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資本主義の駆動力は何なのか。ゆたかさの果て、新たなフロンティアはどに求められるのか。差異・距離が生み出す人間の「欲望」の観点から、エンドレスな拡張運動の文明論的、歴史的な意味を探る。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
資本主義は 国外のフロンティア →国内の大衆消費者 →人々のアイデンティティ →広告で作られた実態のない「好奇心」 の順に欲望を拡張してきた、と言う話。 最近までを綺麗に書いてるなぁと思ったが、読み終わって奥付を見たら1993年出版でびっくりした。 日本の成功は、同質な品を大量生産する米国的製造か...続きを読むら、より細かいニーズに添う生産にいち早く変えたから。 その後は「個々人」に寄り添うことが出来ず、広告代理店が「好奇心」を煽り実態のない消費を作った。 いまIT企業がイケイケなのは、テクノロジーで個々人に寄り添うことを実現したからか。 小麦の罠と一緒で、豊かになって増えるからより作らなきゃいけない。 でも、昨今世界的に突然少子化が進んでいるから、もう作らなくていいというフェーズになった。 これが「モノ消費」から「コト消費」への転換駆動力な気がするな。 30年前の本だけど、近年流行った「お金2.0」とか「モチベーション革命」とかと書いてあることは同質で、なんか気が抜けた… 人間言うことは流転するんだなぁ…
私自身は、イデオロギーやそれを軸とした経済システム、法体系というのは、人間の支配欲から成り立ち、それを統制するべく形成されたという立場である。著者は、経済史家のブローデルによりなされた資本主義と市場経済の区別を用いながら、資本主義の形成を、欧州が中東の舶来品を入手したいとする欲望から順を追って説明す...続きを読むる。カール・ポランニーによる欲望の交換などの考察からすれば、些か手順に飛躍があり、資本主義の存在そのものを文明国に限った断定的な感が拭えないが、前提が受け入れさえすれば、著者の考察は理解しやすく、馴染みやすい。 また、欲望の条件は、客体に距離のある状態、すなわち分離された対象に価値を自覚する事、としたジンメルの欲望論を引いている。これについても、希少性や対象への競争が価値を高めるという説明だが、これも一つの条件に過ぎず、言葉の定義としては物足りない。労働を生み出す労働者の価値、商品の価値を限界効用に照らしながらも、では、普遍的価値とは何か、もう少し掘り下げられたかも知れない。 グダグダ述べたが、種々参考文献を引きながら、著者のように論理的に資本主義を考察するには、私自身には参照用のストックもなければ、事実関係を確かめる時間、実力もない。然るに、考察の助長として非常に有益な著作であると言える。 欲望の果てにあるもの。資本主義の終焉、それはシュンペーターの言う社会主義への移行では決してない。価値追求が即ち競争であるなら、その果てにあるのは、支配の許容、つまり究極の格差社会だ。支配欲の統制システムが瓦解するのだから、当然、支配世界が復活する。
「資本主義はニヒリズムか」の中で紹介されていた本作品を読んでみた。今日のこの高度に情報化し、グローバル化した社会で「資本主義」という概念をどのように理解すればよいのか、そして文明論的に、歴史的にみればどのような意味をもつのかを問う作品である。 第1章が、社会主義はなぜ崩壊したのかということで、「効率...続きを読む的」は自明的なことかを問いながらも、社会主義が欠けていたものを論証している。 第2章は、80年代と日本の成功について、理念なきテクノロジズム、歪んだ資本主義?としながらも、消費資本主義を誕生させたということで総括している。 第3章は資本主義という拡張運動ということで、ブローデルの三層理論、バタイユの発想、ジンメルの欲望論などを参照しながら、その時代時代の資本主義の変遷を語っている。 第4章は、「外」へ向かう資本主義ということで、ゾンバルトの説、産業革命とは何だったのかとして、それ以前のアジア・イスラムの商業活動に言及している。 第5章は「内」へ向かう資本主義として、20世紀アメリカが生み出した資本主義について分析を行った。 第6章はナルシズムの資本主義として、欲望のフロンティアのゆきづまり、浮遊する好奇心、情報資本主義における消費者といういままでになかったタイプの資本主義の到来について語っている。 