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クラシック界最高の名声と金そして権力が集中するベルリン・フィル首席指揮者の座。ナチス時代、その三代目に君臨する巨匠フルトヴェングラー。彼は誠実な音楽の僕でありさえすればよかった、比類なき才能と野心をもった青年カラヤンが現れるまでは――。嫉妬の炎を執拗に燃やし詐略をめぐらす巨匠、巧みに抗うカラヤン、そこに巨匠を慕う無名の田舎音楽家チェリビダッケが加わり、争いはさらに複雑になる。クラシック黄金時代の美と欲望のドラマ。
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Posted by ブクログ
本書に描かれた20世紀を代表する大指揮者フルトヴェングラー、チェリビダッケ、カラヤンが繰り広げる三つ巴の戦いは、「仁義なき戦い ── ベルリン・フィル編」とでも名づけたくなるほどの生々しさと妄執に満ちている。 ヘーゲルはかつて「悪をも為しえる人間にしてはじめて善をも為すことができる」と述べたが、...続きを読むこの3人が見せてくれたようなとてつもない妄執や疑心暗鬼があってはじめて、音楽にデモーニッシュな凄味がうまれてくるのかもしれない。
すごく読み応えのある1冊でした。 芸術の裏にこんな昼ドラ顔負けの人間ドラマが繰り広げられていたんだなぁと実感。 音楽がナチスにどのように利用されていたのか。 そこに関わる人達の思惑が交錯する様子が良く分かる。 巨匠と呼ばれようと1人の人間。 フルトヴェングラーもカラヤンもチェリビダッケも凄く人間味が...続きを読むある。 身近にこうゆう人がいたら嫌だけど・・・。 素晴らしい芸術家=素晴らしい人格者という考えは間違ってる!と思わされました。笑
本屋で見つけた瞬間に読もうと思った本。クラシックを齧っていながら指揮者には全然こだわりがなかったんですが、読んでドイツ指揮者の時代の流れがよく分かりました。まずそもそも第二次世界大戦のヒトラー統治下のドイツで、政治に利用されながらも活動を続けていたという事実に驚き。カラヤンとフルトヴェングラーなんて...続きを読むほとんどまともに顔を合わせたこともないだけに、余計に相手を過大視し恐れ、陰謀・策略を巡らせていく様が、哀れ且つ人間臭い。チェリビダッケは三者の中では一番純粋?に自分のやりたいことを貫いた印象があるけど、やっぱり天才芸術家はどこか螺旋がずれてるのねと実感。三者三様の指揮者を受け入れ演奏したベルリン・フィルが世界一のオケである理由が分かった気がしました。
暴力の代わりに音楽が使われる、クラシック音楽界を舞台にした「仁義なき戦い」とでもいいたい権力抗争。綿密なデータを裏打ちにして人間関係の力学に従ってくるくると変わる状況を追うのを読むと、どこも一緒なんだなあと思わされる。
世界最高峰のオーケストラ「ベルリン・フィル」を巡る新旧帝王の争い。 今まであまり知られていなかった「第3代常任指揮者フルトヴェングラー」〜「第4代常任指揮者カラヤン(帝王)」へのバトンタッチを”ナチス”に悩まされ(時には利用し)魑魅魍魎の世界にて繰り広げられた権力闘争を克明に描く大作。 ハマります・...続きを読む・・。
ベルリンフィルの常任指揮者をめぐる骨肉の争い。芸術にはついてまわる、暗黒面。 この本でチェリビダッケという第三の指揮者がいることを知った。
カラヤンは超有名なので誰でも知ってますよね。 フルトヴェングラーはベルリン・フィルハーモニック管弦楽団をカラヤンに引き継いだ 史上最大の指揮者ともいわれています。 ナチス政権時代にはすでにして大指揮者であったフルトヴェングラー。 ヒトラーが大のワーグナー・ベートヴェン好きであったためナチ政権の宣伝...続きを読むに利用されかけるのをすんでのところでかわす毎日。 一方、その大指揮者に憧れるカラヤンが如何にしてフルヴェンを嫉妬に狂わすほど成長していったか読み応えがあります。 第三の男として、天才チェリビダッケが登場します。 若くして才能を認められて世に出、戦後BPOの指揮を任されます。 しかしオーケストラの全人事権を求め、老齢の演奏者を一掃としようとしたしたため反感を買い、最後の最後でカラヤンに指揮者を取られます。 個人的にはこのチェリビダッケの政治や権力には無頓着で「純粋な芸術」の音楽を求めている姿が一番共感できます。人付き合いが下手で、求める音を出せない奏者はコテンパンにこき下ろす。スティーブ=ジョブズに似た天才性です。 いずれにせよ、この本で戦中からカラヤン帝国草創期までのことがよくできました。
