スマイリーと仲間たち

スマイリーと仲間たち

小説・文芸
1,540円 (税込)

7pt

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将軍と呼ばれる老亡命者がロンドンで殺された。将軍は英国情報部の工作員だった。醜聞を恐れる情報部は、彼の工作指揮官だったスマイリーをふたたび引退生活から呼び戻し、後始末を依頼する。将軍は死の直前に、ある重要なことをスマイリーに伝えようとしていた。彼の足どりをたどるスマイリーは、やがて事件の背後に潜むカーラの驚くべき秘密を知る!英ソ情報部の両雄が、ついに積年の対決に決着をつける!

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スマイリーと仲間たち のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    nao

    購入済み

    面白かったです。
    スマイリーが褒めてある箇所にくるたびニヤニヤしてしまいました。
    ギラム、今回は出ないのねと思っていたらいい所で出てきました。スマイリーにギラムが付いてないなんて有り得ないですもんね

    0
    2018年07月17日

    Posted by ブクログ

    ジョージ・スマイリーは、元英国情報部の現地指揮官。冷戦時には有能なスパイとして情報部を指揮していたが、世界情勢は緊張緩和(デタント)へと舵を切り、顔ぶれを一新したホワイト・ホールは情報戦も英米協調をうたい、かつてのような英国独自のスパイ網の必要性を認めなくなった。自前で情報をさぐるよりアメリカのいとこ(カズンズ)から聞けばいい。そのほうが安上がりだ。大幅な予算削減の結果、現地協力者は解雇。「首狩人」や「点燈屋」といった特殊な分野を受けもつ工作員グループも解散してしまっては、その指揮を執るスマイリーに出番はなかった。早い話がリストラである。

    電話がかかってきたのは深夜だった。亡命エストニア人グループのリーダーだった「将軍」と呼ばれる元工作員が殺されたのだ。事件を穏便に処理したい政府は情報部監視役レイコンを使い「将軍」の工作指揮官であったスマイリーに調査を依頼する。現場に足を運んだスマイリーは、その残虐な手口からソ連情報部(カーラ)の仕業と判断を下す。殺害動機は「将軍」が手に入れた証拠物件の捜索とその隠滅である。調査の結果「将軍」が見つけたものとは、ソ連情報部チーフでスマイリ-の長年の宿敵カーラを失脚させるにたる二つの証拠と判明。カ-ラの弱みを見つけたスマイリーは、政府の暗黙の了解のもと散り散りになっていた工作員を再編成し、カーラの追い落としをはかるのだった。

    スマイリー長篇三部作の完結編である。第一部『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』は、カーラが英国情報部(サーカス)内に送り込んだ「もぐら」と呼ばれる二重スパイをあばくスマイリーの推理がさえる推理劇。第二部『スクールボーイ閣下』は、スマイリーの推理に加え、現地工作員ジェリーが香港、インドシナを舞台に大活躍する冒険活劇だった。ただ、どちらも三部作の主人公たるスマイリー自身があまり前面に出ることなく、裏方に甘んじた憾みがのこる。しかし、さすがに完結編である第三部は主人公スマイリーが頭脳だけでなく足を使い、おまけに英国内はもとよりハンブルグに飛び、なんと苦手な自動車まで運転して、謎を追う本格的なスパイ小説になっている。

    八月のパリ。黒服を着たマリア・オストラコーワが前髪をひょこひょこさせながらショッピングバッグを肩に街路を行く。冒頭の一見本筋に関係なさそうなシーンから読者は一気にル・カレの世界に引きこまれる。この亡命ロシア女性もそうだが、「将軍」ウラジーミルとその情報源オットー・ライプチヒといった主要人物にかぎらず、ちょっと顔を出すだけの傍役ひとりひとりにいたるまで、人物造形の巧みなことはどうだろう。主人公スマイリーその人にしたところが、度の強い丸眼鏡をかけた風采の上がらぬ小男ときている。そのスマイリーに向けて、側車つきオートバイに乗った長身のファーガソンがすれちがいざま敬礼してみせる場面など一幅の絵のようだ。

    ひとつの時代が終わるとき、世界の枠組みもまた大きく変わる。盗聴、尾行、防諜室といった完成されたスパイの技術が古臭く滑稽なものとしてかたづけられるのはまだ許せる。しかし、その技術に習熟し、それをつかって情報をさぐり、受け渡ししていた人間もまたシステムの末端として切り捨てられる。新しいシステムにうまくのれる者は生き残り、そうでないものは葬り去られる。

    スパイに限らず、どんな組織にもいえることだが、人と人が接触するとき、そこには人間的なファクターというものが生まれる。敵味方のスパイ同士でさえ監視している者は監視対象に好き嫌いの感情を抱くという。まして同じ仕事を共にした仲間となれば当然のことだ。上層部はシステムの切り替えと同時に不要となった人員を廃棄するが、スマイリーにはできない。どんなときでも冷静でいることはできるが、非情にはなりきれないのがスマイリーという男なのだ。

