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クラスでは目立たない存在である小4の結佳。女の子同士の複雑な友達関係をやり過ごしながら、習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に伊吹を「おもちゃ」にしたいという気持ちが強まり、ある日、結佳は伊吹にキスをする。恋愛とも支配ともつかない関係を続けながら彼らは中学生へと進級するが――野間文芸新人賞受賞、少女の「性」や「欲望」を描くことで評価の高い作家が描く、女の子が少女に変化する時間を切り取り丹念に描いた、静かな衝撃作。
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Posted by ブクログ
自分に触れて、自分だけの価値観を知り、その言葉で他人に触れることで輪郭をつくる。 自分につけられていると思う値札は、誰の意思でもない。でも、自分が他人に値札をつけているから、きっと他人も自分につけているだろうと思ってしまう。 自分がどこに向かうか分からず、街もどんな形になるのか分からない。何がしたい...続きを読むのか、どうなりたいのかわからない中で必死に軋んでいく。
白。 『都合のいいやつ。』 ってエヴァのマリみたいに言ってしまいました。 素敵な作品でした。
街が膨れていく音がする ニュータウンに伸びる白い道は骨のよう 身体の中で骨が伸びて軋む音がする 五感が研ぎ澄まされていくようだ。 小学女子のあるあるや、中学校でのクラスカーストの描写がとてもリアル。自分より"下"がいることに安心するが、"上"の女子から標的...続きを読むにされたら終わりだ。仲の良かった3人に値札がつけられ、 グループ分けされて、次第に距離を置く場面は読んでいて息苦しくなるほどだった。 言葉の選び方がどうしてこれほど上手いのだろう?「女の子の未成熟な身体の中で、エピソードは宗教になり、初恋は化け物になる」「好きな人をもう一目見る放課後」・・etc 結佳は教室から弾かれて初めて気づいた。皆の価値観をバカにしながら、その価値観で裁かれることに怯えていた自分の薄気味悪さに。自分の価値観を持ち言葉にして誰かと触れ合いたい! 中断していたニュータウンの工事が始まり、塞がれていたトンネルが抜けた。見知らぬ真っ白な道をペダルを漕ぎながら進んでいく結佳の姿が一瞬見えた気がした。彼女のこの先の物語も読んでみたい。
村田さんの本は何よりも優先させて一気に読んでしまいたい本。 女性の特有の感情や気持ちをズバリ書き上げて、むかしを思い出しながら一気に引き込まれて読んでしまった。
ここ最近の1番面白かった本です。情景がありありと想い描くことができて、自分が物語の主人公かと思ったくらいです。小学生の頃自分を特別な存在だと思ったり、少しずつクラスの人間関係がややこしくなったり、中学生になってスクールカーストに悩まされたり。 この小説を読みはじめて、先が気になりすぎて会社にも持って...続きを読むいき、休み時間に読み進めました。読んだあとは幸せな気持ちで満たされました。またこんな本が読みたいです。この本に出会えてよかった。
学生時代を思い出しては動悸がした。教室の空気が生々しくて。まさにこの本の通り、私は小学校のとき上にいた。中学校に入り二軍か三軍になり、とうとう精神的に負けて不登校になった。無視を決めたことがある、それだけで未だに思い出しては罪悪感に苛まれる。それらを主人公は体当たりで吹っ切るつもりなんだろう、美しく...続きを読む。 信子ちゃんのような子は居なかった。美しいな。 恐らく共学だと誰しも経験したことだと思う。したことがないとしたらあなたは"伊吹くん"なのかもしれない。 気になるのは親になった今、どう育てたら伊吹くんになるん?と思っている(笑)
西加奈子さんのおすすめ本だったので 読んでみた。 学校、 クラスメイト、 友達グループ、 住んでいる街、 人によって 同じものが全く違って見えているんだな、と改めて気付かされた。 とても繊細で複雑な感情表現しかできない結佳、真っ直ぐで濁りのない伊吹。 とりまくクラスメイト達。 村田さんの人間観...続きを読む察眼と 文学的表現が素晴らしい。
私は小中高、女子校だったので、共学のスクールカーストの話を読むと、女子校って平和だったんだなって今なら思える。女子特有の面倒くさい人間関係はあったけど。 でも、私が共学に行ってたら、カーストの下の方にいただろうなと思って怖くなった。 女子校は好きな人を一目見て女子で盛り上がるんじゃなくて、好きな芸能...続きを読む人やアニメのキャラで盛り上がってたし、中2とか毎日くだらないことして笑ってた時期だったから、女子校で良かったと思った。共学無理…。
やってくれたな! これから新しい中学校生が 始まるというのに、 なぜ、こんなにも 不安にさせるのだろうか。 新一年生、 これは読むな。 リアルな生々しい気持ち悪さを 叩きつけられる。 主人公の気持ち、よく分かる。 私も信子ちゃんのような人が あのような行動をとると、 美しいと思ってしまう。 ...続きを読む私のしろいろの家も死んでいるみたい。 そして、私も死んでいるみたい。 骨も、もう、延びない。
あの頃のスクールカースト。ひたすら慰めて保ってきた自尊心。抑えきれない衝動。 こんなにリアルに生々しく描かれている本を初めて読んだ。 カースト上位の男子に対して、カースト下位の女子が抱く、歪んだ恋。 周りを勝手に見下して、自尊心をひそかに向上している主人公の様子を、最初はこちらも上からこっそりと...続きを読む眺めているような気分で読んだ。だけど途中からは、同じ目線になって、ハラハラしながら読んでいた。 小学校のとき、たしかにカーストなどなかった。成長するにつれ、自然とグループで分断されるのは、本当に不思議だ。 カースト内でもさらにカーストが存在する。主人公の行動を嫌だなぁと思いつつも、私も全くしていないとは言いきれなくて、少し共感もした。いや、正直共感のほうが大きいかもしれない。 谷沢の気持ちにはわかるところが多かった(全くわからないところもあった)けれど、伊吹の谷沢への感情の理由は最後までわからなかった。 なんでこんな谷沢のことを…?と思った。笑 “幸せさん”だからなのか。 というか伊吹みたいなのは現実に存在しないと思う。 若葉のことも信子のことも、最後には不思議と愛しく思えた。みんな白くて狭い世界で、それぞれなりに生き抜くのに必死だ。
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村田沙耶香
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