世界最高のオーケストラとして名高いベルリン・フィルに、そしてヨーロッパ音楽界に君臨した二人の指揮者、フルトヴェングラーとカラヤン。彼らの紡ぎ出す美しい音楽とは対照的な、どろどろとした人間模様、時代に翻弄される音楽の現実が、生々しく語られます。 ナチスが政権に就いた1933年以降、ドイツの音楽家たち...続きを読むは決断を迫られました。ある者は亡命を選び、ある者はドイツに残り、残った人々にはナチスとの距離をどう取るかという問題が残りました。既にベルリンフィルの主席指揮者であり、ドイツを代表する音楽家でもあったフルトヴェングラーは、ユダヤ人を保護し、新しい音楽を支持することでナチスと対立しつつも、ドイツ音楽の広告塔として利用されていきました。一方、若く野心に満ちたカラヤンも、自らの出世を求める途上で、またフルトヴェングラーの対抗馬として利用されることで、政治に巻き込まれていきます。そしてこのことが、22才も年下のカラヤンに対する、フルトヴェングラーの激しい嫉妬に繋がりました。 そして、敗戦を迎えるドイツ。非ナチ化が済むまで演奏のできない彼らの代わりに、敗戦直後のベルリンフィルの苦境を救ったのは、チェリビダッケというルーマニア出身の青年でした。しかし厳格すぎる彼の態度はやがて、オーケストラとの間に摩擦を増していき、初めは蜜月関係だったフルトヴェングラーとの間にも、微妙な不協和音が響き始めます。一方、なかなか思うような活動ができないカラヤンも、一歩づつ地歩を固めながら躍進の機会を窺っていました。 1954年、フルトヴェングラーは世を去ります。その後、なぜチェリビダッケでなくカラヤンが、ベルリンフィルを手に入れたのか。さまざまな駆け引きと思惑が錯綜する当時の状況を解きほぐしていくあたりが、この本のクライマックスです。 音楽の評価は主観的で、時に感情的になりがちですが、この本では彼らの奏でた音楽には踏み込まず、その人間ドラマの部分にのみ光を当てます。筆致はあくまでも冷静で、資料にあたった「事実」の部分と、彼らがどう考えたかなどについての推測による部分を明確に分けた記述です。
カラヤンは知ってても、フルトヴェングラーを知らない人も大分増えてきました。チェリビダッケは一部のマニアの中に封じ込められた感があります。 昔、アマデウスという映画の中でサリエリとモーツァルトの2人が折りなす権力と嫉妬のドラマを覚えているでしょうか? これは、3人の巨匠・天才が権力・嫉妬・軽蔑・尊敬...続きを読む・忠誠・猜疑心をもって織りなすドラマです。当時の世相が出ていておもしろいです。意外だったのはフルトヴェングラーの女好き&権力固執ぶりです。 たとえは正確ではありませんが、信長・秀吉・家康の戦国時代を彷彿させるような人間ドラマがあります。音楽版「その時、歴史は動いた」といっても過言じゃありません。
カラヤン指揮ベルリン・フィルのCDは、誰もが一枚ぐらい持っているはず。R.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」は私の愛聴版の一つになっている。 この本はベルリン・フィル四代目の首席指揮者をめぐる抗争の物語である。三代目指揮者として名声を博した巨匠フルトヴェングラーが、その座を脅かす新進気鋭のカラヤ...続きを読むンに嫉妬。彼のドイツでの活躍を阻もうと詐略をめぐらす。そこにチェビリダッケも加わり、三角関係の中で政治が繰り広げられる。 時に権力にすり寄り、時に甘言を弄し、時に裏切り。。。音楽の美しさとは関係のないところで、欲望剥き出しのドラマが展開。
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カラヤンとフルトヴェングラー
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中川右介
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