    死んだ「将軍」の部屋を捜索しながらスマイリーは物思いにふける。「われわれ自炊をする男は半人間だなと思いながら、彼はソースパンとフライパンをひっぱりだし、トウガラシとパプリカのなかをかきまわした。家のなかの他のどこでも――ベッドのなかでも――人は自分を周囲から遮断し、好きな本を読んで、孤独が最高だと自分をだますことができる。だが、キッチンばかりは、未完のしるしがあまりに目に立って、それができない。黒パンのかたまり半分。粗悪なソーセージ半分。タマネギが半分。牛乳がびんに半分。レモンが半分。紅茶が袋に半分。生活の半分。」アンと別れてからのスマイリーは「半人間」なのだ。

    風采こそ上がらぬものの、スパイとしての能力はとびぬけて高いスマイリーは、一種のスーパーマン。彼に会い彼と話をした者は誰もが彼を好きにならずにいられない。そのスマイリーをして落とすことができなかったただ一人の男がカーラである。何故か。それはカーラはユング心理学でいうスマイリーの「影」だからだ。コニーの喩えをかりるなら彼ら二人は「ひとつのリンゴの半分同士」なのだ。いかに完璧な職業的人格を構築しようと、スパイもまた人間である。スマイリーにとってアンは「幻想を捨てた男に残った最後の幻想」だった。カーラはヘイドンを使い、スマイリーからアンを奪った。友人と妻の裏切りはスマイリーを苦しめ、彼の力を奪うにちがいないと考えたからだ。

    いっぽうスマイリーもまた「将軍」がさがしあてたカーラらしくもない不手際に、彼の弱点を発見する。そして、ホワイト・ホールが過去の遺物として葬り去ろうとした、尾行、張り込み、盗み撮りといった諜報技術を駆使し、カーラを落とす。雪が舞うベルリンの壁を背景にしたスマイリーとカーラの再会は三部作のハイライト。カーラの手からすべり落ちるスマイリーのライターが物語の終りを告げる。

    ル・グウィンが『ゲド戦記』の主題とした自分の影との戦いを、ル・カレはリアルなスパイ小説に仕立ててみせる。ジグソウパズルのピースをひとつひとつ仮想の絵柄に当てはめながら、最後に残ったピースを追い求めるような理詰めの探索は上質のミステリのよう。登場人物のひとりがスマイリーをシャーロック・ホームズに、カーラをモリアーティ教授に喩えているが、「将軍」の足跡から時代がかった諜報活動であるモスクワ・ルールに則って隠された証拠の品を見つけるスマイリーの捜査は名探偵そのもの。どちらかといえば、アームチェア・ディテクティブ派と思っていたスマイリーがクロフツの刑事のように何度も現場に足を運ぶのが心に残る。老スパイが執拗にこだわったルールの遵守は、人を欺き、弱みに付け込むスパイの世界に残された最後の倫理だったのかもしれない。

    0
    2013年06月19日

    Posted by ブクログ

    過去に一度会ったきりの仇敵カーラとの決着ついに!英国とソ連の情報部を背負い、暗躍し、追い詰めあった二人が互いの目に見るものは…
    ここから先は激しくネタバレですね。でもきっと、わかったようでわかっていないんです。もうちょっと年を重ねたら、また読もうと思います。

    後半からじわじわ情報を固めカーラに迫っていく辺りがゾクゾクです。
    常に冷静な描写で淡々と書かれるため表面上はどこか調書を読むよう。でも行間から現場工作員の息遣いや緊張感、スマイリーの震えるくらいの慎重な気遣いがにじみ出てるようでした。
    ラストシーンはスマイリーの内と外の描写が印象的。雪降る夜の痛いほどの緊張と静寂、内面で吹き荒れる衝動、祈り、矛盾する期待、絶望、回想とイメージ…
    ライトに照らし出される人物を見つめるスマイリーのすぐ横で、この場面を眺めているようでした。

    タイトルの通り、コニーやギラム、トビーなど、昔の仕事仲間が出てきます。配置配役もティンカー~のときと似ていて、でもだからこそ老い・年月が際立つ。それでも、もう一度第一線に戻り大仕掛けを成し遂げようとするスマイリーに協力する様子から、内向的でとろくさくずんぐりむっくりなスマイリーが実は本当に有能な工作指揮官なんだなぁとしみじみ再確認させられました。
    特にトビーのハリキリが、かなり意外。そんなに仲良かったんだっけ…