第7章は、消費資本主義の病理で締めくくっている。ゆたかさの果てに、つまり、「成功するがゆえに没落する」資本主義について、シュンペーター、マルクス、ケインズらの予言を紹介している。 最後に、著者は以下のように締めくくった。 モノはほんらい、技術だけではなく文化の産物でもある。経済活動自体が、ほんらいは広い意味で文化という土壌と不可分なのである。今世紀の産業主義は、それを技術の次元に還元し、文化から切り離そうとした。いま限界にきているのはそうした今世紀の産業主義である。だが、その限界地点で、ようやく、欲望を産業技術のフロンティアの奴隷にすることから解放されようとしているのではないだろうか。欲望を文化的なイマジネーションの世界へ取り戻すことができるようになってきたのではないだろうか。わたしはといえば、やはりこの可能性にかけてみたいのである。
主に資本主義の歴史についてかいてあります。 「資本主義はその成功のために没落する」ってゆう言葉を聞いて思い当たりました。 それで日本こんな不自然なんですね。 あと、投機マネーのせいで石油が高いとかなんとかゆうてますが、 資本主義の恩恵にあやかっている限りそんなことを言う資格はありません。
資本主義は「欲望」によって成り立っている。人間の欲望はとどまるところを知らず、資本主義は欲望のフロンティアを拡張し続けていくというのが本書の内容。非常におもしろい。買ってよかったと思える一冊。
とても面白かった。出版されてからもう10近くになりますが、今までの経済の歴史を振り返って、今はどんな状況なのか、筆者の意見が出ています。本当は経済に分類したいのですが、内容的には思想だと思ったので思想に分類しました。 「外に向かう資本主義」「内に向かう資本主義」「ナルシズムの資本主義」の展開はかなり...続きを読む興奮です。
ヴェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の成立を関連づけた議論ではなく、資本主義の成立をバタイユの蕩尽やゾンバルトの理論を援用しながら展開し、その特徴や病理をあぶり出している。 ヴェーバーに対して漠然と抱いていたモヤモヤ感が少し明快になる感じ。
[ 内容 ] 資本主義の駆動力は何なのか。 ゆたかさの果て、新たなフロンティアはどに求められるのか。 差異・距離が生み出す人間の「欲望」の観点から、エンドレスな拡張運動の文明論的、歴史的な意味を探る。 [ 目次 ] ●資本主義という拡張運動 過剰の処理としての資本主義 「欲望」についての考察 ...続きを読む●「外」へ向かう資本主義 産業革命とは何だったのか ●「内」へ向かう資本主義 20世紀アメリカが生みだした資本主義 ●ナルシシズムの資本主義 モノの意味の変容 欲望のフロンティアのゆきづまり ●消費資本主義の病理 「ネオフィリア」の資本主義 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
1993年発行でそれから17年経つけれども色褪せないのは、欲望を軸においた資本主義論だから。ウォーラースタイン的な世界史観から行くと、水野和夫氏の著書と並べて読むと面白そうだ。 オーソドックスな経済学が構築してきたデカルト的な資本主義の見方から、欲望という人間らしさを軸とした有機的な見方へと、うま...続きを読むく読書を連れて行ってくれる。 また、外への拡張から内への拡張という欲望の話も面白かった。19世紀の帝国主義から20世紀のアメリカ型消費者主導社会へという動き。本書では触れられなかったがその後のアメリカ文化輸出型、ブレトンウッズ体制崩壊後の金融資本主義、という内から外への動きも興味深い。 それが崩壊した今、次なる動きは内向きか?今の流行りで行くと「正義」の消費か?
資本主義の本質を「欲望の拡張」と位置付けた本書。書かれたのが90年代前半だけあって、メディアの役割については「トレンディ」的なものを重視しすぎている感はあるが、70年代までの資本主義については上手く総括しているのではないかと思う。佐伯啓思の新書はどれも非常に読みごたえがあるので、お勧めです。
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「欲望」と資本主義 終りなき拡張の論理
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