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金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。それはメルヘン執筆。こんな〈わたし〉に人生の茶柱は立つのか?! あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカー(愛猫家)の大逃避行「人間の屑」。すべてを失った時にこそ、新世界の福音が鳴り響く! 日本文藝最強の堕天使の傑作二編。
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Posted by ブクログ
どうしようもない人間が下降してあちらの世界に落ちていってしまう作品2編。自分ではダメだと分かっていても、心に不安なことが想起されるとその思念に囚われて悩み、酒に手を出しさらに落ちていく。ダメさを自覚しているから立ち直りもするが、また不安が生じてあちらの世界に落ちていく。町田康はどこか作者を思わせる主...続きを読む人公たちを独特の音楽的な、その実しっかりと統制の効いた文章で描き切っている。下降することへの恐怖。普段は当たり前のように日常生活を送っているが、ふと気を抜けばあちらの世界に落ちていってしまうのではないかという恐れ。そのような感性、人間の弱さへの理解があるからこその作品のように思う。表の世界があまりにも透明になりつつある今、アクチュアリティのある作品であり続けていると思う
鬼気迫る日本語の波に飲まれること必至だし、ひとつの頁に同居するハイテンション&淋しさのアンバランスが見事だし、なにより解説が筒井康隆。90.91頁は額に入れて飾りたい。
すごいわ、これは。確かに太宰治的ではあるけれども、この文体は、なんだろう、本当に強烈で、天賦の才を感じざるを得ないです。はまっていろいろ読んでいるけど、はまるのも怖い。
可笑しいのに寂しい
紙の本も持ってるんですが、好きすぎる作品なので電子書籍でも買いました。声をあげて笑っちゃうのに、どうしてこんなに寂しいんだろう。
初期の中編集。どうしようもないダメ男のまったく救いのない日常を生きるさまが、現在の作品にも通じる独特の町田文体て描かれている。 読んでいて随所でニヤリとさせられるが、ストーリー展開自体はさほどでもないかなあ、といった感じだったんだけど、2作目「人間の屑」の最後の最後で大爆発。いやあ、期待を裏切らない...続きを読むあたりはさすがの一言。面白かった。
中篇2作。 表題作より、『人間の屑』の方が作者の筆が生きていて、作中の人間が滑稽ながらも愛おしい。 癖のある独特の文体も、慣れるとスラスラ頭に入る。また、意外と推敲と計算をしている人なのではないかと思う。
文体がなんか前のを少しいじったぐらいかなーと思って読み進めていくが、全然そんなことない、と思う。そんなことよりも水を飲むようにして文章がどんどん入ってくる。んで、マジックリアリズムというのかちょっと現実的でないことが不意に起きて、(例えば頭皮が垂れてきて口の中に入るとか)気づいた時にはってな感じ。何...続きを読むも考えずに、一筆書きのようにビャァーッて書いたような文章で、癖になる。これは適当に書いてできる代物ではない、はず。 意外とここまで細かく丁寧に描写している小説はないのではないかと思うほどに、細かい、と思いきやいつのまにか場面が変わっていたりなど、とにかく他の作家とは視点が違う。描くポイントが完全に違う。こんな小説は意外とないんじゃないかなーなんて思ったりしたのであった。、
・芸人永野が紹介していたことから手に取ってみた本。 ・パンクバンド「INU」のボーカルとして活躍していた 作者。 ・夫婦茶碗、人間の屑という2部作。200ページ程の薄 い本であるが読み応えがあった。 ・全体を通して、作者の針小棒大に日常の小さなことを洞察する観点が面白い。またそれでいて小さなことを膨...続きを読むらませても本筋にしっかりつながり、その様はさながらDJのような滑らかさであると思った。 ・2作とも堕落しきった人間が主人公であり、そこには 自分を客観視できていない人間の面白さ、流される人間の面白さを感じられる。 ・思わず声が出る展開や最後にはしっかりウルっとする場面もあり、なかなか良かった。 ・この作品は情景描写があまり描かれていないが、これはこの作品だからか作者の特徴なのか、町田康氏の作品を手にしたのが初めてなので判断しかねる。ただ個人的に情景描写が美しい作品を好む傾向があるため、⭐️4つとした。
2作とも、ふざけてて軽率で考え無しの主人公が、自己憐憫、他力本願で、それが読んでいて楽しいところから始まるのが、同じトーンで進みながら周りがそれを許さないような深刻な状況になっていき、同じ語り口なのに笑えなくなる、という展開。だんだん主人公の軽い思考が浮いていき違和感になっていく。
# 夫婦茶碗 ## 夫婦茶碗 働かない、働いてもすぐやめる、どうしようもないダメ人間の話。統合失調症か?と思うほど幻覚のようなわけのわからない描写がよくでてくる。一人称がわたしになったり僕になったりするのは何か意味があるのか。最後の茶柱のシーンで妻のことを気遣っているのかと思わせるが、本文中からは...続きを読むとてもそうは読めない。 ## 人間の屑 こちらもダメ人間の話だが、妙に活き活きしている。演劇、バンド、餃子なんでもすぐやめるが、とにかく止まることなく動き続けるところは、その辺のニートなんかよりよっぽどマシに思えてしまう。身ごもった女を置き去りにしたり、覚せい剤に手を出したりは、論外だけど。しかしこんな狂った行動ばかり取っていればいつかは行き詰まるというのが、最後の謎の銃撃戦なのかな。 どちらも読んでいてとても面白いが、一体なんなんだという感じはある。
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