Xへの手紙・私小説論

Xへの手紙・私小説論

小説・文芸
737円 (税込)

3pt

4.3

文芸批評家として最初の、揺るぎない立場を確立し、後の文学活動のあらゆる萌芽を含む『様々なる意匠』。人生観、ことに女性観、芸術論、社会批評などが、鋭く、渾然一体となって述べられた『Xへの手紙』。わが国に特有な私小説を見事に解剖した『私小説論』。その他、『一ツの脳髄』『女とポンキン』等の初期創作から始まって、中期以降戦後に至るまでの主要な論文、感想を収録する。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内文学
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    Xへの手紙・私小説論
  • タイトルID
    :
    207455
  • 電子版発売日
    :
    2013年05月02日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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Xへの手紙・私小説論 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     この文庫を手に取ってみて、きっとはじめは奇異に感じるだろう。というのも、出だしの数編が小林秀雄の若書きの小説であったり、詩が入っていたりすることだ。しかもそれが暗いシニックなもので面白くない(そしてたぶんそんなに上手くない)ものであればなおさらだ。
     最初は疑問に思いながらも読み進めて行くと、『Xへの手紙』あたりで突然、批評家としての小林秀雄が顔を出すことにきづく。「俺は自分の感受性の独特な動きだけに誠実でありさえすればと希っていた。希っていたというより寧ろそう強いられていたのだ。文字通り強いられていたのだ。」(p76)と、強烈に自己を意識した文章が飛び出してくる。この「感受性」の上に、彼の批評が成り立っていく。曰く、文学の新人へ向けて「君の自我がどんなに語り難いものにせよ、又語る時を君がどんなに軽蔑しようと、僕は依然として君の自我を尊敬するし、僕の欲しいものは君の自己証明なのだ。」(p188)と述べる。
     この本には小林秀雄の芸術の捉え方を明かすものが多く収録されている、マルクス主義文学論に対して書かれた『様々なる意匠』、芸術家の表現について書かれたそのもの『表現について』などが収録されている。それら収録された一篇毎に、小林は批評を通じて「美とは、新しい生き方の事であり、人間の新しい意味であり思想であった事」(p276)を確認し続けようとした。
     読み終わると、最初の小説群の意味が少しわかる。これらは、批評家・小林秀雄への導入だったのだと。素人には小林秀雄の批評はとっつきにくい。著者の受けた印象が文の前面に出ていて、批評元の作品から遊離していて何を言っているのかわからなくなるところがあるからだ。しかし、この本を読んでみると、小林秀雄が何を目指して批評活動をしていたのかが分かってくるのではないか。

    0
    2019年10月05日

    Posted by ブクログ

    「かたち」が沁みてくる。このひとはこのひとである以上、どうしようもなかつた、そのことに気づかされる時、「かたち」が浮かび上がつてくる。批評とは問題点を取り上げて改善を促す類のものではなく、この「かたち」に辿り着くことだと思ふ。
    「かたち」を物語として書いたところにも彼の姿が映つてゐるが、彼が生き響いた対象に対して語りかけ、そのぎりぎりの境界に辿り着くまでには、一体どれほどの存在が通り過ぎていつたのか。
    Xへの手紙はそんな彼の歩いた道のひとつの里程標だと思ふ。Xと名づけられた未知の存在。生まれたての物書き。ただひたすらに書いていくことを望んだ新人。表現するとは自分であること以上のことは何もできないと知つてしまつた小林からの限りない哀惜と、それゆえに新たな表現を見出せる可能性を背負つた存在。
    彼はいくつもの手紙をかうして書いては誰に宛てるでもなく、しまつていたのかもしれない。
    ひとがそれ以上何にもなれないといふことを知ることは、ひとの生命、人生をみることに他ならない。意匠とでもいふものか。それに触れる時、ひとはさういふものでしかないと思い知らされると同時に、さういふひとしか生きてこなかつたといふ明滅が目の前に拡がる。その明滅はミクロで見れば不連続なものかもしれないが、いくつもの明滅が重なりマクロで見ていけばひとつの線となる。直線は定義上始点も終点も存在しない。これまで存在しなかつたといふことも、今後存在しないといふこともない。「在る」とはそんな風にできてゐる。

