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ひとの「こころ」を見続けてきた著者が、ケルト文化の本質を求め、イギリス・アイルランドを「巡礼」。「おはなし」や音楽、ドルイドと呼ばれる自然信仰など、キリスト教によって封印される以前の世界観に触れ、自然と人間の共生や口承文学の持つ意味、そこからもたらされる「日本を癒す」ヒントを探っていく。
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Posted by ブクログ
ケルト文化というと凄く古いものということしか知らなかったが、河合先生の語る日本との共通点にはワクワクした。文字を持たないので、口承で伝わってきた物語は今でも語り継がれていること、ドルイドについてもしかり、特にその宗教とも言えない自然などに対する信仰というか、きっと文字だけでは伝わらないものがあるのだ...続きを読むろうと思うと興味が湧く。 パブや人の集まる場所では自然と「昔話を語る」人が皆にお話するという。アイルランドに色濃く残るケルト文化に憧れる。いつかアイルランドに行ってみたい。 イエーツはアイルランド人だということを知った。なんとなく自分には理解が難しいかなと思っていた詩人だが日本的な感覚との共通点を探してみるのも楽しいかもしれない。小泉八雲(ラフカディオハーン)もアイルランド人だった。河合先生曰く、ハーンもそうだが、イエーツは現世と異なる「異界」が存在することを知らしめるために作品を書いたのだという。 イギリスのコーンウォール地方にあるペンダンスという町で河合先生は魔女と会い対談をした。 魔女「witch」という職業で開業し生計を立てている。 魔術とは何と聞かれ答えた言葉が 「相談者の問題は無意識の中にある。意識を通じて無意識に働きかけることは難しいが、記号や儀式では直接無意識に働きかけることができる、それが魔術だ。」 実際に相談者が魔女に相談をしているところを見せてもらった河合先生は、”これは自分が心理療法の仕事としてやっていることと同じだ”と思った。忠告はせず相手の動きを待つ。しかし病的な人が来たときは専門家を紹介するという。 ”魔女”であり続けるには、相談者や世の中に対して変な認識にならないようにするバランスが必要だろうと感心してしまった。
ケルト+河合先生 なんと素晴らしい組み合わせ! 先生のケルトへの眼差しを あれこれを読んでいると 自分の無意識の世界を ブラッシュアップされてる感じがして 癒されるような感覚になった とても大切な1冊
日本は、アジアの端の島 アイルランドは、ヨーロッパの端の島 …ということでキリスト教の影響が少なかったってこと キリスト教って、文化を生み出した宗教だと思う 音楽にしろ絵画にしろホント素晴らしい それでも見方を変えると神は一人でそれの存在しか認めない と、いうことは今まであった伝説や昔話は、どこか...続きを読むに追いやられてしまう しかし、現代の人間がどうにもならない心の動きを知るために キリスト以前の事を調べる必要があると河合先生は考えていらっしゃるみたいです 日本は、妖怪 アイルランドは、妖精 ハッピーエンドでない昔話、浦島太郎に似た話がケルトにあるとの事 自然にいる沢山の神々の事 科学では、説明のできないいろんな事 昔からある事を非科学的と捨ててしまってはいけないんだなぁ ドルイドや、アメリカのナバホ、日本だったらユタとかイタコかな? みんなどこかでつながっているのかも
自然療法をおこなう人にお勧めかもしれない。非科学ではなく、河合さんのいう「補・自然科学」に賛同する。
心理療法士の著者がケルト文化を通して一つの生き方を日本人に提案する本。日本民話とケルト民話の共通点やドルイドなどがわかりやすく書かれていて読んでいて楽しかった。 たまにある著者のツッコミも面白い。
かつてケルト文化は、ヨーロッパからアジアにいたる広大な領域に広がっていた。しかしキリスト教の拡大に伴いそのほとんどが消え去ってしまった。ただオーストリア、スイス、アイルランドなど一部の地域にはその遺跡などがわずかに残っている。とくにアイルランドはケルト文化が他地域に比べて色濃く残る。ローマ帝国の拡大...続きを読むとともにイングランドまではキリスト教が届いたものの、アイルランドに到達したのは遅れたからだ。 この本は河合隼雄が、そのアイルランドにケルト文化の遺産を探して歩いた旅の報告がベースになっている。なぜ今、日本人にとってケルト文化なのか。それはケルト文化が、私たちの深層に横たわる縄文的心性と深く響き合うものがあるからだ。 私たちは、知らず知らずのうちにキリスト教が生み出した、西洋近代の文化を規範にして思考しているが、他面ではそういう規範や思考法では割り切れない日本的なものを基盤にして思考し、生活を営んでいる。一方、ヨーロッパの人々も、日本人よりははるかに自覚しにくいかもしれないが、その深層にケルト的なものをもっているはずだ。 ケルトでは、渦巻き状の文様がよく用いられるが、これはアナザーワールドへの入り口を意味する。そして渦巻きが、古代において大いなる母の子宮の象徴であったことは、ほぼ世界に共通する事実なのだ。それは、生み出すことと飲み込むことという母性の二面性をも表す。また生まれ死に、さらに生まれ死ぬという輪廻の渦でもある。アイルランドに母性を象徴する渦巻き文様が多く見られることは、ケルト文化が母性原理に裏打ちされていたことと無縁ではない。父性原理の宗教であるキリスト教が拡大する以前のヨーロッパには、母性原理の森の文明が広範囲に息づいていたのだ。 日本の縄文土偶の女神には、渦が描かれていることが多い。土偶そのものの存在が、縄文文化が母性原理に根ざしていたことを示唆する。アイルランドに残る昔話は、西洋の昔話は違うパターンのものが多く、むしろ日本の昔話との共通性が多いのに驚く。浦島太郎に類似するオシンの昔話などがそれだ。日本人は、縄文的な心性を色濃く残したまま、近代国家にいちはやく仲間入りした。それはかなり不思議なことでもあり、また重要な意味をもつかも知れない。ケルト文化と日本の古代文化を比較することは、多くの新しい発見をもたらすだろう。 いま、ヨーロッパの人々が、キリスト教を基盤とした近代文明の行きづまりを感じ、ケルト文化の中に自分たちがそのほとんどを失ってしまった、古い根っこを見出そうとしている。これは河合が言っていることではないが、日本のマンガ・アニメがこれだけ人気になるひとつの背景には、彼らがほとんど忘れかけてしまったキリスト教以前の森の文化を、どこかで思い出させる要素が隠されているからかも知れない。
謎と神秘に満ちた「ケルト」について民俗学の見地から紐解いていく本。ケルトに伝わる民話、ドルイド、今もなお現存する「魔女」など興味深い事柄が載っていて面白い。近年キリスト教や科学信奉からの乖離が進み、ヨーロッパ古来の文化、ケルトが見直されている。現在も色濃く残るケルトの民俗がどのように生活と自然の中に...続きを読む生きているのか、その一端に触れることができたような気がして楽しかった。日本の民話伝承などとの類似性も紹介されていてこういうちょっとした比較文化というのは何度読んでもわくわくするぐらい楽しい(^^) 東西の「異なる世界」がまさに似て非なるという印象でいろいろ想像すると感覚的に理解できるような心象があるようだ。ただもう少し歴史的な側面からのアプローチがあったらもっと楽しかったかな…他のケルト本を読んでみるか(笑)
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