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Posted by ブクログ
吉田修一作品というと、そこはかとなくおしゃれですっきりサラサラしていて、そしてフェミニンなかおり漂うというイメージなんだけど、それを気持ちよく裏切るような泥臭い話。何しろ、やくざ稼業の一家で大人になっていく少年の話なんだから。
はなれのおばけを信じていた駿少年が青年へと育ち、アルバイトで金をためて女と街を出ようする。そして……。半生記かというと、実は一代記ではないだろうか。駿は若くして生ききってしまったような気さえする。やくざ稼業の一家のなかでは浮いたような、どこか一家を客観的に見ていた彼は、没落していく家から最後の最後でのみ込まれてしまった。
「乱楽坂」という坂が長崎あたりにあるのだろうか。楽しく乱れながら堕ちていく坂ということか。
Posted by ブクログ
読み始めはなんて温度が高い小説かと驚いた。そして、主人公である瞬が、小1、小5、中1、中3、そして高校2年で中退し、最後には最初は赤ん坊に近かった弟が大学生となり、主人公ではなくなった兄をあきれた目で見るようになるまでの、どんどん温度が低くなっていく過程に悲しくなった。一話一話進むごとに、三村家の人間がいなくなっていき、比例するように確実に温度が下がっていく。悠太が瞬を見る視線に遣る瀬無さがつのった。幼くして父親を亡くし、たくさんの男たちを見てきた瞬は、何も覚えてない悠と違い、ずっと「男」の姿を模索し続けてきた。「なんもせんで生きとるのも、なかなか難しかとぞ」と言う瞬に涙が出そうになった。最後に瞬は解放されたのだと、信じたい。
Posted by ブクログ
昭和後期の地方任侠家の盛衰のなかで、少年の心の成長を追う物語。
主人公の駿と弟の悠太が身を寄せる三村家は、叔父にあたる長男・龍彦がヤクザの組長、次男・文治がチンピラ、文治を慕う正吾と猛々しい男たちばかり。幼い駿はそんな男たちの中で育つ中、自死した三男・哲也と思われる幽霊を離れの家で見ることに。
暴力・酒・女に荒くれる男に自分もなっていくと思いつつも、どこか違和感を感じながら成長していく過程が繊細に描かれています。駿は三村家の男たちにある意味呪われていて、それが消化されるようなラストが良かった。歳を重ねていくうちに、駿が哲也に似ていく様子が少し恐くも感じました。
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