    あと、結局アンとはどうなったのか…1~3タイトル通してかなり破局な感じでしたが、映画から入ったものとしてはあのラストが忘れがたく。

    0
    2013年02月14日

    Posted by ブクログ

    「うん。そうだな、そうかもしれない」

    英国諜報部の生ける伝説ジョージ・スマイリーとソ連諜報部の工作指揮官カーラの冷戦下での対決を描いたスマイリー三部作の最終決戦です

    いやー、なんていうか情景描写過多
    やり過ぎだと思うが、まぁこれがジョン・ル・カレなのだからしょうがない

    そして「小説のジレンマ」ね

    冷戦なんてものはない方が良い
    それはとりあえずそうだと思う
    まぁ、色々問題は残っていたり、新たな問題が起きたりはしているわけだけど
    とりあえず核弾頭の数は減ったし、経済のグローバル化も進んだし、東欧諸国の人たちがそれなりの自由ってやつを手に入れたわけだからね

    東西のスパイたちが頭脳戦を繰り広げる至極のスパイ小説みたいなんは、もうどんどん少なくなっていくんやろな〜
    なんか寂しい気もちょっとする
    まぁ、でもすで読み切れないほどの傑作があるからいいかw

    こんな時代もあったのねってな感じで、今後もちびちびとスパイ小説を読んでいきますよ

    0
    2025年10月24日

    Posted by ブクログ

    将軍と呼ばれる老亡命者が殺された。将軍は英国情報部の工作員だった。醜聞を恐れる情報部は、彼の工作指揮官だったスマイリーを引退生活から呼び戻し、後始末を依頼する。将軍は死の直前に、ある重要なことをスマイリーに伝えようとしていた。彼の足どりをたどるスマイリーは、やがて事件の背後に潜むカーラの驚くべき秘密を知る! 英ソ情報部の両雄が、積年の対決に決着をつける。三部作の掉尾を飾る本格スパイ小説。

    38年ぶりに味わいながら読む。

    0
    2025年05月14日

    Posted by ブクログ

    老練スパイ、スマイリー最後の事件?なのかしら。
    この作品はもっと早く出会いたかった。決して派手ではないけど、じっくり効いてくる。
    スマイリーくらいの歳になったらまた読み返したい。きっと印象が違うと思う。その前にギラムの歳で読み返すのもいいかも知れない。

    0
    2012年08月11日

    Posted by ブクログ

    スマイリー三部作完結編で、旧ソ連の宿敵〝カーラ〟との最終的決着までを描く。重厚な筆致は更に磨きが掛けられており、ル・カレ独自の世界がゆっくりと始動する。前作の漠然とした分かりにくさは消え、より引き締まった構成ではあるが、集中力を欠くと挫折しかねない。タイトル通り、物語はスマイリーに主軸を置いている。かつての仲間が犠牲となっていく非情な諜報戦のただ中で、老体に鞭打ちながら真相を求めて歩む孤独な後ろ姿は、影の存在でありつつも、自国他国問わず真っ先に国家の使い捨ての駒となるスパイの悲哀を物語っている。
    冷たい怒りを抑えつつも、或る瞬間には滲み出てしまう吐露に、終わりなき闘いの不毛ぶりが表れている。実体がほとんど明らかにされていなかった〝カーラ〟が、ようやく姿を現す終盤のシーンは、本作のみならず三部作全体を通してのクライマックスであろう。「勝つ」ためには、自らも薄汚い手段を取らざるを得なかったスマイリーに去来する思いは、苦く空しい。

    0
    2016年11月30日

    Posted by ブクログ

    老いの風景が描かれている。
    私が一番に感じたのはそれだった。
    聡明な”酒飲みおばあさん”の描写はせつない。
    一対の裏表と評された彼らの国家を背負った戦いも一区切り。
    まぁ、国家間の戦いが消滅したわけではなくて、個人の争いがってことで。

    0
    2012年09月10日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ああ読み終わってしもた。

    あまりに時間をかけすぎて読むものだから
    肝心のストーリーを誤認してしまう始末。
    あっぶなーい

    後半数十ページが本当に濃ゆい。
    登場人物達の息づかいまで
    聞こえてくるような臨場感。

    スパイ小説というより スマイリー・サーガ。
    堅苦しいだけでなく 時に『ここで?』てな
    タイミングで飛び出すウイットに大笑いしたり。

    ・・・スマイリーの短編があるらしいが
    絶版てのがツライ。

    0
    2012年05月20日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    スマイリー三部作完結。
    これが一番文章が読みやすかった気がする。
    スマイリーがひとりで動く場面が多く、視点が安定してたのも読みやすかった要因かもしれないけど。

    ちゃんとカーラとの決着はついたものの、手放しで喜べるような終わり方ではく、哀愁が漂う終わり方なのが作者らしくて良い。

    ティンカー〜…から結構かかったけどやっと読み終わった。
    達成感というか…なんというかこみあげてくるものがある。

    0
    2019年03月07日

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