    0
    2018年05月27日

    Posted by ブクログ

    初期の小林秀雄の創作には面食らいますが、面白いです。『新人Xへ』にある、「始末に悪いのは自意識の過剰どころか自意識そのものだ」という言葉は胸に刻むべきだなあ、と。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    小林秀雄の『Xへの手紙』『私小説論』を読んだ。私小説論の方は、マルクス主義文学批評の時代背景がかなり色濃く出ていて、それへの反論として読むことももちろんできるが、いわゆる純文学というものが結局は民衆から乖離しては存立し得ないこと、またジイドによる試みが文学の客観性への疑いから次第に文学の成立過程そのものを自己言及的に題材とすることで延命を図ったが、それが次第にどん詰まりに陥ったこと、また通俗小説と純文学との関係など、文学を取り巻く状況はこの時代からあまり進歩していないように感じる。マルクス主義がポストコロニアリズムとなりフェミニズムとなり変わっても、結局他者と個人主義、社会と個人をめぐる問題の変装が繰り返されているように思う。そもそも現代においての私小説とはなんなのだろう。芥川賞に載るようなものは、形式として新たなものを発明できているようには見えないが、むしろライトノベルなどの大衆小説の側にこそ一種の革新性が見られるように思う。ドストエフスキーのリアリズムについても示唆的だった。単一の価値観による解釈としての事件ではなく、多元的な価値観の相の下に析出されるものとしての事件という言葉は、そのままバフチンの言葉と言っても疑いえないほどの達見のように思える。

    0
    2026年03月02日

    Posted by ブクログ

    本書の奥付を見ると昭和48年3月発行、49年かかって読み終えた。それほど小林秀雄という山は険しいのだ。しかし、「Xへの手紙」は面白い。人間論、政治論、そして恋愛論、若き小林の生の声を聞くようだ。長谷川泰子との凄まじい恋愛がベースにあると仄聞するが、こんなところに表出している。「俺の考えによれば一般に女が自分を女だと思っている程、男は自分を男だとは思っていない。この事情は様々の形で現れるがあらゆる男女関係の核心に存する。惚れるというのは言わばこの世の人間の代りに男と女とがいるという事を了解する事だ。女は俺にただ男でいろと要求する、俺はこの要求にどきんとする。」

    0
    2022年10月13日

    Posted by ブクログ

    再読。小林秀雄という批評家に付き纏う難解さのイメージは、彼が批評の対象にしてきたものの多くが戦前から戦後までの、高度経済成長によって喪われてきた文化であることが原因ではないだろうか。後期に行く程に文体が洗練され、明晰さが発揮されていく内容は時に驚く程言葉が透明に感じられていくのだ。本文でも批評家と詩人は言葉それ自体を扱うものとして同一であるとの旨があるのも理解できる。そして30当時の己の人生観について、直感と情熱を持って練り上げた「Xへの手紙」が持つ確信さには、完膚無きまでに言葉に殺されてしまったのだ。

    0
    2014年01月05日

    Posted by ブクログ

    面白かった。特に中原中也との関係について興味があるからこその面白みもある。(Xへの手紙)
    文章は堅い。けれど本質を伝えたい、という意思が汲めるほど言葉は真っ直ぐだ。
    骨があって肉がある文章である。
    あくまで考えを読み取るもので、小説の面白みではない。

    0
    2010年04月13日

Xへの手紙・私小説論 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内文学
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    Xへの手紙・私小説論
  • タイトルID
    :
    207455
  • 電子版発売日
    :
    2013年05月02日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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