政治家・軍閥の腐敗を目の当たりにしている。
吉野は国際協調論者であるからこそ、国益をしっかりと確保しなければ安定は生まれないとの立場なので、「十四か条の要求」と「七か条の希望」を生温いと切って捨てた。
民権派と言われている吉野作造ですら、国際社会のパワーゲームを知っているリアリストであった。
東アジアにおけるパワーゲームは、満州事変に発展。
満州事変以降、日本は日中戦争の泥沼と欧米列強との軋轢を生むことになる。
第一次世界大戦の外交を取り仕切り、第日本帝国を世界の大国として認めさせた外務大臣である石井菊次郎は「宣伝にかけてはわが日本ほど遅れた国はない」と慨嘆していた。
昭和初期から外務省の能力低下が問題であったのである。
満州事変が問題になった際、当時の外務大臣であった幣原喜重郎は、「我が国の従来かつて国際審議の破りたることなき態度と国民性を了解し、極めて着実にして毫も宣伝がましき行動に出でず」と、何も言わなくても日頃の行いがいいのでみんながわかってくれるという態度。石井菊次郎の懸念が現実のものとなる。
そして、国連に訴える中国側のプロパガンダが欧米列強を動かし、日本は孤立を深めて行くこととなる。
一方日本国内においては、満州事変によって大正デモクラシー的な言説は吹っ飛び、「強くて清廉で純粋な軍人さんならば、この腐った世の中をなんとかしてくれる」という空気が蔓延する。朝日新聞と婦人公論がこういった風潮を先導し、婦人公論のグラビアを本庄繁関東軍司令官や荒木貞夫陸軍大臣が飾るような時代になった。
そして、満州事変後の微妙な国際社会の空気の中、関東軍は熱河作戦を計画する。
満州皇帝溥儀以下満州人たちは、満州人たち父祖の地である熱河に執着。
「熱河が入っていないので満州にならない」との言をまともに受けて熱河作戦を決行。
日本は、国際社会を敵にまわすという困難な状況に陥ることとなる。
敗戦後、溥儀は全ての責任を陸軍の吉岡安直中佐(溥儀のために人生を捧げたような軍人)になすりつけ、「私は常に吉岡に監視されていた人形のような存在だった」などと言い出す始末。
これでは何の為に日本は国際社会を敵にまわしてまで熱河作戦を決行したのかと忸怩たる思いにとらわれてしまう。
本書でも、日本を地獄の底にたたき落とした戦犯として近衛文麿が挙げられている。
近衛文麿の側近にスターリンのスパイが多数潜り込んでいたことが根拠になっている。
ゾルゲ事件に連座した尾崎秀実は近衛文麿の側近であり、近衛自身も河上肇に師事するほど共産主義に共鳴していたと考えられる。
日本の北進派と南進派の対立が日本を泥沼に引きずり込んだことはあきらかで、ソ連への攻撃を回避し、軍を南及び日中戦争の泥沼に引きずりこんだ勢力は、近衛を中心としたメンバーであったのだろう。
国際社会・日中関係・軍閥・アジア主義・コミンテルンなど、複雑な当時の日本の状況を理解するのは困難である。
本書は問題を整理し、解説も簡潔なのでこの時代に詳しくない方でも充分理解できる内容になっていると思います。
近現代史に興味のある方にはオススメの一冊。
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