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Posted by ブクログ
純粋な若者と時代の背景がそうさせた 、、とだけは簡単に括れない。
若者だった頃、意味もなく世間に逆らったり、親に干渉されたくなかったり。拠り所もないのに偉そうにしたり。そんなだった気持ちを思い出さされる。
ちょうど精神的疾患やら、エロスやら、気になってはいるものの話し合える友達もいなくて、どこか空虚で、それならばおとなしく勉強だけしていればいいのに、手につかず。そんなしょうもない学生時代だった自分に比べれば、最初は給金が目当てだった布美子のほうが、数段、自分の人生にまっすぐで、尊敬できる。雛子と信太朗の関係には驚かされた。いろんな事象をこうやってつなげていくのかとつくづく感歎させられた。
Posted by ブクログ
再読です。
著者が配偶者を亡くし、それを綴ったエッセイが話題になっていたころから著者のことがなんとなく心配で、でも、そんな辛いエッセイを読む気にはなれず、本棚に合った直木賞作品を再読することで折り合いをつけました。意味ないけどね。
著者のことを初めて知ったのはまさにこの小説で、当時はかなりインパクトがありました。
その後も著者の本は何冊か読みましたが、本書を超えるものはありません。
再読でも、軽井沢の風景描写が美しければ美しいほど不穏な気持ちに拍車がかかってゆくという読者の誘導は絶妙だと感じたし、70年代の学生闘争の象徴である浅間山荘事件の終結が奇しくも主人公の官能的な世界の終焉と同時にやってくるというウマさにも唸りました。
そしてなにより、思春期の少女のような主人公の無垢な心が、退廃的な夫婦に惹かれ囚われていく様は圧巻です。
だからこそこの崩壊の結末も哀しくはあるけれど納得感もありました。
そんな中、マルメロの樹が最後に残してくれたメッセージには胸が熱くなりました。
余韻が残る作品。
藤田宜永さん、ご冥福をお祈りいたします。
Posted by ブクログ
一言で言うならは、すさまじい本です。
これほど力のある作品と出会えることは、一生のうちにそうたくさんはないだろうと思うほどです。
作品に描かれることになるテーマもさることながら、最初から最後まで、ことごとく予想を裏切る展開が続き、特に後半は息をするのを忘れそうになります。
情景・心理描写の生々しさも、自分がその世界に飲み込まれたような感覚になります。
最初にどんな事件であったか、表面的な事実は語られている、いわゆる「サスペンス」でありながら、これほど最後の最後まで真相が分からず先へ進まずにいられない作品には出会ったことがありません。
直木賞受賞という事実が霞んで見えるほどのとてつもない傑作です。
没頭と陶酔
10才頃から、基本的に絶えず手放せない読者中毒です。成人してからは、立て続けに読む日々の流れが突然醒めるクセがついてしまいました。
年に2,3か月の冷却。それを繰り返して30年になります。
醒めてる間の手持ちぶさたな日々が退屈で、中毒状態にもどりたくであがきます。でもそれには、かなり強めに引き込まれるきっかけの一冊が毎回必要で、さまよいます。この本は間違いなくその一冊になりました。
今、読んだ直後。いろんな種類の読後感がぐちゃぐちゃに混ざっています。
心の中にある虚無感は、人によって濃度は違えど、皆が持っているはず。でも、うまく言い表せない虚無感です。それを、こんな物語を通して、手のひらにのせて見せてくれた筆者に対して、なぜか嫉妬もわきました。よかった。
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