「まあ大体は聴いてるし、エピソードも知ってるしな」などと内心偉そうに読み始めたのですが、読むうちに「あー、B面(かつてはB面だった曲たち)はちゃんと聴いてないかもなあ」「そんな話は知らなかったなあ」など、楽しめてしまいました。さすが、音楽について書くプロ、ですねぇ。
パーカーのマッセイホール、ちゃんと聴いてみようかなあ。ミンガスとかクリフォード、良いアンプで大音量で聴きたいなあ。MJQは食わず嫌いであまり聴いてないなあ。「カインド・オブ・ブルー」のB面を聴いてみよう。オーネットのゴールデンサークル、そうそう素晴らしいよなぁ。アイラーも良いなあ。トニー・ウィリアムス時代のグレイトジャズトリオは良かったよなあ。となるとナベサダの「I'm old fashoned」をまた聴きたい。「マルサリスの肖像」も、聴き直さね…。
などなどと鼻唄のような軽やかな一冊でした。
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へええ!と思ったのは、「a day in life 」。ギターの名手、ウェス・モンゴメリーのアルバム。
これ、ビートルズの「サージェントペッパー」の、発売ほぼ直後に録音されたものなんですって。にも関わらず、「サージェントペッパー」に収録されている「a day in life」をカバーしてるんですね。
(おそらくは業界ルートで数週間は早く聴いたんだろうなあ、と中山さんは推測されていますが)
そして、びっくりしたのは、このジャズアレンジ版の「a day in life」を、ポールが痛くお気に召したんですって。そして、このジャズアルバムを作ったプロデューサーに、「どうぞお好きなように」って渡したのが「レット・イット・ビー」。このとき、まだ「レット・イット・ビー」は未発表曲だったんです。
で、このプロデューサーが、お抱えのジャズフルート奏者のアルバムに、カバーさせてアルバムに収録して発売したそうなんです。それがなんと、ビートルズが「レット・イット・ビー」をシングルとして発表する2ヶ月前!つまり、「レット・イット・ビー」が初めて商品として世に出たのは、ジャズアレンジ版が最初だったんだそうです。